恒久平和調査局の設置の要請文

国会議員のみなさまへ 
2006年1月20日
戦争被害調査会法を実現する市民会議



 私たちは、国立国会図書館に戦争時の歴史事実の調査を行う恒久平和調査局の設置を要請します。

 アジア諸国との友好は、歴史の事実を明らかにすることが大切です

 第164回通常国会の開会にあたって、議員のみなさまに訴えます。内外の激動期にあって、このたびの国会は日本の進路を決めるたいへん大事な国会になります。とりわけ、日本と中国、韓国などアジアの諸国との関係が懸念されていますが、その背景には相互の歴史認識の隔たりがあることに目を留めていただきたいと存じます。私たちは、日本とアジア諸国との関係改善のために、歴史認識の基礎になる歴史史料の所在を調査し、歴史の事実を明らかにすることによって相互の歴史認識を深めることが大切ではないかと考えています。

 日韓両政府による徴用、徴兵の実態調査が始まったことを歓迎します

 昨年は戦後60年にあたり、韓国では日本統治下における徴用、徴兵の実態調査が始まりました。韓国政府の真相究明委員会には約20万件におよぶ被害申告があり、真相究明委員会では申告に基づいて実態調査を行っています。日本政府も韓国政府から依頼のあった日本で死没した旧軍人軍属および民間徴用者の遺骨調査を行い、韓国へ返還する手続きが行われています。地方自治体や民間企業、宗教団体に対しても調査が依頼され、徐々に安置されている朝鮮半島出身者の遺骨が判明してきています。私たちは、戦後60年を過ぎたとはいえ、かつての植民地統治と戦争時における真相究明が始まったことを歓迎しております。立法府の責任で歴史事実の真相究明を行うことが必要です

 1998年に鯨岡兵輔(自民)、鳩山由紀夫(民主)、浜四津敏子(公明)、土井たか子(社民)、武村正義(さきがけ)の5議員が呼びかけ人となって発足した超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」(現在は鳩山由紀夫会長)は、立法府の責任において日本とアジア諸国の信頼醸成を図ることを目的に国立国会図書館に戦争期の歴史事実の調査を行う恒久平和調査局を設置する法律案を発議してきました。この「恒久平和調査局設置法案」(正式には「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」)は1999年に衆議院に提出され、議院運営委員会の図書館運営小委員会で審議されましたが、未だに成立をみておりません。私たちは立法府の責任において歴史事実の真相究明を行う必要があると考えています。

 政党政派の意見の相違をこえて真相究明法の成立を心から訴えます

 最後に、私たちの願いは、国民の信託によって国民の意思を代表する国会議員の皆様が、個々の政策あるいは党の拘束をこえた形で、「恒久平和調査局設置法案」の今日的意義をご理解いただきたいことにあります。この法律案はアジア諸国への日本からの「平和のメッセージ」でもあり、戦後日本の立国の精神ともいうべき日本国憲法の「前文」にある「恒久の平和」を念願し、国際社会において、「名誉ある地位」を占めたいとした日本国民の願いに叶うものであると確信しています。すべての国会議員の皆様が、歴史の事実に基づいて歴史認識の相互理解を深めるための同法案をご支援くださり、早期に成立することを願って、訴えのことばとさせていただきます。