■文書管理法提言へ中間報告第一次案を討議(5月28日)有識者会議
公文書管理の在り方を検討している有識者会議は28日、第6回会合を開催
し、野口貴公美(のぐち・きくみ)中央大学准教授から諸外国の公文書管理制度
について意見聴取するとともに7月の中間報告に向け第一次案を討議した。
野口准教授は英国、ドイツ、米国の制度を示しながら、各国ともその国の歴史
や文化を反映させた制度になっておりそれぞれ特色があることを紹介した。
米国の記録管理では1950年の連邦記録法で立法、行政、司法を含めた連邦
政府記録を保存管理することになっており、その権限は国立公文書記録管理庁
(NARA)長官にあるとしている。またNARAの使命は米国国民、連邦職
員、大統領、議会、裁判所が『貴重な証拠的記録』を利用できるようにすること
とされていることなどの報告がなされた。
続いて、事務局から中間報告に向けた「先進国にふさわしい文書管理の在り方
について」と題された第一次案が示され、討議に入った。
第一次案は1.現状認識、2.文書管理の理念、3.制度設計に当たっての基
本的な考え方、4.文書管理の適正化のための論点及び方向性に分かれており、
項目ごとに質疑がなされた。
有識者からは表題の「先進国にふさわしい」との文言に批判が集中、現状認識
も含め低次元の議論になっているとの指摘があり、文書管理を日本人のアイデン
ティティーに貢献できるものとなるような格調高い報告にすべきだとの意見が出
された。
また、文書管理が行政文書に限られているのではないかという指摘や公文書管
理を担当する機関の組織形態をどうするのかなど方向性が定まらないまま第一次
案が示されたという印象はぬぐえない。
これまでの論点項目に入っていなかった「将来の国民への説明責任」や「国民
の共有財産である公文書」との文言は今回の第一次案に盛り込まれた。
次回以降は第一次案に対する意見を整理し、更に討議を進めると共に公文書館
の人員・施設の在り方なども議論していくことにしている。
最後に上川陽子担当大臣から、第一次案は省庁の文書管理の実態を踏まえた上
で改善が図られるようにゴールドプランとしてまとめたもので、今後歴史的なス
パンに位置づけられるような議論をすることが必要だと認識しているとの発言が
あった。
中間報告をまとめるため、今後のスケジュールとして第7回会合を6月11日
(水)午前10時、第8回会合を6月23日(月)午後5時から行うことを申し
合わせた。
(問い合わせ先)
内閣官房公文書管理検討室 佐々木、梅本
TEL:03−3581−4718
FAX:03−5512−2914
Mail:masatake.umemoto@cao.go.jp
公文書管理の在り方等に関する有識者会議
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koubun/index.html
■環境省が千葉市内の旧軍毒ガス弾調査に着手(5月19日)環境省
環境省は5月19日、千葉市稲毛区の民間農場で旧軍毒ガス弾が発見された問
題で砲弾の発見場所とその周辺で金属探知機を使った調査を始めた。
千葉市稲毛区の旧陸軍下志津演習場跡地ではこれまでに不発弾が発見されてお
り、2007年5月から8月にかけてびらん性の毒ガスである硫黄マスタード
(イペリット)とルイサイトが混合された状態で充填したと思われる旧陸軍の95
式90mm 迫撃砲弾4発が発見されている。砲弾は現在、防衛省で保管している
状態。
環境省は旧軍毒ガス弾が発見されてから地下水や大気、土壌の環境調査を実
施、異常はなかったが、砲弾がこれ以上存在していないかどうかを確かめるため
金属探査を実施し、年度内に終了する予定。調査範囲は約11万平方メートル。
物理探査によって金属反応が出た場所については来年度に掘削調査などより詳し
い調査に着手するとしている。
★千葉市内で発見された旧軍毒ガス弾の可能性がある砲弾について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/chemi/gas_inform/pamph5/pamph5.pdf
■上川担当大臣、文書管理は外からの目が大事(5月15日)有識者会議
公文書管理の在り方を検討している有識者会議は15日、第5回の会合を開催
し、各省庁の文書管理調査結果の報告と公文書館に中間保管庫を置いて移管をシ
ステム化している神奈川県立公文書館から意見聴取を行なった。
2007年度の文書管理調査結果では保存期間が満了したファイル(約104.4
万件)のうち、ファイルの延長が8.5%、廃棄が90.8%、移管が0.7%と
なっており、依然として移管が進んでいない現状が浮き彫りになった。
神奈川県の文書管理では各課で作成した30年、10年保存の文書は1年後は
文書課の書庫に保管し、5年を経た文書は公文書館の中間保管庫に引き継いだ
後、保存期間の満了を待って廃棄か保存かの選別を行ない保存文書は公文書館で
公開する。同様に5年、3年保存文書は1年後に文書課の書庫で保管、期間満了
後、公文書館に引き渡し選別。また保存期間1年の文書などは各課で選別し、保
存する文書を公文書館に引き渡すシステムをとっている。
最後に上川陽子担当大臣は各省庁の文書管理を視察して、省庁間にばらつきが
あり、文書は仕事に忙殺されて抱え込んでしまっている、アーキビストなどによ
る外からの目で文書管理を行なったほうが仕事もはかどるのではないかと感想を
述べた。
次回の有識者会議は5月28日(水)午後4時30分から開催し、中央大学法
学部の野口貴公美(のぐち・きくみ)准教授から諸外国の制度について意見聴取
したのち、7月に予定している中間報告のまとめ方について論議する予定。
(問い合わせ先)
内閣官房公文書管理検討室 佐々木、梅本
TEL:03−3581−4718
FAX:03−5512−2914
Mail:masatake.umemoto@cao.go.jp
公文書管理の在り方等に関する有識者会議
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koubun/index.html