----------------------------------------------------------------------
《国会図書館資料閲覧禁止問題》
■市民会議が国会図書館に閲覧禁止措置の解除を申入れ(2008年8月22日)
----------------------------------------------------------------------
戦争被害調査会法を実現する市民会議は22日、国立国会図書館が検察資料を閲覧禁止にした問題で、同図書館の閲覧禁止措置に抗議するとともに閲覧禁止措置の解除を申し入れました。
市民会議の法務省の圧力により検察資料を閲覧禁止にしたのではないかとの質問に対し、国会図書館側は圧力ではなく、自主的に判断したと説明しました。
しかし質疑で、当初、法務省は資料の返還を求めたが、国会図書館は図書資料の廃棄や回収に応じていないことを理由に返還を拒否したものの、法務省側に資料の利用制限の方法があることを説明し、閲覧禁止で法務省と了解に達したことがわかりました。
また、現状では国民には公開しないものの、国会での質疑に必要であれば国会議員の公開の求めには応じると回答しました。
市民会議は国会図書館との交渉の後、衆参両院全議員に国会図書館への抗議・要請書を配布し、閲覧禁止問題の真相を究明するよう訴えました。
国立国会図書館への抗議と申入れ書の全文はこちら。
-------------------- * -------------------
国立国会図書館長
長尾 真 様
国立国会図書館の資料閲覧禁止措置に抗議する
2008年8月22日
戦争被害調査会法を実現する市民会議
共同代表 西川 重則
共同代表 西野瑠美子
事務局長 川村 一之
国立国会図書館は1990年の購入以来、閲覧に供していた『合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料〔検察提要 6〕』(検察資料158)の利用禁止措置を2008年6月11日に決定し、6月23日にNDL-OPAC(資料検索システム)から削除した。
この国立国会図書館の措置は同館を利用する私たちにとって納得しがたい措置であり、厳重に抗議するとともに利用禁止措置の即時解除を求めるものである。
以下、その理由を述べる。
1.国立国会図書館は、「真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命」(国立国会図書館法前文)として設立されている。「真理」とは事実に基づくものであって、国民への図書館奉仕をうたっている国立国会図書館が事実を隠蔽することは国民への背信行為である。
2.「検察資料158」の利用禁止措置は発行者である法務省の公的決定に基くと説明しているが、国立国会図書館は、党派的、官僚的偏見に捉われることなく資料を提供することとされており、法務省の決定に従うことの合理性はなく、官僚的偏見に捉われた措置と言わざるを得ない。
3. 国立国会図書館は、国立国会図書館資料利用規則に基づいて利用禁止措置を行ったとしているが、内部の委員会で審議を行っており、国会法第130条を根拠法律として設置された国立国会図書館が法務省の決定を鵜呑みにしたことを容認することはできない。
4. 国立国会図書館は、社会状況の変化などに応じ、制限を定期的に見直すとしているが、作成から30年以上経過した文書は公開が原則である。立法府に属する国立国会図書館は、自主的な判断で利用禁止措置を即時解除すべきである。