公文書管理担当大臣は小渕優子氏(9月25日)有識者会議

 麻生内閣が9月24日に発足、公文書管理担当大臣は中山恭子さんから小渕優子さんにバトンタッチされた。

 新任の小渕担当大臣は25日の午前中に開催された政府の公文書管理を検討している有識者会議に出席し、福田前総理から群馬県出身のよしみで公文書館推進議員懇談会に誘われて参加していたこともあり、公文書は国民の共有財産であり、他国に比べて立ち遅れている公文書管理体制の確立に努力していきたいと就任の挨拶を行った。

公文書管理で司法、立法からヒアリング(9月25日)有識者会議

 政府の公文書管理を検討している有識者会議(尾崎護座長)は25日、第11回会合を開催し、司法と立法の公文書管理についてヒアリングを行った。

 最高裁判所事務総局は文書管理を一元化する方策については、統一的なルールが決まれば、その主旨を踏まえて対応するが、司法の独立性については考慮していただきたいと述べた。文書管理にアーキビストが関与することについては、行政機関に属するアーキビストが司法文書を拘束することになれば三権分立から問題が出てくると思うとの懸念を表明した。
 
 また、刑事事件の訴訟記録を保管している法務省は記録は検察庁で保管しているが、訴訟記録のうち裁判書は国立公文書館に移管することは可能だが、裁判書以外の保管記録の移管は難しいと述べた。

 立法府の文書管理では衆参両院の文書管理の不統一が明らかになり、有識者から話し合って統一することは出来ないのかとの意見が出され、両院からは今まで不便を感じなかったことが原因だが今後の検討課題としたいとの回答があった。

 有識者会議は10月16日に第12回会合を開催し、最終報告をまとめることにしている。


国立公文書館、組織の在り方2案を一本化へ(9月25日)

 政府の公文書管理の在り方を検討している有識者会議の尾崎譲座長は25日、10月の最終報告で独立行政法人国立公文書館を国に戻すか、特別法人へ改組するかの2案を一本化する考えを示した。

公文書管理の在り方等に関する有識者会議 中間報告
「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」〜今、国家事業として取り組む〜
                   平成20年7月1日

5. 公文書管理担当機関の在り方(抜粋)

○ 以上を勘案すると、組織形態としては、ライフサイクルを通じた統一的かつ効率的な文書管理を実現するため、現在、内閣府(非現用文書)と総務省(現用文書)に分かれている文書管理に関する事務を内閣府に一元化することとし、あわせて、国立公文書館が持つ機能について、@国に戻して文書管理機能のすべてを一つの組織にまとめ内部部局・外局又は特別の機関として位置付ける案とA各府省や司法府・立法府からの円滑な移管が可能となるような権限を持つ「特別の法人」に改組する案の2つを軸に検討すべきである。


国会図書館が法務省資料を目録に再掲載、閲覧禁止は継続(9月16日)

市民会議は8月22日、国立国会図書館が法務省資料を閲覧禁止にした問題で、同図書館の閲覧禁止措置に抗議するとともに閲覧禁止措置の解除を申入れたが、その後も諸団体から抗議の要請が続いている。

 国会図書館は今年6月から閲覧禁止にし、目録から削除していた法務省資料を9月8日、目録に再掲載した。これは法務省が8月20日に資料の存在を認めたことから、国会図書館が9月4日に利用制限に関する内部委員会に諮り、書誌情報への再掲載を決定したことによる。同資料は国会議員の閲覧には供しているが、一般国民への閲覧禁止措置は継続しいる。

 国会の衆議院図書館運営小委員会では閲覧禁止の根拠法規となっている利用制限に関する内規の削除を求める意見が出され、今後の検討課題となっている。

 このようなことから日本図書館協会は9月10日、国民の知る権利が奪われるとして国会図書館に利用禁止措置の速やかな見直しと、規制の根拠となった「国立国会図書館資料利用制限等に関する内規」の第4条第4号の見直しを要請した。

 また図書館問題研究会は9月16日、今回の措置が「検閲と同様の結果をもたらす自己規制」であるとして国会図書館に申入れを行った。


韓国への第二次遺骨返還、暗礁に(9月11日)


 目黒区の祐天寺に保管されている旧軍人・軍属で朝鮮半島出身者の遺骨返還事業が暗礁に乗り上げていることが明らかになった。日本統治下で強制動員された朝鮮半島出身者の被害調査を進めている日本の市民団体が9月9日から11日までに韓国政府の強制動員真相糾明委員会との話し合いや日本政府との交渉でわかった。

 韓国真相究明委員会の朴聖圭事務局長は、祐天寺の遺骨返還について「第二次 66人、第三次 88人 の返還を予定していたが今年中に第二次返還を実現するのが難しくなった。日本側は返還セレモニーを第一次返還で済ませたので、今後は行わない方針、韓国側はセレモニーをオープンな形で行い日本国民に知ってもらいたいと思っている」と述べ、日本政府との協議が決裂状態にあることを示唆した。

 市民団体はこれを受けて、日本政府に遺骨返還の今後の予定を質したが、韓国側と協議しているので答えられないの一点張りで終わった。

  日本政府は今年1月、祐天寺で保管していた1135人の遺骨のうち、遺族が確認された283人のうち101人の遺骨を韓国に返還、式典で外務、厚生労働の副大臣がお詫びの言葉を述べた。 遺族が確認された残りの遺骨は年内に順次返還される予定だった。


死没者の遺骨調査、韓国側が不満(9月11日)


04年12月の小泉純一郎首相と盧武鉉韓国大統領との日韓首脳会談で合意された朝鮮半島出身強制動員死没者の遺骨調査が停滞気味に推移している。

 韓国真相究明委員会の朴聖圭事務局長は、「日本政府は現在判明している2346人で調査は終わりだとしているが、韓国側は2万〜3万人(専門家の指摘)と考えており、隔たりがある。今後、問題になると思われる」と述べ、日本の調査に不満があることを率直に語った。

 朴事務局長の話では、日本政府は自治体や民間企業、宗教団体などに遺骨調査を依頼したが、限られた宗派の調査に限定されており、強制労働の現場での調査や海に沈んだ遺骨などは調査されていないし、企業の情報がないなど日本側の調査に問題があるとしている。

 日本政府と市民団体との話し合いでは判明している遺骨は1909人(2007年12月現在)との報告があり、韓国側の数字と開きがあることがわかった。
 
 韓国側は遺骨調査に関連して、日本政府に戸籍受付帳や埋火葬認許証、過去帳などの提供を要請しているが提供のめどは立っていないという。


韓国政府、強制動員被害者支援は10万人規模に(9月9日)

 韓国政府が9月1日に受付を開始した日本統治下の強制動員被害者に慰労金を支給する事業で、対象者は10万人規模になることがわかった。韓国政府の強制動員被害真相糾明委員会の朴聖圭事務局長が9日、日本の市民団体との会合で明らかにした。

 朴事務局長は、慰労金を支給する事業の対象者を認定する審査を真相糾明委員会が担うことになり、9月1日に受付を開始して以来、一日1300件の申請があり、一週間で7千件に達していると説明。強制動員の認定申請は22万件に達しているが、これまでに認定された人数は約8万件あり、慰労金支給対象者はこれまでの認定者数を上回るだろうと述べた。この受付けは2年間にわたって行われる。

 強制動員の認定には日本政府が提供した名簿資料など74種類、50万人分を基礎にしているが、軍人軍属の名簿が主で民間徴用者の名簿が少なく、認定できな状況にある。資料がない場合は本人からの聞き取りや証人などの証言で補っている状態だという。

 韓国側としては日本政府に厚生年金名簿や未払い賃金を供託した名簿などの提供を要請しているが、今だ提供されずにいる。