■衆院外務委、韓国出身戦没者の遺骨返還問題で質疑(11月28日)
〜 中曽根外相「追悼式出席、次回は検討したい」と答弁 〜
中曽根弘文外相は28日午前、衆院外務委員会で、韓国出身戦没者の遺骨返還追悼式に関連して、「今回はAPEC首脳会議と重なり出席できなかったが、遺骨返還については日韓議員連盟の社会・文化委員長をしていた関係もあり、関心があった。次回は日程が固まった段階で検討したい」と述べた。民主党の近藤昭一委員の質問に答えた。
11月20日に行われた第二回目の「韓國出身戦没者還送遺骨追悼式」は橋本聖子副大臣が参加、中曽根外相の追悼の辞を代読した。追悼式に参列した民主党の近藤昭一委員は同委員会で外相自身の出席を要請した。
〜 佐藤外務副大臣「国籍別供託明細書の存在は確認」と答弁 〜
また、近藤委員は民間徴用者の遺骨返還にも言及。旧軍人軍属の遺骨返還と同様の追悼式を挙行するよう求めたが、中曽根外相は民間徴用者は旧軍人軍属とは異なるとして明確な答弁をしなかった。
近藤議員は更に韓国政府が民間徴用者の厚生年金名簿などの資料提供を日本政府に求めていることに対し、資料を提供する用意があるかどうか質した。特に東京法務局に存在する未払い賃金の国籍別供託明細書を速やかに韓国に提供すべきではないかと追及した。
これに対し、佐藤信太郎外務副大臣は「供託明細書の存在については法務省から確認している。提供できるかどうかは関係省庁と相談して検討したい」と述べるにとどまった。
■遺族代表、早く知らせてほしかった(11月20日)強制動員ネット
東京・目黒区の祐天寺に保管されていた朝鮮半島出身の旧軍人・軍属の遺骨のうち、韓国出身者59人の遺骨返還追悼式が20日行われた。 日本政府が主催する2回目の追悼式には今回初めて、国会関係で近藤昭一衆議院議員と清水澄子元参議院議員が参列、日本の市民も参列した。
参列した強制動員真相究明ネットワークの小林久公さんは、
<遺族代表の金鍾益さんは、「いつどこでどのように死んだのか、それだけでも知らせてくれたなら、せめて祭祀(供養)ができたのに、何も知らされないまま、60年あまりの歳月を絶え、待たされました。」と述べられました。また、記者会見では、「遺骨問題に取り組んできた日本の市民に対する感謝の言葉」を語られました。>
と式典の模様を報告した。
■民主藤田氏、旧麻生鉱業の捕虜虐待で質疑(11月13日)参院外防委
民主党の藤田幸久参議院議員は13日、参議院外交防衛委員会で旧麻生鉱業が戦時中、連合国捕虜を虐待した事実があるかどうか麻生太郎首相に質した。
麻生首相は、「当時4〜5歳で認識するには早すぎる」と答弁、「事実関係も確認されていないと承知している」と否定した。
藤田氏は旧麻生鉱業がGHQに提出した資料に捕虜300名を炭鉱内の作業に従事させるとした記述があることを指摘。認識していないことは一国の総理として無責任であると批判した。
更に藤田氏はニューヨークの日本総領事館が、「当企業が強制労働に関与したという情報は得ていない」としたことに対して、その裏づけはあるのかと質すと、中曽根外務大臣が資料を踏まえ反論の訂正の可能性を含めて慎重に検討すると答えた。
戦時中の強制労働に詳しいウィリアム・アンダーウッド氏によると、「麻生鉱業が提出したこれらの記録はメリーランド州の米国立資料館(Record group331, Box927)で閲覧できる。また当資料館では日本政府捕虜情報局が収集して1946年6月7日に東京の米軍調査官に提出された収容所報告書の全資料が保管されている」という。
旧麻生鉱業は麻生氏の父が社長を務めた会社で、その後、麻生セメントと社名を変更、麻生氏自身も社長を務めている。
■被害女性ら、日本政府に慰安婦問題の解決求め要請(11月25日)
アジア連帯会議に参加した元「慰安婦」の被害女性らが25日午前、日本政府と各政党に「慰安婦」問題の解決を求めて要請行動を行った。インドネシアから参加した研究者は、日本政府が「慰安婦」問題は解決済みとしていることに失望した、と述べ、インドネシアではアジア女性基金から政府に基金が届けられているが、個人は受け取っていないと実情を説明した。
午後は参議院議員会館前のスタンディング・デモで「慰安婦」問題の解決を求めてアピール、その後、院内集会が行われた。 院内集会では韓国と東チモールの被害者が証言。東チモールのフェルナンデスさんは「日本兵が勝手にやってくることは考えらず、日本政府が派兵したに違いない。牛馬のように辱めを受けた。日本政府が責任を取るのが当然。」と発言、「慰安婦」問題の早期解決を求めた。
日本側からは「慰安婦」問題解決法案を発議している民主、共産、社民、無所属の衆参両議員が入れ替わり連帯の挨拶を行い、立法解決に努力すると決意を述べた。 集会には議会が「慰安婦」決議を行っているオランダ大使館とカナダ大使館、EU駐日代表部とインドネシア大使館の関係者も参加した。
アジア連帯会議は前日の24日、5項目の対政府要求と3項目の行動綱領を採択した。
第9回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議決議
2008年11月23日から25日まで、東京において私たちは、日本軍「慰安婦」問題の一刻も早い解決を日指し、第9回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議を開催した。「世界と連帯して日本軍『慰安婦』問題の即時解決を日本政府に求める」というテーマで開かれたこの会議には、韓国、台湾、フィリビン、中国、東ティモール、インドネシア、日本に加え、アメリカ、カナダからも被害者と国会議員、活動家などが参加し、共和国はレポート参加した。
昨年の米下院・オランダ議会・EU議会・カナダ議会に続き、今年も国連自由権規約委員会報告書で日本政府に対する勧告がなされた。この秋には韓国国会と台湾立法院でも日本に公式の謝罪と国家賠償を求める決議が採択されるなど、「慰安婦」問題の真の解決を求める国際世論はいっそう高まっている。
一方、日本でも世界各国議会の決議採択を受けて、2月には宝塚市議会で、6月には清瀬市議会で決議が採択され、11月7日には政令指定都市である札幌市議会で、被害者の尊厳回復のための真相究明、謝罪と賠償、歴史教育などを求める意見書が採択された。
しかし、日本政府は一向にこうした声に耳を傾けようとせず、93年の河野官房長官談話で謝罪は行っており、女性のためのアジア平和国民基金で道義的責任は果たしたと、日本軍「慰安婦」問題は終ったかのような主張を続けている。
こうしたなか、被害女性たちは高齢化し、日本軍「慰安婦」にされた後遺症により未だに苦しみの日々を送っており、日本政府が謝罪と賠償をしていないために、その傷はさらに深まっている。そのような厳しい状況にもかかわらず、被害者らは日本政府に正義の実現を求めて活動している。
第9回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議に参加した私たちは、こうした状況を踏まえ、被害女性たちの長年のたゆまぬ闘いに敬意を表する。そして、一刻も早く日本軍「慰安婦」問題が解決されるよう、強固な連帯を通して運動を推し進めることを確認し、以下のように日本政府と日本の国会に要求する。
-------- 日本政府と日本の国会に対する要求 ---------
1.日本政府は、日本軍が1930年代から日本の敗戦までの間、アジア太平洋地域の女性を連行、性奴隷化した事実に対し、公式に認め謝罪すること。
2.日本政府は、日本軍「慰安婦」被害者の状況に鑑みて、被害者が生きている間に謝罪と賠償を実現するため、直ちに行政的、立法的制度を整えること。
3.日本政府は、日本軍「慰安婦」問題を否定するいかなる暴言も許さず、これに対し毅然として、公式に反論すること。
4.日本政府は、日本軍「慰安婦」のような類似犯罪の再発を防ぐため、日本の歴史教科書にこの問題を正しく記述し、現在と未来の世代を教育すること。
5.日本の国会は、日本軍「慰安婦」問題に対する事実認定と公式謝罪および法的賠償を実現するための特別法を一日も早く制定すること。
さらに私たちは、世界各地の議会決議および日本の地方議会での意見書採択と国連自由権規約委員会の勧告を積極的に支持し、このような勧告が実行されて、日本軍「慰安婦」被害者の人権と尊厳が回復されるよう、いっそう力強く運動を展開していく。そのため、次のように行動することを決議する。
------------ 行動綱領 ----------
1.私たちは、日本政府が被害者と国際社会の声に真正面から向き合い、一刻も早く公式謝罪と補償のための法律を制定するよう、あらゆる方法を駆使して日本政府に強く働きかける。
2、私たちは、日本軍「慰安婦」問題の真の解決に向けて国際連帯を一層強化し、2009年夏の第44回女性差別撤廃委員会やILO総会で勧告がなされるよう、国際連帯行動を推進する。
3.私たちは、各国の「慰安掃」問題に取り組む運動や各国の被害回復プロジェクトを支援し、その運動と連帯し、歴史認識を育て、記憶を継承し、女性に対するいかなる暴力も人権侵害も許さない運動を堆進する。
2008年11月24日
第9回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議参加者一同
■台湾立法院が「慰安婦」決議を可決(11月12日)RTI
立法院が日本に従軍慰安婦で謝罪求める決議2008/11/12 RTIhttp://japanese.rti.org.tw/Content/GetSingleNews.aspx?ContentID=68152
立法院本会議は11日、日本政府に対し「明確かつ曖昧でない態度で、第二次世界大戦中の日本軍性奴隷制度の歴史責任を正式に認め、謝罪し、責任を取るべきである」と要求する決議を採択した。
提案委員の一人、国民党の楊麗環・立法委員は、「この決議文が採択されたことで、すぐに実質的な効果があるとは期待していないが、少なくとも非常に辛い人生を歩んできた女性たちが、この決議によって生きていく目標を得られ、多くの人が彼女たちの苦しみを理解しているということを知ってくれればいいと思う」と述べた。 同様の決議案は昨年6月に米下院も採択している。
★台湾立法院の「慰安婦問題の迅速な解決を日本政府に要求する」決議文
立法院第7期第2会期第8回会議議案関係文書
立法院議案関係文書 中華民国97年11月5日
提案の由来:
本院委員 黄淑英、楊麗環、頼清徳、潘孟安等28名は、本院に次のような決議案を提出した:「日本政府が、はっきりとした、曖昧ではない態度で、戦時中の日本軍性奴隷制度の歴史的責任を受けとめ、正式に認め、謝罪し、生存している被害者に対し、直接、謝罪と賠償をおこない、一日も早く『慰安婦』被害者の名誉と尊厳を回復し、国連人権委員会の提案を遵守し、かつ現在と未来の世代に、関連の史実を正確に教えることを要求する。」
説明:
一、第二次大戦中、日本はその植民地および占領区で、脅迫したり、騙したり、誘拐したりして無数の婦女、少女を集め、従軍性奴隷とし、軍隊に性のサービスを提供させた。日本政府はいまだに、この戦争責任を正式に認めようとせず、かつ事実を否認する不当な発言を繰り返し、無数の女性の名誉と尊厳を更に傷つけ、日本政府名義での謝罪と賠償を拒み、被害者の受けた傷は、いまだに癒えることはない。
二、今年は第二次大戦終結から63年になる。「慰安婦」問題等戦争が残した問題を徹底的に解決し、かつ「慰安婦」被害者の名誉を回復をするために、日本政府は必要な補償措置をとるべきである。
三、台湾で生存している「慰安婦」被害者は、すでに80歳、90歳になっている。その生あるうちに賠償問題を解決することは、人権を重視することでもあり、阿媽たちの名誉と尊厳を回復することにもなる。2007年8月2日のアメリカ議会での「はっきりと、曖昧ではない態度で、歴史の責任を受けとめ、正式に認め、謝罪することを日本政府に要求する」決議案の通過に鑑み、本院も、この決議案通過を重視し、「慰安婦」人権問題が再度重視された国際的潮流に沿うことを希望した。日本政府がいまだ解決していない「慰安婦」問題を正視し、立法化し、被害者に直接賠償することを要求する。
提案者:黄淑英 楊麗環、頼清徳、潘孟安
連署:林正二 呂學樟 翁金珠 洪秀柱 陳 蛍 侯彩鳳 劉盛良 孔文吉 陳亭妃 林建榮 林益世 陳福海 朱鳳芝 陳根徳 林鴻池 徐少萍 楊仁福 江義雄 呉清池 張嘉郡 紀国棟 趙麗雲 余天 陳杰
■札幌市議会、「慰安婦」意見書可決(11月7日)
札幌市議会は7日、「慰安婦」問題に関する意見書(案)を賛成多数で可決した。賛成したのは民主党、公明党、共産党、市民ネットワーク北海道、市政改革クラブ。自民党と自民維新の会は反対した。 意見書は1993年の河野官房長官談話に基づき、「慰安婦」問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努めるよう求め、日本政府に閣議決定による謝罪や被害者への損害賠償、歴史教育などを行うよう要望している。 同様の意見書は宝塚市議会、清瀬市議会に続いて3番目、政令指定都市の市議会では初めて。
★札幌市議会の「慰安婦」問題に関する意見書
意見書案第9号 「慰安婦」問題に関する意見書
2007年7月30日、アメリカ下院議会は全会一致で、「日本軍が女性を強制的に性奴隷にした」ことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議を採択した。 日本政府に謝罪と賠償、歴史教育などを求める決議案は、アメリカに続き、昨年11月にオランダとカナダで、12月13日にはEU議会で採択されている。また、今年3月にはフィリピン議会下院外交委員会も2005年に続く2度目の決議を採択している他、国連やILOなどの国際的な人権擁護機構からも繰り返し、勧告、指摘を受けている。 しかしながら日本政府は、これらの決議採択を受けても、公式な謝罪をしていない。これは、1993年の河野洋平官房長官の談話と矛盾する態度である。日本政府が、「慰安婦」の被害にあった女性達に対して、いまだに公式の謝罪もせず、補償もせず、真相究明をしないばかりか、教科書からもその記述を消し去ろうとしていることに対して、世界各国で批判の声が高まっている。 よって、国会及び政府においては、1993年の河野洋平官房長官の談話に基づき、「慰安婦」問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努め、下記の事項のとおり、誠実な対応をされるよう強く要望する。 記
1.政府は、「慰安婦」被害の事実を確認し、被害者にたいし閣議決定による謝罪を行うこと。2.政府は、「慰安婦」問題解決のための法律をつくり、被害者の名誉回復と損害賠償を行うこと。3.
学校や社会の教育において「慰安婦」問題の歴史を教え、国民が歴史を継承できるようにすること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成20年(2008年)11月7日 札幌市議会
(提出先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、外務大臣、文部科学大臣
(提出者)民主党・市民連合、公明党、日本共産党、市民ネットワーク北海道 及び市政改革クラブ所属議員全員
■公文書管理法案(仮称)の立案で要望書提出(11月17日)
「公文書は国民の共有財産」と明記した基本法制定を要望 2008年11月17日 市民会議事務局長 川村 一之
公文書管理の在り方を検討していた政府の有識者会議(尾崎護座長)は2008年11月4日、最終報告<「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」〜今、国家事業として取り組む 〜>を小渕優子担当相に提出した。今後は最終報告に沿って公文書管理法案(仮称)の立案作業に入る。市民会議の川村一之事務局長は11月17日、公文書管理法制の立案にあたって、公文書は国民の共有財産であることを法律案に盛り込むことなどを求めた要望書を内閣官房に提出した。要望事項は以下のとおり。
公文書管理担当大臣小渕優子 様
公文書管理法制の立案にあたっての要望
2008年11月17日川村一之
公文書管理の在り方等に関する有識者会議(以下 有識者会議)の最終報告が11月4日に提出され、内閣として公文書管理法制の法案化に着手されることは、公文書管理に関心があり、中間報告において意見を提出した者として大変喜ばしいことと存じております。つきましては公文書管理法制の立案にあたって留意していただきたい事項について私の意見を申し上げますので、勘案の上、ご考慮下さいますようお願い申し上げます。
記
公文書管理法制の立案にあたっての要望事項
1) 法律案の性格と名称について
有識者会議の最終報告を取りまとめる会合において、基本認識の「21世紀にふさわしい公文書管理システムへの道筋を示すことが、当会議に課された使命である」とされた文言のうち「21世紀にふさわしい」を「国民の期待に応え得る」に書き換えられた経緯があります。このことは最終報告が「21世紀」のみならず、後世にわたって歴史に耐えうる公文書管理システムを構築しようとする意気込みであると感じたのは私だけではないと思っております。そのような国政全般にわたって重要な位置を占める公文書管理法案(仮称)であるからこそ、法律案は基本法の性格を持たせることが大切であり、関係諸法に優越する公文書管理基本法(仮称)とすべきではないかと考えます。
2) 公文書管理の基本認識について
有識者会議の最終報告は「1.基本認識 【公文書の意義】」で、「民主主義の根幹は、国民が正確な情報に自由にアクセスし、それに基づき正確な判断を行い、主権を行使することにある。国の活動や歴史的事実の正確な記録である「公文書」は、この根幹を支える基本的インフラであり、過去・歴史から教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な共有財産である。」と重要な認識を示していると思います。しかし、残念ながら「6.公文書管理法制に盛り込むことを検討すべき事項について」の「(1)
公文書管理法案(仮称)の目的について」では「国民に対する説明責任」はうたわれていますが、民主主義の根幹としての国民のアクセス権や国民の共有財産としての公文書の文言は入っていません。仮に目的条文に挿入することが難しいのであれば、法律案の前文に最終報告の基本認識を明記するよう要望します。
3) 公文書管理担当機関について
公文書管理担当機関は最終報告において、「内閣府(非現用文書)と総務省(現用文書)に分かれている文書管理に関する事務を内閣府に一元化する」とされたものの内閣府の内部部局なのか、外局になるのか曖昧なままになっています。国立公文書館を「各府省や立法府・司法府からの円滑な移管が可能となるような権限を持つ「特別な法人」に改組」し、公文書管理担当機関と一体的に機能を発揮させるには内閣府の内局ではなく外局として公文書管理庁(仮称)を設置し、公文書管理担当大臣(仮称)を置くことを要望します。
4) 中間書庫について
最終報告は「各府省は、当該保存業務について、公文書管理担当機関が管理する中間書庫(集中書庫)に委託することができる」としています。中間書庫は、各府省庁共通の書庫にするのではなく、各府省庁に設置し、公文書管理担当機関が各府省庁の文書作成の指導助言と行政文書の管理を行う出張所的な機能とアーカイブ部門への移管を円滑化する機能を併せ持つ組織として位置づけることを要望します。
5) 国立公文書館と他省庁のアーカイブ部門について
最終報告は国立公文書館と宮内庁書陵部及び外務省外交史料館について、「それぞれの特性を踏まえつつ、共通のルールとして運用されるような仕組みとすること」としています。ここには防衛省防衛研究所が所蔵している旧陸海軍関係史料が含まれていませんが、同様な対応が必要と思います。
6) 罰則規定の条文化について
最終報告は、公文書の作成を意図的に怠った者や公文書の改ざん、廃棄などを行った者に対する罰則規定について言及していません。公文書が国民の共有財産であることを考慮すると違反者に対して罰則を課すことが必要と思われます。罰則規定を条文化することを要望します。
7) 地方自治体の条例化と公文書館の設置について
地方自治体においても公文書管理条例の制定や公文書館の設置を促進するために、公文書館法の「当分の間、専門職員を置かないでも良い」という附則を削除することなど具体的な措置を条文に明記することを要望します。
以上
■麻生首相、公文書管理の「体制の整備が必要」(11月4日)NHK
公文書管理強化 最終報告提出11月4日 23時45分 NHKhttp://www.nhk.or.jp/news/t10015163191000.html
公文書管理のあり方を検討している政府の有識者会議は、公文書の管理体制を強化するため、国立公文書館の職員の数を今の40人余りから、数百人規模に増員することなどを政府に求めるとした最終報告をまとめ、麻生総理大臣に提出しました。
有識者会議の座長を務める尾崎護元大蔵事務次官は4日、公文書管理を担当する小渕少子化担当大臣とともに、最終報告を麻生総理大臣に提出しました。それによりますと、公文書は歴史的事実の正確な記録で、国民の貴重な共有財産であるにもかかわらず、日本の管理体制は欧米や中国などに比べて見劣りしており、国立公文書館の権限や機能を強化する必要があると指摘しています。
具体的には、国立公文書館を一定の独立性を持つ「特別の法人」としたうえで、職員の数を今の40人余りから、数百人規模に増員するよう政府に求めているほか、各省庁がどのような文書を保存するか、判断している方法を改め、統一したルール作りを検討すべきだとしています。
これに対し、麻生総理大臣は「公文書は開かれた民主主義を実現するうえでの基本的なインフラの1つだが、役所の中には、きちんと保存する意識がないので、体制の整備が必要だ」と述べました。
また、小渕大臣は、記者会見で「来年の通常国会に公文書管理法案を提出するため準備を進める。法整備をすることで公文書の重みが各省庁にも伝わると思う」と述べました。
★公文書管理の在り方等に関する有識者会議http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koubun/index.html
■防衛相、「侵略ぬれぎぬ」論文で田母神航空幕僚長を更迭(10月31日)日経新聞
「『侵略国家』はぬれぎぬ」空幕長が政府見解と異なる主張http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20081031AT1G3102Y31102008.html
航空自衛隊トップの田母神俊雄航空幕僚長が民間企業の懸賞論文に応募し、日中戦争や第二次世界大戦について「わが国が侵略国家だったなどというのはまさにぬれぎぬである」などと主張していることが31日分かった。中国など周辺諸国の反発が予想され、インド洋での給油活動を延長する法案の国会審議にも影響しそうだ。
論文では日中戦争ぼっ発の経緯について「わが国は蒋介石に引きずり込まれた被害者」、太平洋戦争は「米国に慎重に仕掛けられた罠(わな)」、東京裁判は「あの戦争の責任をすべて日本に押し付けようとしたもの」などと指摘している。
憲法が禁じる集団的自衛権の行使、武器使用の制限にも触れ、「諸外国の軍と比べれば自衛隊はがんじがらめで身動きできない。このマインドコントロールから解放されない限り、わが国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない」と制服組としては異例の見直しを求めた。
(31日 23:01) 日経新聞
■中国外務省、自衛隊高官の侵略否定言論に憤り(11月1日)中国国際放送
中国外務省、日本自衛隊高官の歴史否定言論にコメント2008-11-01 21:12:17 cri 中国国際放送http://japanese.cri.cn/151/2008/11/01/1s128600.htm
中国外務省の姜瑜報道官が1日、日本自衛隊の田母神俊雄空幕長(解任)が侵略の歴史を否定する言論を発表したことに対し、記者の質問に答えました。
姜瑜報道官は、「日本の軍国主義が侵略戦争を勃発し、中国人民を含むアジアの人民の深刻な災難をもたらした。これは紛れもない事実だ。日本自衛隊の高官が公然と歴史を歪曲し、侵略を美化する行為に深い憤りと驚きを感じた」と語りました。
姜瑜報道官はさらに「歴史を正しく認識し対応することは、中日関係が健全に発展する政治的な基礎である。中国側は日本政府の姿勢や措置を密接に見守っている。中日双方は共に努力し、両国関係の大局をよりよく維持すべきだ」と語りました。(11/03 翻訳者:Lin)
■韓国外交通商部、田母神論文は「歴史の歪曲」と非難(11月2日)聯合
日本空幕長の論文問題、政府「歴史の真実ごまかし」2008/11/02 11:57 KST 聯合http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2008/11/02/0400000000AJP20081102000700882.HTML
【東京2日聯合】防衛省の田母神俊雄航空幕僚長が朝鮮半島の植民地支配などを正当化する論文を書き更迭された問題で、外交通商部は1日に文太暎(ムン・テヨン)報道官名義の論評を通じ、「歴史の真実をごまかすもので、あってはならないこと」だと非難した。「過去の過ちを謙虚に反省し、これを歴史の教訓とみなすことが国際善隣友好関係の根幹であり、こうした歴史のわい曲が繰り返されてはならない」と強調した。 田母神前幕僚長は先ごろ「日本は侵略国家であったのか」と題した論文を通じ、「(大東亜戦争当時)多くの強大国のうち、日本は植民地を日本本土と同じように開発しようとした唯一の国であり、他国との比較で言えば極めて穏健な植民地統治をした」と述べ、「われわれは栄えある歴史を再現しなければならない」と主張した。先月31日に更迭されている。
■台湾外交部、侵略正当化論文に抗議(11月2日)時事通信
台湾も前空幕長論文に抗議http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008110200141
【台北2日時事】田母神俊雄前航空幕僚長が発表した過去の日本の侵略や植民地支配に関する論文について、台湾外交部(外務省)は2日、「日本が第2次世界大戦中に行った侵略行為を正当化したことに強く抗議する」とする声明を発表した。(2008/11/02-23:50)時事通信