2006年 市民会議ニュース |
市民会議ニュース 2006.8.15 NO.126 |
7月28日、遺骨問題の解決へ院内集会開く 韓国の遺族らが真相究明求める 日本政府は北朝鮮遺族の入国を認めず 戦時中に徴用された父を亡くした全承烈(チョン・スンヨル)さんら韓国の遺族8名を迎え、7月28日衆院第二議員会館で、遺骨問題の解決を訴える集会を開催した。当日参加する予定だった北朝鮮遺族3人は日本政府の入国拒否に合い、写真のみの参加となった。 集会は市民会議の川村事務局長の司会で始まり、遺族を招請した全国実行委員会の上杉共同代表より、遺骨調査と返還に向けた現状と早朝に行われた曹洞宗での追悼会の報告が行われた。 韓国の遺族からは、動員された人々の死亡の経過や遺骨の所在を解明するために日本政府が資料を公開し、遺骨返還を早急に行うよう訴えた。 遺族の訴えを聞いた各党の衆参8人の国会議員は、遺族の皆さんの苦労に謝罪の意を表し、希望に沿うよう超党派で努力すると約束した。 岡崎トミ子参議院議員は集会にあたって事前に質問主意書を政府に提出しており、日本政府の答弁内容を説明し、遺族の質問に答えた。宗教界からは曹洞宗の遺骨調査の取り組みが紹介され、全国の集会を締めくくる北海道の遺骨発掘調査の予定も報告された。「韓国・朝鮮の遺族とともに遺骨問題の解決へ2006夏」は28日の院内集会を皮切りに8月25日まで全国各地で開催されている。 また、日韓両政府による初の遺骨確認調査が8月7日、福岡県田川市の納骨堂で実施され、4体が朝鮮半島出身者であることを確認した。 |
市民会議が第165回臨時国会招集日に全国会議員に要請 2006年9月29日 |
【要請文】 安倍首相は所信表明演説で、 アジアとの和解と共生に道を開く歴史認識の表明を! ■国際社会が見守る所信表明 第165回臨時国会の開会にあたって、国会議員のみなさまに訴えます。 安倍晋三内閣が発足し、本日は安倍首相による所信表明演説が行われる大事な日であります。 今年の11月3日は日本国憲法が公布されて60年にあたり、来年の5月3日は施行60年、7月7日は日中戦争70年の節目の年を迎えます。 内外の激動期にあって安倍首相がどのような歴史認識の下、所信を表明されるか、日本のみならず、国際社会が関心を持って見守っているところです。 ■安倍首相の歴史認識は 新聞報道によれば、安倍首相は戦後50年の村山首相談話に関する質問に対して、「歴史認識等々については、本来、歴史家に任せるべきものではないか」とか「個々の歴史の事実などの分析は本来は歴史家に任せるべき」と答えています。 更に、村山首相談話を「日本国政府としての歴史的な談話だ」とし、「次の内閣では、その内閣において過去の戦争については認識を示すべきではないのかと思っている」とも発言していますが、結局、安倍首相の歴史認識はあいまいなままです。 ■小泉内閣の閣僚として 一方、小泉前首相は戦没者追悼式などにおいて村山首相談話を踏襲し、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」と述べ、「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明し」ています。小泉内閣の閣僚であり、小泉前首相の後継者である安倍首相がどのような歴史認識を表明されるか、注目されているのであります。 ■公的調査で歴史の事実を明らかにすることが不可欠 歴史認識を公的な場で表明するといった重要な事柄は、安易に、また特定の人々の意見に基づいてなされるべきものではありません。歴史認識の表明は、かつて日本がアジア太平洋地域で何をしたのかという歴史の事実についての調査、学びなどによる確信がなければ不可能であります。 歴史の事実にかかわる問題を解決し、アジア太平洋地域の人々と歴史認識を共有していくためには、日本による植民地支配とアジア太平洋戦争において日本が与えた被害の実態を調査し、その結果を公表し、後世に伝えていくことが必要であると思います。 アジアの人々との本当の和解と共生の道が開かれるために、新内閣の大胆かつ勇気ある施策を望んでやみません。 ■恒久平和調査局設置法案の審議入りと成立を 具体的には、歴史史料をすべて公開し、中国、韓国などアジアの諸国と情報を共有することによって相互の歴史認識を深めることが何よりも大切であります。衆議院で継続審議となっている「恒久平和調査局設置法案」は、そのことを実現する法律案であります。 このことは、日本国の歴史的・今日的責任課題であると信じ、超党派による早期実現を心から願っております。 |
市民会議ニュース 2006.12.5 NO.127 |
第165回臨時国会 恒久平和議連が質問主意書 村山談話は踏襲するが、 日本がアジア諸国に与えた被害の「調査」は考えていない ― 安倍首相 近藤議連幹事長が安倍首相の歴史認識を問う ■歴史認識に質疑が集中 第165回臨時国会は9月26日に召集され、安倍晋三内閣が発足、冒頭から安倍首相の歴史認識に質疑が集中した。 安倍首相は自民党総裁選中の9月6日、戦後50年の村山談話は歴史的談話であるとして、次期内閣では村山談話をそのまま踏襲することはないとの考えを示していた。このため、臨時国会の冒頭から安倍晋三首相と内閣の歴史認識を問う質問主意書が続々と出され、代表質問と予算委員会で論戦が繰り広げられた。 9月26日は、恒久平和議連幹事長の近藤昭一衆議院議員が、安倍内閣は戦後50年の村山談話を踏襲する考えかどうかを問う質問主意書を提出した。 27日には参議院で、喜納昌吉参院議員が「安倍内閣総理大臣の歴史認識に関する質問主意書」を、福島みずほ参院議員が「第二次世界大戦についての歴史認識及び戦争責任に関する質問主意書」をそれぞれ提出。 29日は辻元清美衆議院議員が「安倍首相の歴史認識に関する質問主意書」と「安倍首相の靖国神社および国立追悼施設についての見解に関する質問主意書」を提出した。 ■日本がアジア諸国に与えた被害の「調査」を実施することは考えていない 近藤昭一衆院議員は安倍晋三首相がどのような歴史認識の下、国政を担い、中国および韓国等との関係改善に努めるのか、日本のみならず、国際社会が関心を持って見守っているとし、村山談話を踏襲するか否かなど5点に亘って質問した。 10月6日付の答弁書によると、近藤議員が戦後50年の村山談話は安倍内閣においても公式見解に変わりはないかと質したところ、「政府としての認識については、1995年8月15日及び2005年8月15日の内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりである。」と回答。村山談話および小泉談話を踏襲するとの見解を表明した。 しかし、「先の大戦」に日中戦争が含まれるかとの質問に対しては、「その時期等をめぐり様々な議論があるところ、政府として、具体的に断定することは適当ではないと考える。」として答弁を避けた。 また、日本がアジア諸国に与えた被害の実態について公的に調査するかどうか質したところ、「「調査」を実施することは考えていない」と回答した。(次ページに全文) 【質問主意書と答弁書】 近藤昭一・恒久平和議連幹事長の村山談話についての安倍内閣の認識に関する質問主意書(2006年 9月26日)と政府答弁書(2006年10月6日) 第165回国会(臨時会) 【質問主意書】今年の11月3日は日本国憲法が公布されて60年にあたり、来年の5月3日は施行60年、7月7日は日中戦争70年の節目の年を迎える。 内外の激動期にあって安倍晋三首相がどのような歴史認識の下、国政を担い、中国および韓国等との関係改善に努めるのか、日本のみならず、国際社会が関心を持って見守っているところである。 一方、小泉前首相は公的な戦没者追悼式などにおいて、村山総理談話の核心とも言うべき「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」との歴史認識を示し、村山首相と同様にそうした歴史の事実について「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明し」ている。それだけに、小泉内閣の閣僚であったこと、そして、小泉前首相の後継者を自負する首相として、どのような歴史認識を表明するか、次の事項について質問する。 【質問】一 1995年の村山富市内閣総理大臣談話(いわゆる「村山談話」)は、安倍内閣においても政府の公式見解と解してよいか。 【質問】三 村山談話の「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り」とある部分の「国策の誤り」について、日本が国策を誤った事実が存在すると認識しているか。 【質問】四 村山談話には、「また、現在取り組んでいる戦後処理問題についても、わが国とこれらの国々との信頼関係を一層強化するため、私は、ひき続き誠実に対応してまいります」とあるが、この部分に関しても、安倍内閣は村山談話を踏襲していると理解してよいか。 【答弁】一、三及び四について 政府としての認識については、1995年8月15日及び2005年8月15日の内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりである。 【質問】二 村山談話の中の「先の大戦」および「あの戦争」には、1937年7月に開始された中華民国との戦争(いわゆる「日中戦争」)が含まれると考えてよいか。 【答弁】二について お尋ねの「先の大戦」及び「あの戦争」については、その時期等をめぐり様々な議論があるところ、政府として、具体的に断定することは適当ではないと考える。 【質問】五 国としての歴史認識を表明するといった重要な事柄は、かつて日本はアジア太平洋地域の国々と人々に対して何をしたのかといった歴史の事実についての調査・研究などによる確信がなければ不可能である。 こうした困難かつ重要な歴史の事実にかかわる問題を解決し、過去の歴史についての認識をアジア太平洋地域の国々や人々と共有していくためには、日本による植民地支配とアジア太平洋戦争において日本が与えた被害の実態について公的に調査し、その調査結果を公表し、後世に伝えていくことが必要であると考えるが、如何か。 【答弁】五について 政府としては、御指摘の「調査」を実施することは考えていない。いずれにせよ、政府としては、今後も、悲惨な戦争の教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく世界の平和と繁栄に貢献していく決意であることに変わりはなく、また、我が国の戦後の歴史は、こうした戦争への反省を行動で示してきていると考える。 |