2007年 市民会議ニュース |
市民会議ニュース 2007.4.8 NO.128 |
第166回通常国会 「慰安婦」問題で公開ヒアリング 日本が加害者として被害者にご迷惑おかけしたことは事実。相手の身になって考え、 真実を国として究明しなくてはならない。 ― 鳩山由紀夫会長 恒久平和議員連盟が吉見義明教授を講師に開催 ■公開ヒアリングに150人、「慰安婦」問題の認識を深める 恒久平和議員連盟は3月7日、「慰安婦」問題に詳しい中央大学の吉見義明教授を招き公開ヒアリングを開催した。ヒアリングは国会議員や秘書、関係者ら150人が出席、関心の高さを伺わせた。 鳩山由紀夫会長は冒頭の挨拶で、「安倍首相は河野談話を継承するとしながら、『狭義の強制』はなかったとする本音とも取れる発言を行うなど慰安婦問題が国際的な関心を集めている。日本が加害者として被害者にご迷惑をおかけしたことは事実。相手の身になって考え、真実を国として究明しなくてはならない」と述べ、歴史事実を明らかにする恒久平和議連の意義を強調した。 ■吉見教授はインドネシアでは「官憲による強制連行の事実があった」と指摘 吉見義明教授は「慰安婦」制度研究の最新の知見からみた米下院「慰安婦」決議案と河野談話について講演。吉見教授はまず、強制の定義を「本人の意思に反する行為をさせること」(河野談話)とし、強制連行との関連では刑法第266条の略取および誘拐にあたる行為があったか否かを検証した。 そして、官憲による略取の事例としてオランダ政府のインドネシアに於けるオランダ人女性に対する強制売春に関する報告書(「1994年1月24日」を挙げた。 報告書によれば一例として1944年4月中旬、警察と憲兵はスマランで何百人もの少女や未婚の若い女性を捕まえ、17人をフローレス島の慰安所に輸送、売春婦として働くことを強制した。このうち、7人はヨーロッパ人女性であった、と記されている。 また、アンボンにおける旧軍人の回想録では、M参謀がアンボンに4つの慰安所を設けるために約100名の慰安婦を現地調達する案が出され、この慰安婦狩りの間は夜歩きも出来なかったと記されている。戦後になってこのことが明らかになったが、計画者はアンボンにおらず、女性たちを連行した現地住民の警官たちが処罰されたという。 これらの事例はいずれも占領地であり、刑法の適用を受けることなく終わったが、「官憲による強制連行」を示しており、米下院決議案や河野談話の認定が事実誤認であるとはいうことはできないと、吉見教授は語った。 また吉見氏は「慰安婦」の総数について一説によると兵隊100人に慰安婦1人とする数字もあるが、実態として数万人から20万人の間であろうと推定した。 |
市民会議ニュース 2007.7.15 NO.129 |
第166回通常国会閉会 国会図書館法改正案は継続審査 恒久平和議員連盟は長尾真国会図書館長と意見交換 ■国立国会図書館の館長に京都大学前総長の長尾真氏が就任 衆議院は7月5日に本会議を開き、議院運営委員会に審査を付託した恒久平和調査局設置法案(「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」衆法第27号 2006年5月23日衆議院提出)を継続審査にするなど閉会中の審査を決定。1月26日に召集された第166回国会は162日間の会期を終えた。国立国会図書館のあり方を注視している私たちにとって今会期で画期的だったことは、二代目館長以来続いていた衆参事務総長人事が廃され、有識者から新しい館長が選任されたことだ。 ■議連は「慰安婦」問題で公開シンポジウムを開催 恒久平和議員連盟は第166回国会に臨んで米下院での「慰安婦」決議案提出など歴史認識問題の高まりから、3月7日に吉見義明中央大学教授を講師に「慰安婦」制度研究の最新の知見からみた米「慰安婦」決議案と河野談話について公開ヒアリングを開催し、歴史の事実を直視するよう訴えた。 ■長尾真国会図書館長と意見交換 5月25日には4月に国立国会図書館長に就任した長尾真館長と国会図書館法改正案について意見交換を行うなど精力的に法律案の審議促進に努めたが、実質審議には到らなかった。 ■国会図書館を充実すべき 国会図書館運営の衆議院側責任者である松野頼久図書館運営小委員長は、「国会図書館は行政府に対抗できる調査能力と立法機能を持つべきであり、人減らしをするのではなく、人も予算も増額すべきで京都大学総長を経験した長尾真図書館長には思う存分やっていただきたいと話をしている」と述べた。 ■参院選で歴史認識が試される 米国下院の「慰安婦」決議と韓国政府の強制動員被害者への生活支援。日中戦争70年を迎えた中国といずれも日本の歴史認識を注視している。恒久平和調査局設置法案は歴史認識にかかわる日本の国際社会へのメッセージとなる法律である。7月29日投票の参議院議員選挙は国際社会から評価される日本へと進路を取る大きなチャンスだといえる。恒久平和議員連盟に参加した改選議員、元議員の奮闘に期待したい。 Contents NO.129 恒久平和調査局設置法案は継続審査/長尾真国会図書館長と意見交換詳報/米下院外交委員会の「慰安婦」決議案全文/米「慰安婦」決議可決の波紋/調査会法情報より/ |
市民会議ニュース 2007.10.15 NO.130 |
第168回臨時国会 10月23日 作家・半藤一利氏の講演会を予定 恒久平和議員連盟が第9回総会を開催へ ■市民会議は第168回国会招集日に全国会議員に法案成立を要請 第168回臨時国会は9月10日に召集され、恒久平和調査局設置法案(「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」衆法第27号 2006年5月23日衆議院提出)は衆議院議院運営委員会に審査を付託しました。市民会議は同日、衆参全国会議員に法案成立の要請を行いました。しかし、安倍首相は12日に辞任表明し、25日に首相指名投票が行われるまで国会は空転しました。 ■恒久平和議員連盟は10月23日に第9回総会を開催へ 参議院で与野党逆転となった国会で恒久平和議員連盟は新議員への加盟を促進するため、会期中に第9回総会を開催することを決め、準備に取り組んでいます。新議員を迎えた総会には、法案の理解を広げるため、公開ヒアリングを行うことを予定しています。 ■総会記念講演にノンフィクション作家の半藤一利氏を予定 公開ヒアリングには昭和史の研究者でノンフィクション作家の半藤一利氏を講師に招き、「先の大戦が私たちに示した教訓とは何か」と題して昭和史の教訓について講演していただくことにしています。 Contents NO.130 恒久平和議連が第9回総会を開催へ/市民会議が全議員に法案成立を要請/IWGが最終報告書提出/徳留絹枝さんの米下院「慰安婦」決議採択リポート・米議会と日本の歴史問題 |
第168回国会冒頭に調査会法の成立を全議員に要請 2007年9月10日 |
市民会議は9月10日、第168回臨時国会の冒頭、衆参両院全国会議員に恒久平和調査局設置法案(国立国会図書館法の一部を改正する法律案)の早期成立を要請しました。当日は午前中に全議員の議員会館を訪ねて要請文を配布、午後は安倍首相の所信表明演説が行われました。しかし、ご承知のように安倍首相は9月12日に辞任表明を行い、国会は空転。9月25日になり、衆参両院で首相指名選挙が行われ、衆議院は福田康夫氏、参議院では小沢一郎氏が指名され、9年ぶりに両院協議会が開催され、協議不調のため、衆議院が指名した福田康夫氏が総理大臣に指名されました。以下は、要請文の全文です、 【要請文】 国会議員のみなさまへ 2007年9月10日 日中戦争から70年。いまこそ「恒久平和調査局設置法案」を成立させてください! ■戦争被害の公的調査は未だ行われていません 第168回国会の開会にあたって、衆参両院の国会議員の皆さまに訴えます。 8月15日、安倍首相は全国戦没者追悼式で、アジア諸国に対する加害責任を明言しました。続いて河野洋平衆院議長と江田五月参院議長からも、先の大戦における日本の加害責任に言及する挨拶がありました。 全国戦没者追悼式という場で、国政の最高責任者と国会の両院議長から揃ってこのような挨拶があったのは画期的なことです。背景に米下院決議や、参議院の与野党逆転状況があるのかも知れませんが、ともかく素晴らしいことであり、喜ばしいことです。 しかし国政の責任者が言ったからには、言っただけでは済まされません。それが今後の政治に生かされなければなりません。 そのためにまず必要な事は、日本の植民地支配と侵略がもたらした被害の実態(日本人の被害も含む)について公的に調査し、その結果を公表し、後世に伝えていく作業です。 21世紀における日本のあり方を考えるとき、検討すべき課題は数多くありますが、それらの課題の大前提として、過去の歴史事実を公的に調査することが不可欠です。日中戦争から70年の節目にあたる今年は、遅まきながら歴史事実の公的調査に踏み切る好機です。 衆議院で継続審査となっている「恒久平和調査局設置法案」(国立国会図書館法の一部を改正する法律案)はそうした作業を行なうための法案です。今こそこの法案を、審議のテーブルに載せ、成立させるべき時を迎えています。 ■アジア外交の正常化で歴史認識の相互理解に期待します 今年は盧溝橋事件に端を発した日中全面戦争から70年、日中国交回復から35年の節目の年です。小泉内閣で冷え切っていた日中関係は安倍内閣になって関係改善が見られ、アジア諸国との和解と共生に道を開く歴史認識の相互理解を訴えてきた私たちにとって大変喜ばしいことでした。 現在、日本と中国は双方の歴史研究者による日中歴史共同研究が行われ、日本と韓国の間でも第2期の日韓歴史共同研究が始まるなど、より一層、歴史認識について相互理解が深まることを期待するものです。 ■戦争被害の真相究明に力を注いでください 中国の人々は未だに戦争の惨禍に苦しみ「戦後はまだ終わっていない」と訴えています。韓国では長い植民地支配ゆえに「日本はまだ戦前が終わっていない」という声も聞かれます。 日本で亡くなった人々に対する日韓合同の遺骨返還の作業も始まったばかりです。もはや、歴史の事実を公的に調査することを斥け、アジア諸国の人々との共生を妨げたりしているときではありません。もちろん、調査というのは、最初からある結論に導くために行なうものではなく、事実を公的に調査し、どのような結果が出ても、それを事実として公的に認めようというものです。 日本を始め、アジア諸国が協力して先の大戦における戦争被害の真相を明らかにする努力が求められています。 ■「恒久平和調査局設置法案」を成立させてください 超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」(鳩山由紀夫会長)は1999年、先の大戦の歴史事実を調査し、明らかにすることで、日本とアジア諸国の信頼醸成を図ることを目的とした「恒久平和調査局設置法案」(正式には「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」)を発議し、衆議院に提出しました。 この法律案は衆議院の図書館運営小委員会において審議されましたが、衆議院の解散総選挙で審議未了を3度繰り返し、昨年の5月に再び衆議院に提出されています。 国会議員の皆様がアジア諸国の戦争被害者の声を受けとめ、政党の枠を超えて協力し合い、「恒久平和調査局設置法案」の成立にご尽力くださることを切望ます。 |
市民会議ニュース 2007.12.5 NO.131 |
第168回臨時国会 恒久平和議員連盟が第9回総会を開催 半藤一利氏の講演に80人が参加 ■副幹事長に今野東参議院議員が就任 恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟(鳩山由紀夫会長)は10月23日、第9回総会を開催しました。 総会は辻元清美副会長の挨拶のあと、寺田学事務局長の進行で行われ、06年2月21日の第8回総会以降の経過報告と新役員、活動計画などを承認しました。 ■朝鮮半島出身者の遺骨返還で前進 経過では審議未了で廃案となっていた恒久平和調査局設置法案(「国立国会図書館法改正案」)を2006年5月23日に提出し、第168回国会では衆議院議院運営委員会に審査を付託していること、日韓両国で合意されている徴用・徴兵者の遺骨返還問題への取り組み、「慰安婦」問題公開ヒアリングの開催、国立国会図書館の長尾真新館長との懇談などを行ったことを報告しました。 今後の活動計画では同法案の早期成立を図ることを前提に韓国における強制動員被害真相究明に協力すること、文書管理法の検討など、公文書の保管・利用にかんするシステムを整備することなど5項目の方針を決めました。 ■軍部の独走が悲劇の原因と半藤氏が講演 総会の後、公開ヒアリングとしてノンフィクション作家の半藤一利氏の記念講演会を開催しました。半藤氏は米国による日本への原爆投下に至る経緯を詳しく説明し、米国の投下理由は戦後に説明されたもので、実際にはグローブズ将軍などの米陸軍の独走に原因があったとし、米国でも日本でも軍部の独走に歯止めがかけられなかったことが大戦の悲劇をもたらした、と講演しました。 ■福田内閣に歴史認識と記録管理で質問書 議員連盟は活動計画に沿って、安部内閣に替わって発足した福田内閣に対し、歴史認識と政府の記録管理について質問主意書を提出。村山談話と河野談話の踏襲と記録管理で法的検討に踏み込むことを明らかにさせました。 Contents NO.131 恒久平和議連第9回総会/韓国の強制動員認定/福田内閣の歴史認識/スペイン歴史記憶法/広がる「慰安婦」決議/記録管理に不備/公文書は財産/外務省、日韓会談文書公開/市民会議発足10年 |