2010年 市民会議ニュース |
市民会議ニュース 2010.3.6 NO.140 |
第174通常国会 施政方針演説で日韓関係に言及 1月29日 〜 鳩山首相「過去の負の歴史に目を背けない」〜 2010年を「過去の克服」の年に 鳩山由紀夫首相は1月29日、初の施政方針演説で日韓関係に言及、「過去の負の歴史に目を背けることなく、これからの百年を見据え、真に未来志向の友好関係を強化してまいります」と述べました。過去の歴史諸課題への具体的な提案はなかったが、「過去の負の歴史」と「これからの百年」に国際公約となった「アジアとの和解」へのメッセージをうかがうことができます。市民会議は通常国会の開会にあたり、2010年を「過去の克服」の年にするために鳩山法案ともいうべき、恒久平和調査局設置法案の早期成立を衆参両院の全国会議員に訴えました。■国会は鳩山法案の早期成立を! 市民会議は第174通常国会召集日の1月18日、衆参両院の全国会議員に鳩山法案の早期成立を要請しました。鳩山法案とは国立国会図書館に戦争の惨禍を公的に調査する恒久平和調査局を設置するという法律案です。この法律案は1999年以来、4回にわたって提出し、4度の廃案を繰り返してきました。法律案を発議したのは民主・社民・自民・公明・共産の各党の国会議員が加盟する超党派の議員連盟であり、決して党派的な偏りがあるわけではありません。国会は2010年を「過去の克服」の年にするため、日本国民の総意として早期成立で合意すべきです。 ■「被害者の気持ちを決して忘れてはいけない」と岡田外相 通常国会で初めて施政方針演説を行った鳩山首相は、「日韓関係の、世紀をまたいだ大きな節目の今年、過去の負の歴史に目を背けることなく、これからの百年を見据え、真に未来志向の友好関係を強化してまいります」と述べました。持論の「東アジア共同体」構想を推進するためには「過去の歴史を清算しなくてはならない(講演「日韓関係の過去から未来へ」 1998年5月)」ことを痛感している鳩山総理だからこその表明です。この施政方針を受けて岡田克也外相は日韓会談で「痛みを覚える被害者の気持ちを決して忘れてはいけない」と指摘しました。これからは「アジアとの和解」に向けた具体的な方策が示されなくてはなりません。 ■韓国への徴用者未払い賃金供託金記録の提供を歓迎 日本政府は1月7日、戦時中に強制動員された徴用者の未払い賃金の供託金名簿を韓国側に提供することに合意しました。韓国では強制動員被害の調査を行ってきましたが、被害認定のための記録がなく、日本政府に厚生年金名簿や供託金記録の提供を要請していました。前政権までは実現しなかった問題がようやく前進することになったわけです。改めて戦時中の戦争被害に関する真相究明の必要性が認識されることになりました。 ■日中歴史研究で残された戦後課題も明らかに 昨年は中国人強制労働事件で被害者と西松建設の間で和解が成立しました。日中間でも歴史共同研究の報告書が公表され、歴史問題として遺棄毒ガスや細菌戦などの解決されていない課題も明らかになりました。いまこそ鳩山内閣は強制連行や「慰安婦」問題、生物化学兵器などの歴史問題に正面から取り組むべきときがきていると考えられます。「アジアとの和解」は日本国民としての義務であり、国会は率先してその解決の道をさぐるべきです。 Contents NO.140 鳩山法案の早期成立を/市民会議が全議員に要請 /施政方針と日韓外相会談/韓国へ供託金名簿を提供/日中歴史共同研究で報告書/シベリア抑留/731部隊資料/旧軍毒ガス弾/「慰安婦」議会決議31件に/ |
衆参両院の全議員に鳩山法案の早期成立を要請 2010年1月18日 |
〜 鳩山内閣の国際公約「アジアとの和解」実現の年に 〜 第174通常国会の開会にあたり、市民会議は「韓国併合100年」・「戦後65年」・「村山談話15年」という節目を迎える重要な年である2010年をアジア諸国の人々との信頼関係を醸成する「過去の克服」の年とするため、衆参両院の全国会議員に党派を超えて「アジアとの和解」へ鳩山法案(=真相究明法)の制定を訴えました。 【要請文】 国会議員のみなさまへ 2010年1月18日 2010年を「過去の克服」の年に 〜 「アジアとの和解」へ真相究明法の制定を 〜 ■アジア諸国の人々との信頼へ具体的な施策を 第174通常国会の開会にあたり、衆参両院の国会議員の皆さまに訴えます。 今国会において鳩山連立内閣発足後、初めて鳩山総理による施政方針演説が行われます。鳩山総理は総理就任後、歴史問題に関して積極的な発言をされ、「東アジア共同体」構想の実現のためにはアジア諸国の人々との和解は欠かすことのできない課題だとの認識を示されています。 2010年はいうまでもなく韓国併合100年であり、戦後65年、「村山談話」から15年という節目を迎える年にあたります。したがって鳩山総理が残された戦後諸課題にどのように対処されるのか、日本国民のみならず、国際社会が施政方針演説に注目しているのです。 そして鳩山総理の演説とともに、国会論戦では国際社会における日本の立場を各党がどのように認識しているのか、その政治姿勢が問われることにもなり、大いに注目されるところです。 ■韓国への徴用者供託金記録の提供を歓迎 去る1月7日、日本政府と韓国政府との間で、日本統治下の朝鮮半島において強制動員させられた人々の未払い賃金の供託金記録を3月末までに韓国側に提供するという合意がなされました。この供託金記録の提供は鳩山総理の国際公約となった「アジアとの和解」に向けた具体的な一歩だと大いに歓迎するものです。 なぜならば、鳩山総理はこれまで歴史の事実を明らかにする超党派の恒久平和議員連盟の会長をされ、韓国の強制動員被害真相究明委員会とも交流し、日本の立場から真相調査に協力することを約束されていたからです。 ■国会図書館に「恒久平和調査局」の設置を 私たちの市民団体は、公正中立な立場から歴史の事実を明らかにするため、国立国会図書館に恒久平和調査局を設置する法律案の成立を願って活動を続けてきました。 この「国会図書館法改正案」は、1998年に鯨岡兵輔、鳩山由紀夫、浜四津敏子、武村正義、土井たか子の各議員が呼びかけ人となって結成された超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」が発議した法律案です。その目的は、大戦の惨禍の実態を明らかにすることによってアジア諸国との信頼を図り、日本の国際社会における名誉ある地位を保持する、としています。 昨年の第171通常国会で審議未了となりましたが、新しい国会での再提出に私たちは大いに期待を寄せています。 ■アジア諸国との信頼は「過去の克服」が前提要件 戦後65年の2010年にあって鳩山内閣と国会が先の大戦の惨禍の実態を公的に調査し、アジア諸国に対してどのような被害をもたらしたかについて全体像を調査し、その調査結果を国民が共有するため、与野党を問わずともに協力されるよう切望して止みません。 「東アジア共同体」は日本の「過去の克服」から生まれると信じて、真相究明法の早期成立にご尽力くださることを期待し、皆さまの大切なお働きに心から感謝申し上げます。 ■民主党政策集 INDEX 2009 国会図書館に恒久平和調査局を設置する国立国会図書館法の改正、シベリア抑留者への未払い賃金問題、慰安婦問題等に引き続き取り組みます。 ■社民党衆議院議員選挙公約 2009 国会図書館に戦争の事実調査を行う恒久平和調査局を設置するための「国立国会図書館法改正案」の早期成立をめざします。 |
市民会議ニュース 2010.7.3 NO.141 |
第174通常国会 シベリア抑留特措法が成立、政権交代で実現 戦後65年談話で「アジアとの和解」を 菅内閣は「過去の克服」への具体策を示せ 「アジアとの和解」を国際公約にした鳩山内閣が志半ばで退陣、6月8日に新しく菅直人内閣が誕生しました。菅新首相は内閣発足後の6月10日、李明博・韓国大統領との電話会談で「歴史を直視するだけでなく、反省すべきことは反省する。未来を見通した協力関係を構築できるよう努力する」と述べました。また11日の所信表明演説で東アジア共同体構想を推進する立場を明らかにしています。菅首相には鳩山政権を引き継ぎ、戦後65年と韓国併合100年を迎える今年の8月、「過去の克服」への一歩を踏み出してもらいたいと思います。 第174回国会は1月18日に召集、6月16日に閉会しました。東アジア共同体構想実現のため、鳩山内閣には残された戦後諸課題に対処するための調査会を設置することや、鳩山法案ともいうべき恒久平和調査局設置法案の早期成立が期待されましたがいずれも持ち越されました。 しかし政権交代によってシベリア抑留者に給付金を支給する法律が制定され、韓国に強制動員被害調査のための徴用者未払い賃金供託金名簿を提供、韓国出身軍人軍属の遺骨返還追悼式典に初めて日本の岡田外相が出席して追悼の辞を述べるなど明らかな前進がありました。 菅内閣においてもその姿勢を継承し、2010年を「過去の克服」の年にするために参議院議員選挙後の臨時国会で戦後65年談話を発表し、具体的な施策を講じるよう期待するものです。 ■シベリア抑留特別措置法、政権交代で実現! 戦後、旧ソ連やモンゴルに抑留、強制労働させられた元抑留者に特別給付金を支給することなどを骨子とする特別措置法が第174回国会最終日の6月16日、衆院本会議で可決、既に参議院先議で可決しているため成立しました。同法は16日、即日公布・施行され、約7万人の日本国籍を持つ元抑留生存者に給付金が支給されることになりました。給付金は抑留年限によって25万円から最高150万円までとなっており、元抑留者がその後死亡した場合でも相続者が請求できることになっています。また政府にシベリア抑留の実態調査や遺骨収集、追悼事業を行うことを義務付けています。問題は旧植民地出身の台湾や朝鮮半島出身者らが対象外にされたことです。 ■岡田外相が遺骨返還追悼式典で過去を謝罪! 東京・目黒区の祐天寺に保管されていた韓国出身旧軍人軍属の遺骨219人の第4次返還追悼式が5月18日、日本政府主催で行われました。今回の追悼式は、日本の外相として初めて岡田克也外相が出席、「98年の日韓共同宣言で表明したとおり、日本は過去の一時期、韓国国民に対し植民地支配のより多大の損害と苦痛を与えた」と述べ、反省と謝罪を表明しました。これまでの追悼式では、副大臣が外相の追悼辞を代読してきました。今後は軍人軍属の遺骨だけでなく、強制連行された徴用者の遺骨返還が課題となっています。 ■韓国に徴用者未払い賃金記録を提供! 日本政府は3月26日、戦時中に強制動員された徴用者の未払い賃金の供託金記録17万5000人分(供託金総額2億7800万円)を韓国政府に提供しました。この記録によって被害認定が進み、被害者への支援金給付が進むことが期待されています。被害調査にはこのほか厚生年金や郵便貯金の記録などの提供が求められています。 Contents NO.141 過去の克服へ戦後65年談話を/シベリア特措法成立 /略奪文化財/強制動員被害の真相究明/「慰安婦」決議・意見書が51議会に/調査会法情報より/福留範昭さんを偲ぶ/歴史共同研究報告書/ |
市民会議ニュース 2010.10.16 NO.142 |
第176臨時国会 菅内閣は韓国併合100年談話に沿って 今こそ、恒久平和調査局の設置を! 〜 歴史的事実の共有こそ友好発展の道 〜 菅直人首相は8月10日、韓国併合100年に当たって、韓国併合が韓国の人々の意思に反した行為であったことを認め、文化財の引渡しやサハリン残留、遺骨返還などの人道的な協力を今後も実施する談話を発表しました。韓国の李明博大統領も8月15日の光復節で菅談話を評価しました。今後は菅談話を一歩進め、戦争の惨禍を公的に調査する恒久平和調査局を設置し、侵略行為や植民地支配の検証を行うことが求められます。 ■臨時国会で恒久平和調査局の設置を要請 市民会議は7月30日、菅首相が鳩山前首相の国際公約である「アジアとの和解」に向けた具体策を戦後65年談話として発表するよう全議員に要請しました。菅首相は8月10日、韓国併合100年に当たっての総理談話を発表し、日本の植民地支配に対する反省とお詫びを表明しました。また談話で「歴史に対して誠実に向き合いたい」とし、「歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたい」と述べました。市民会議は総理談話発表後の第176臨時国会において、菅談話に沿って2010年を「過去の克服」の年にするために、歴史事実を公的に調査する恒久平和調査局を設置するよう要請しました。 ■歴史の事実の共有は東アジア共同体の基礎 昨年の11月、鳩山首相(当時)はアジア政策の柱に「東アジア共同体構想」を据えました。菅首相も10月1日の所信表明演説で、「東アジア共同体構想の実現を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたい」と述べています。東アジア諸国はかつての日本が大東亜共栄圏を標榜してアジアを侵略した事実を忘れてはいません。中国で日本軍が行った細菌戦の真相究明は行われていませんし、現在も遺棄した化学兵器による被害が発生しています。遺棄化学兵器の無害化処理も著に付いたばかりです。東アジア共同体構想を推進するためには、かつての戦争の歴史を検証し、歴史事実を共有化することによって信頼関係を醸成することが必要です。歴史事実の共有は東アジア共同体の基礎といって過言ではありません。恒久平和調査局を一刻も早く設置することが必要なのです。 ■徴用者遺骨の返還求め、韓国遺族が来日 鳩山政権以来、韓国の強制動員調査への協力が進んでいます。3月26日、日本政府は戦時中に強制動員された徴用者の未払い賃金の供託金記録17万5000人分(供託金総額2億7800万円)を韓国政府に提供しました。8月26日には日本に強制連行され日本企業の作業場や炭鉱などで労働を強いられ死亡した民間徴用者5600人余りの死亡記録「埋葬・火葬許可証」を引き渡しました。 東京・目黒区の祐天寺に保管されていた韓国出身旧軍人軍属423人の遺骨も返還されました。5月18日の追悼式典には、日本の外相として初めて岡田外相(当時)が出席しました。 しかし全国から2600件の情報が寄せられている民間徴用者の遺骨返還は未だ行われていません。韓国の遺族は10月7日に来日し、速やかな調査と早期返還を行うよう要請しました。 菅談話にある「朝鮮半島出身者の遺骨返還支援を人道的な協力を今後とも誠実に実施していきます。」という言葉を裏切らないことが重要です。 Contents NO.142 今こそ、恒久平和調査局の設置を/第176国会で全議員に要請/総理大臣談話/中国の対外政策「韜光養晦、有所作為」とは/公文書管理―旧陸海軍文書/韓国の遺族が来日/「慰安婦」問題の解決へ/ |
衆参全国会議員に恒久平和調査局の設置を要請 2010年10月1日 |
〜 歴史的事実の共有こそ友好発展の道 〜 第176臨時国会が招集された10月1日、市民会議は衆参両院全国会議員に恒久平和調査局の設置を要請しました。市民会議は7月に開催された第175臨時国会で、菅直人総理に戦後65年に当たってアジア諸国との和解に向けた談話を発表し、具体的な施策を明記するよう要望しています。菅総理は8月10日、韓国併合100年の総理談話を発表、韓国併合が韓国の人々の意思に反した行為であったことを認め、文化財の引渡しやサハリン残留、遺骨返還などの人道的な協力を今後も実施することを表明しました。第176臨時国会では菅談話を一歩進めるため、戦争の惨禍を公的に調査する恒久平和調査局を設置することを要請しました。 【要請文】 国会議員のみなさまへ 2010年10月1日 今こそ、恒久平和調査局の設置を 〜 歴史的事実の共有こそ友好発展の道 〜 ■歴史事実の真相究明を早急に 第176回臨時国会の開会にあたり、衆参両院の国会議員の皆さまに訴えます。 菅総理は8月10日、「韓国強制併合」から100年の総理談話を発表されました。「韓国強制併合」が韓国の人々の意思に反して行われ、民族の誇りを深く傷つけたことを認める画期的な談話でした。また談話の中で、文化財の引渡しや在サハリン韓国人支援、遺骨返還支援という人道的な協力を今後とも誠実に実施していくと具体的な施策に言及されたことを歓迎するものです。 今こそ、歴史の事実を直視するという総理談話に沿って、先の大戦における歴史の事実に関する公的な調査を進めていただきたいと思うのです。 菅総理には本日の所信表明演説において、「東アジア共同体構想」を実現するという大局的な見地から、歴史の事実を公的に調査することを表明されるよう期待します。 また与野党を問わず各党は、日中間やアジア諸国との友好発展に日本がどのように寄与すべきかを念頭に論戦を繰り広げられることを期待するものです。 ■恒久平和調査局設置法の制定を 私たちは、歴史の事実に関する公的な調査を進めるために「恒久平和調査局」を早急に設置することを訴えています。 菅総理談話は、「歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたい」と述べています。 そうであるならば、包括的に戦争の被害を公的に調査するための「恒久平和調査局設置法案」を是非、成立させていただきたいのです。 同法案は国立国会図書館法を改正し、国立国会図書館に戦争の被害を公的に調査する恒久平和調査局を設置することを求めています。 「恒久平和調査局設置法案」は、1998年に鯨岡兵輔、鳩山由紀夫、浜四津敏子、武村正義、土井たか子の各議員が呼びかけ人となって結成された超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」が発議した法律案です。その目的は、大戦の惨禍の実態を明らかにすることによってアジア諸国との信頼を図ることにあります。新しい国会での再提出に私たちは大いに期待を寄せています。 ■韓国から強制動員の遺族が来日 岡田外務大臣は9月13日、政府の招待で来日した連合国元捕虜にたいして真摯な謝罪の言葉を述べました。岡田外務大臣は5月に行われた韓国出身旧軍人軍属の遺骨返還追悼式に日本政府を代表して出席され、追悼の辞を述べられました。しかし朝鮮半島から強制的に徴用された人々の遺骨は返還されないまま日本の各地で眠ったままの状態です。 このたび韓国の強制動員被害者の遺族の皆さんが、日本政府に遺骨返還や資料提供などを求めて来日されることになりました。国会議員の皆さまにぜひご参加いただきたく思います。 ■「東アジア共同体」は「過去の克服」から 菅内閣と国会が先の大戦の惨禍の実態を公的に調査し、アジア諸国に対してどのような被害をもたらしたかについて全体像を調査し、その調査結果を国民が共有するため、与野党を問わずともに協力されるよう切望して止みません。「東アジア共同体構想」を進めるためにはお互いが真摯に過去の歴史と向き合い、信頼関係を回復することが大切です。 「東アジア共同体」は日本の「過去の克服」から生まれると信じて、真相究明法の早期成立にご尽力くださることを期待し、皆さまの大切なお働きに心から感謝申し上げます。 |
市民会議ニュース 2010.12.12 NO.143 |
第176臨時国会 日韓外相が朝鮮王朝記録引き渡し協定に署名 植民地時代の文化財返還に道筋 〜 歴史の事実を共有し、誠実な対応を 〜 菅直人総理と韓国の李明博大統領が立会い、前原外相と韓国の金星煥(キム・ソンファン)外交通商部長官は11月14日、朝鮮王朝記録を韓国側に引き渡す日韓図書協定に署名しました。これによって韓国が求めていた「朝鮮王朝儀軌」をはじめ、朝鮮王朝記録1205点の返還が可能になりました。 ■植民地時代の流出文化財の調査を 日韓図書協定は8月10日に発表された韓国併合100年にあたっての菅総理談話を受けて行われ、国会の承認後、半年以内に韓国側に引き渡すとしています。しかし協定は12月3日に閉会した第176国会で継続審査になりました。 植民地時代に日本に流出した韓国・朝鮮の文化財は韓国側の調査で6万点に以上にのぼり、返還されたのは5千点に過ぎないということです。11月20日には韓国への文化財返還に関する日韓シンポジウムが開催され、利川(イチョン)の「五重石塔」返還問題が議論されました。今回の協定締結で文化財返還に向けた一歩を踏み出しましたが、植民地時代の流出文化財調査を行い、歴史の事実を共有することによって誠実な対応が求められています。 ■早急に朝鮮半島出身の旧民間徴用者の遺骨返還を 民主党の戦後補償を考える議員連盟遺骨チームが11月15日、外務省と厚生労働省から遺骨問題のヒアリングを行いました。特に旧民間徴用者の遺骨返還は進んでおらず、早急な実施が課題となっています。ヒアリングでは2662人の遺骨情報が寄せられ、朝鮮半島出身と見られる遺骨が809人、身元情報がない遺骨が673人との報告がされました。韓国政府は遺族捜しを行っており、日本政府は早期返還に向けて取り組む姿勢だということです。 ■「慰安婦」問題解決へ61万人の署名を提出 旧日本軍による「慰安婦」問題を解決するため国際署名に取り組んだ市民団体が11月25日、61万人の署名を日本政府に提出しました。署名は日本と韓国、フィリピン、台湾など世界各国の市民から寄せられ、日本政府と国会に被害者への公式謝罪と補償を行う法律の制定を要望しています。国会で行った提出集会には韓国や全国から約400人が参加しました。また韓国の国会議員177人の署名も李美卿議員が外務省の伴野豊副大臣に手渡しました。このほか地方議会の決議や意見書も75議会に達しています。 ■731部隊の被害者が解決求め陳情 731部隊など旧日本軍が行った人体実験や細菌戦の被害者や遺族が11月、問題の解決を訴え、相次いで来日しました。来日したのは湖南省と浙江省の細菌戦被害者とハルビンの731部隊に送られた被害者遺族。被害者らは国会議員に実情を訴え、問題の解決に努力するよう要請しました。中国は731部隊跡地を日本軍侵略の歴史を示す重要な731遺跡として保存し、後世まで継承することにしています。また、731部隊など旧日本軍の防疫給水部隊の本部であった陸軍軍医学校防疫研究室跡地に埋められたとされる人体標本の発掘調査も日本の厚生労働省によって行われることになり、国際社会から注目されています。 Contents NO.143 朝鮮王朝記録引き渡しに合意/流出文化財の調査と返還を/旧民間徴用者の遺骨返還が急務/独外務省がナチの戦争犯罪に加担/731部隊の戦争犯罪に国際社会が注目/61万人が「慰安婦」問題解決求める/ |