2011年 市民会議ニュース |
市民会議ニュース 2011.3.13 NO.144 |
第177通常国会 「満州事変」から80年 ■和解に向けた姿勢はトーンダウン 菅直人総理は2010年6月の所信表明演説で「アジアを中心とする近隣諸国とは、政治・経済・文化等の様々な面で関係を強化し、将来的には東アジア共同体を構想していきます。」と述べました。8月の韓国併合100年にあたっての総理談話においても韓国併合条約を謝罪するなどアジアの人々との和解に向けた努力が感じられました。しかし今年になって和解に向けた姿勢はトーンダウンし、施政方針演説で東アジア共同体に言及されなくなったことは大変残念なことです。私たちは菅内閣にアジアの人々との和解政策を堅持するよう期待しています。 ■韓国とは「総理談話のフォローアップ」に誠実に対応 施政方針は日韓関係について、昨年8月の総理談話を踏まえた未来関係を構築するとしています。1月15日に行われた日韓外相会談は「総理談話のフォローアップ」が議題となり、前原外相は日韓図書協定の成立に向けて努力することや在サハリン「韓国人」支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援を誠実に履行するとしました。 ■急ピッチで進む韓国の強制動員認定と慰労金支給 韓国では強制動員調査支援委員会が被害申告約23万件のうち18万8千件の認定を行い、6月末までに全ての審査を終えるとしています。被害認定者に慰労金などを支給する事業も6月末まで申請を受付け、すでに申請のあった6万5千件のうち、4万5千件に2千9百億ウォンを支給しているということです。このほか釜山に強制動員歴史記念館を建設する事業や日本の強制動員を行った企業との補償協議も進行しています。昨年末には、浮島丸事件や朝鮮人シベリア抑留などの調査報告書を公表しました。 ■日韓弁護士会が「慰安婦」問題・強制動員の真相究明求める 日弁連と韓国の弁護士協会は2010年12月11日、日韓併合100年を機に、日本のアジア太平洋戦争時における人権侵害に関し、徹底した真相究明と被害者への謝罪と補償を求める共同宣言を発表しました。また「慰安所」制度が国際法に違反する人権侵害であったことを日本政府が認め、立法によって被害者への謝罪と金銭的補償を行うよう求める提言も発表しました。提言は衆参両院議長、内閣総理大臣、外務大臣及び各政党に提出されました。 ■台湾の馬総統、慰安婦問題は日本に責任 台湾の馬英九総統は2010年12月、「慰安婦」訴訟展で日本政府が慰安婦問題で過ちを認め、謝罪しないことに極めて遺憾だと述べました。 Contents NO.144 「満州事変」から80年/「東アジア共同体」構想の継承を/日韓弁護士会が共同宣言/「慰安婦」問題の立法解決提言/台湾で「慰安婦」訴訟展/軍医学校の人骨調査始まる/毒ガス・化学兵器被害/ |
第117回通常国会 2011年1月24日 |
〜 「満州事変」から80年、歴史事実の公的調査へ 〜 市民会議は第177回国会が召集された1月24日、衆参両院全国会議員に恒久平和調査局の設置を要請しました。今年は「満州事変」から80年という節目の年に当たり、歴史事実の公的調査に着手するよう求めました。 【要請文】 国会議員のみなさまへ 2011年1月24日 今こそ、恒久平和調査局の設置を 〜 「満州事変」から80年、歴史事実の公的調査へ 〜 ■アジア諸国との信頼へ具体的な施策を 第177回通常国会の開会にあたり、衆参両院の国会議員の皆さまに訴えます。 昨年は韓国併合から100年に当たり、菅直人首相は日本の植民地支配を謝罪する総理談話を発表しました。総理談話は謝罪の言葉だけではなく、遺骨返還やサハリン残留、朝鮮王朝記録の引き渡しなど具体的な施策まで言及しました。そして韓国との間で朝鮮王朝記録を引き渡す「図書協定」を調印することができました。 今年はアジア太平洋戦争が始まった「満州事変」から80年という節目の年です。過去の植民地支配と侵略を直視し、アジア諸国との友好関係を進めるために歴史の事実を明らかにし、事実を共有することが大切だと思います。菅首相は鳩山前首相が提唱した「東アジア共同体」構想を継承し、アジア諸国の人々との和解を進めるために、ぜひとも「過去の克服」に取り組まれるよう期待するものです。 菅首相が2011年の初頭に当たり、国民生活を守る政策を実行し、主体的な外交政策と残された戦後諸課題にどのように対処されるのか、日本国民のみならず、国際社会が施政方針演説に注目しています。 ■歴史事実の真相究明を早急に 昨年はシベリア抑留者に特別給付金を支給する法律が成立・施行され、改めて実態調査が行われることになりましたし、硫黄島での戦没者遺骨収集は菅政権のもとで大きく前進しました。日本人の戦後諸課題のみならず、日本政府が強制動員させられた朝鮮人労働者の未払い賃金記録を韓国側に提供し、徴用認定の証明になりました。このような歴史事実を明らかにして事実を共有することは「アジアとの和解」に向けた具体的な一歩だと大いに歓迎するものです。シベリア抑留や遺骨収集においてもアジアの視点から国籍の差別なく実施に移されることを希望するものです。 ■国会図書館に「恒久平和調査局」の設置を 私たちの市民団体は、公正中立な立場から歴史の事実を明らかにするため、国立国会図書館に恒久平和調査局を設置する法律案の成立を願って活動を続けてきました。 この「国会図書館法改正案」は、1998年に鯨岡兵輔、鳩山由紀夫、浜四津敏子、武村正義、土井たか子の各議員が呼びかけ人となって結成された超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」が発議した法律案です。その目的は、大戦の惨禍の実態を明らかにすることによってアジア諸国との信頼を図り、日本の国際社会における名誉ある地位を保持する、としています。 法案は一昨年の衆議院解散で審議未了・廃案となりましたが、今年の通常国会での再提出に私たちは大いに期待を寄せています。 ■「東アジア共同体」は「過去の克服」から 「満州事変」から80年の年、2011年。菅内閣と国会が先の大戦の惨禍の実態を公的に調査し、アジア諸国にもたらした被害の全体像を明らかにすることによって、その調査結果を国民が共有するため、政党を超えて国会議員の皆さまの賛同とご協力を求めて止みません。 「東アジア共同体」は日本の「過去の克服」から生まれると信じて、真相究明法の早期成立にご尽力くださることを期待し、皆さまの大切なお働きに心から感謝申し上げます。 |
市民会議ニュース 2011.7.10 NO.145 |
第177通常国会 「情報公開法」から10年 「公文書管理法」4月1日に施行 〜 菅談話一周年を前に日韓図書協定が発効 〜 国の記録管理を一元化する公文書管理法が4月1日に施行されました。国民の知る権利を保障する情報公開法の施行から10年、ようやく国の説明責任を担保する法律が施行され、民主主義の二本柱が整備されました。一方、韓国併合100年にあたっての菅総理談話一周年を前に、朝鮮半島から日本に持ち出された朝鮮王朝図書を韓国に引き渡す「日韓図書協定」が国会の承認を経て、6月10日に発効しました。これによって6か月以内に韓国側に歴史的な図書が返還されることになります。日本の公文書管理法施行と日韓図書協定の発効は、日韓の歴史の事実を明らかにするとともに歴史の記憶の復元に寄与し、歴史認識の共有化につながる画期的な出来事です。 ■公文書改革はこれからの課題 公文書管理法は日常的に発生し、使用される行政府の現用の公文書と保存期間を過ぎて公文書館などに移管された非現用の公文書を一括管理する。言い換えれば行政文書をスムーズに公文書館に移管し、保存公開する目的を持っている。しかし旧軍関係の公文書のように、かつての公文書が公文書扱いされない矛盾もある。また法律は「行政文書」に限られたため、立法府や司法府を含めた国の機関全体の公文書管理は今後の課題となっている。公文書は国民の共有財産であり、近代日本の歴史を記録した公文書を保存・公開する一貫したシステムが稼動した今が公文書管理改革元年だ。 ■日韓図書協定から文化財の返還へ 朝鮮王朝記録の「朝鮮王朝儀軌(ちょうせんおうちょうぎき)」などの文化財1200点余りを韓国側に引き渡す「日韓図書協定」は5月27日、参議院本会議で民主党、公明党、みんなの党、共産党、社民党などの賛成多数で可決され、承認された。協定は政府によって6月10日に韓国側に通告され、発効した。これによって12月10日までに韓国側に引き渡されることになった。政府は図書の引き渡しを通じ、日韓両国の文化協力が一層発展することを期待するとする声明を発表した。昨年の菅談話で引き渡しを約束し、一周年を前に実現の運びとなったことは大変喜ばしい。韓国の重要な公文書が日本から返還され、韓国の歴史の復元が可能になった。今後は日本に流出した文化財を調査し、正当な場所に戻されることを望みたい。 ■日本とドイツの友好決議に温度差 2011年は日本とプロイセンが修好通商条約を締結して150周年になる。この外交関係樹立を記念して、日本とドイツの国会が友好決議を採択した。ドイツ連邦議会は1月26日、「ドイツと日本はそれぞれ侵略と征服のための戦争を遂行し、戦場となった近隣諸国の人々に甚だしい惨禍をもたらした。」とする長文の決議を採択した。これに対し日本の衆議院は各党の調整で手間取り、ようやく4月22日、日独友好決議を賛成多数で採択した。決議に共同提案した自民党の一部議員が反発し棄権にまわり、共産、社民両党も原案にあった「侵略行為」の文言が削除されたため反対。たちあがれ日本は自虐的すぎると反対する見苦しい対応が目立った。本会議にはドイツ大使館からの傍聴があったと聞いたが、日本の国会が歴史認識で右顧左眄することのないように願いたい。 Contents NO.145 「公文書管理法」施行/「日韓図書協定」承認・発効/仏所蔵図書の返還式典/日独外交関係樹立150年決議/菅談話一周年・徴用者遺骨返還、サハリン問題/軍医学校跡地調査終わる/日韓図書センター閉館/ |
市民会議ニュース 2011.10.8 NO.146 |
第178臨時国会 野田新内閣発足 「アジアの心」を共有するために 〜 今こそ、恒久平和調査局の設置を 〜 第178臨時国会が9月13日に召集され、野田佳彦新総理が所信表明演説を行いました。野田総理はアジア諸国との関係について、同じ地域に生きる者同士として信頼を醸成することを約束、日中関係では来年の国交正常化40周年を見据えて、戦略的互恵関係を深めること、日韓関係については新たな100年に向けて、一層の関係強化を図ることを表明しました。市民会議は衆参両院議員の皆さんに、野田総理のいう「アジアの心」を共有するためにも恒久平和調査局を早期に設置するよう要請しました。 ■「過去の克服」から「東アジア共同体」へ 菅内閣の退陣表明を受けて行われた8月29日の民主党代表選挙で、野田佳彦前財務大臣が新代表に選出。翌30日に野田新総理が誕生しました。9月2日には野田内閣が発足、13日に臨時国会が召集されました。野田総理は民主党代表選挙の政見で、アジア諸国との関係について、「アジアの心」をともにより深く共有する関係を構築することを約束しています。市民会議は「アジアの心」を共有するためには、野田総理が歴史の真相究明に取り組み、過去を克服することによって鳩山元首相が提唱した「東アジア共同体」構想を展望することの重要性を訴えました。 ■韓国政府が対日請求権の再協議を提案 野田新総理が誕生した8月30日、韓国の憲法裁判所は、元「慰安婦」被害者らが訴えた韓国政府の賠償請求に関する外交不作為を認める決定を行いました。韓国政府が元「慰安婦」被害者らの補償を日本政府に交渉しないのは被害者の人権侵害にあたり、憲法違反になるという判断です。これを受けた韓国政府は9月15日、日韓請求権協定第3条に基づいて、日本政府に「慰安婦」、被爆者、サハリン残留の3案件について協議に応じるよう正式に提案しました。日本政府は「日韓国交正常化交渉で請求権問題は解決済み」との見解ですが、3案件は交渉課題ではなかったことや個人請求権の存在を考慮すると日本政府による誠実な対応と早期の解決が望まれます。 ■韓国国会が日本の「戦犯」企業を入札から排除へ 韓国国会の企画財政委員会小委員会は8月22日、日本統治下の韓国で徴用しながら、戦後補償を済ませていない企業、いわゆる「戦犯企業」を公共機関の入札から排除する趣旨の文書を採択しました。9月16日には韓国与野党の17議員が日本の「戦犯企業」136社を発表。発表された企業には旧麻生鉱業、三菱、日立、川崎、日産、トヨタなどが入っています。徴用などの強制動員については韓国政府が調査を行い、動員が認定された場合は慰労金が支払われています。しかし民間企業との間では一部で和解の動きがあるだけで、賃金未払いを始め、謝罪や補償は進んでいません。今回の動きは「戦犯企業」の補償を促すために行われたものです。 ■シベリア抑留実態調査を加速 日本政府は8月5日、シベリア抑留など強制抑留者の実態調査を進める基本方針を閣議決定しました。2010年6月に成立した特措法では、国籍条項を設け、日本人同様に抑留された朝鮮半島や台湾出身者への給付金は支払われていません。これから始まる実態調査によって早急に改善されることを望みます。 Contents NO.146 恒久平和調査局の設置を要請/韓国が戦後補償協議を提案/韓国憲法裁判所の決定(慰安婦)/韓国が「戦犯企業」を入札制限/シベリア抑留実態調査、加速へ/防衛研究所が戦史研究センター新設/ |
第178回臨時国会 2011年9月13日 |
〜 「アジアの心」を共有するために、今こそ、恒久平和調査局の設置を 〜 野田新内閣が発足し、所信表明演説が行われる第178回国会が9月13日召集されました。市民会議は野田新内閣と国会に、「アジアの心」を共有するために恒久平和調査局の設置を要請しました。【要請文】 国会議員のみなさまへ 2011年9月13日 今こそ、恒久平和調査局の設置を 〜 辛亥革命100年、歴史事実の公的調査へ 〜 ■「アジアの心」を共有するために 私たちは、野田佳彦総理を首班として発足した野田内閣に、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故で被災された方々、また集中豪雨や台風に伴う風水害で被災された方々への生活安定を優先した復旧・復興に迅速に対応していただくよう、期待をしております。また不安定な世界経済のなかで日本経済をどのように舵取りをされるのか、本日召集されました第178回臨時国会における野田総理の所信表明演説に固唾を呑んで見守っております。 昨年は日本が韓国を強制的に併合してから100年に当たり、当時の菅直人首相は日本の植民地支配を謝罪する総理談話を発表しました。総理談話は謝罪の言葉だけではなく、遺骨返還やサハリン残留、朝鮮王朝記録の引き渡しなど具体的な施策まで言及しました。そして韓国との間で朝鮮王朝記録を引き渡す「図書協定」を調印することができ、談話一周年を前に国会の承認を経て発効したことは喜ばしい限りです。 今年は中国の近代国家形成の源流となった辛亥革命から100年になります。革命の父として尊敬される孫文は革命前に日本に亡命、多くの日本人が孫文を支えました。しかし、その後の日中関係は二十一か条の要求を始め、「満州事変」から日中全面戦争へと悪化の一途をたどり、アジア太平洋戦争へと戦火は拡大しました。 来年は日本と中国が国交を正常化した日中共同宣言から40年を迎えます。過去の植民地支配と侵略を直視し、アジア諸国との友好関係を進めるために歴史の事実を明らかにし、事実を共有することが大切だと思います。野田総理は菅前首相や鳩山元首相が提唱した「東アジア共同体」構想を展望し、アジア諸国の人々との友好を進めるために、ぜひとも「過去の克服」に取り組まれるよう期待するものです。 ■国会図書館に「恒久平和調査局」の設置を 野田総理は民主党代表選挙の政見で「マニフェストを含め政権交代の原点に立ち戻る」とされ、アジアの諸国とは「アジアの心」をともにより深く共有する関係を構築することを約束されました。私たちの市民団体は、公正中立な立場から歴史の事実を明らかにするため、国立国会図書館に恒久平和調査局を設置する法律案の成立を願って活動を続けてきました。 この「国会図書館法改正案」は、1998年に鯨岡兵輔、鳩山由紀夫、浜四津敏子、武村正義、土井たか子の各議員が呼びかけ人となって結成された超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」が発議した法律案です。その目的は、大戦の惨禍の実態を明らかにすることによってアジア諸国との信頼を図り、日本の国際社会における名誉ある地位を保持する、としています。 民主党の政策集で取り組むとされてきた同法律案は野田総理のいう「アジアの心」を共有するにふさわしい法律案です。私たちは野田内閣が与野党と力を合わせて「恒久平和調査局設置法案」の成立に向けてご努力されることを大いに期待しております。 ■「過去の克服」から「東アジア共同体」へ 辛亥革命100年、「満州事変」から80年の年、2011年。野田内閣と国会が先の大戦の惨禍の実態を公的に調査し、アジア諸国にもたらした被害の全体像を明らかにすることによって、その調査結果を国民が共有するため、政党を超えて国会議員の皆さまの賛同とご協力を求めて止みません。 「東アジア共同体」は日本の「過去の克服」から生まれると信じて、真相究明法の早期成立にご尽力くださることを期待するとともに、皆さまの大切なお働きに心から感謝申し上げます。 |
市民会議ニュース 2011.12.10 NO.147 |
第179臨時国会 残された戦後諸課題に対応するため 恒久平和調査局の早期設置を求める 〜 今こそ、未来に向けて、歴史事実の調査を 〜 市民会議は10月20日に召集された第179臨時国会で、歴史事実を調査し、各国が歴史の事実を共有することが、未来に向けて友好の一歩になることを全国会議員に訴えました。野田総理のいう「アジアの心」を共有するためには、政府が歴史の真相究明と過去の克服に取り組み、鳩山元総理が提唱した「東アジア共同体」構想を展望することが必要です。来年は日中国交正常化40周年を迎え、日韓関係は新たな100年に向けて、一層の友好関係を強化するためにも歴史の事実を調査する恒久平和調査局を早期に設置するよう要請しました。 ■朝鮮王朝記録の引き渡しを歓迎 野田総理は総理就任後、10月に韓国を訪問、朝鮮王朝記録の一部を韓国側に引き渡しました。李明博大統領は、図書の引き渡しについて、「韓日関係の未来のため象徴的な意味合いがある」と述べました。しかし、かつて日本が行ったアジア太平洋戦争による「負」の遺産は戦後66年経った今日においても清算されていません。日韓関係だけでなく、日中間においても「慰安婦」問題や強制労働、旧日本軍の細菌戦被害、遺棄化学兵器被害など残された課題は多々あります。野田内閣はアジア諸国との友好関係を進めるために、過去の歴史を直視し、残された諸課題を積極的に調査することの重要性を認識するべきです。 ■旧日本軍の細菌戦で新資料を発見 旧日本軍が行った中国での細菌戦による被害者団体が10月に来日、日本政府に事実調査を求める陳情書を提出しました。来日したのは中国人細菌戦被害者協会の王選代表ら5人。被害者は日本政府に調査機関を設置し、資料の公開と調査を行うよう求めました。また、新たに旧日本軍が細菌戦を行ったことを示す資料が発見されました。発見され た資料は元731部隊員の論文集。防疫研究報告に掲載された「PXノ効果略算法」には中国の6ヶ所で細菌戦を行った事実が記載されていました。 ■台湾から「慰安婦」問題の解決を求める 「慰安婦」問題の解決を求めて韓国政府は日本政府に協議に応じるよう提案しましたが、日本政府が協議に応じないため、国際仲裁の準備を始めました。11月には台湾の元「慰安婦」3人が来日、日本政府に謝罪と賠償を求めました。 台湾で名乗り出た女性は58人でしたが、高齢のため現在は10人ほどになっています。来日したのは陳桃さんと陳蓮花さんとイアン・アパイさん。被害者は日本政府が謝罪するまで「絶対に降参しない」と強い決意を語りました。 ■世界アーカイブズ宣言を採択 フランスのパリで11 月に開催された第36回ユネスコ総会で、世界アーカイブズ宣言が採択されました。アーカイブズは、過去の理解と将来の行動のために必要不可欠であり、民主主義を促進し、市民の権利をまもり、生活の質を向上させる、としています。国際公文書館会議(ICA)は、ユネスコによる採択を「アーカイブズに対する市民の理解を改善するうえで重要な一歩である」とコメントしました。 Contents NO.147 今こそ歴史事実の調査を/細菌戦で新資料/台湾元「慰安婦」来日/宮代町議会「慰安婦」意見書/元BC級戦犯遺族が来日/世界アーカイブズ宣言採択/アジ歴10周年/戦争アーカイブズ/韓国憲法裁パンフ |