2012年 市民会議ニュース


市民会議ニュース 2012.3.10 NO.148
第180通常国会    鳩山由紀夫元総理が会長に復帰

恒久平和議連が再始動

〜 戦時資料の移管で厚生労働省からヒアリング 〜


恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟(略称:恒久平和議連)は2月7日、戦時資料を国立公文書館に移管を進めている厚生労働省からヒアリングを行いました。恒久平和議連は政権交代以降、会長不在、超党派議員連盟の禁止、政務三役の議連役員辞退など数々の制約があり、活動を停止していましたが、近藤昭一議連幹事長の下、第180通常国会で再始動することになりました。鳩山由紀夫元総理の議連会長復帰も決まりました。
市民会議は通常国会が召集された1月24日、鳩山元総理が提唱した「東アジア共同体」構想を進めるためにも、歴史事実を調査し、各国が歴史の事実を共有することが、未来に向けて友好の一歩になることを全国会議員に訴えました。

■戦後諸課題の解決が不可欠

野田佳彦総理は昨年12月、アジア太平洋地域の信頼関係を築くために日韓、日中の首脳会談を行いました。しかし、かつて日本が行ったアジア太平洋戦争による「負」の遺産は今日においても清算されていません。日韓首脳会談で李明博大統領が野田総理に旧日本軍「慰安婦」問題の解決を求め、今年の3・1節演説でも「慰安婦」問題の解決を優先すべきと述べました。また今年は日中戦争勃発から75年、日中国交正常化40年の年です。この年に日中友好に水を差すような河村名古屋市長の「南京大虐殺はなかった」発言が行われるなど歴史認識に対する不見識さが露呈しています。私たちは、野田内閣にアジア諸国との友好関係を進めるため、アジアの一員として「東アジア共同体」構想を堅持し、過去の歴史を直視し、残された戦後諸課題に対して真摯に対応することを求めます。

■公文書で裏付けられた旧日本軍の細菌戦

旧日本軍の731部隊などが行った中国での細菌戦を裏付ける元軍医の金子順一論文の意義を考えるシンポジウムが2月29日、衆議院第2議員会館で行われました。パネリストの吉見義明中央大学教授は既に発見されている元陸軍参謀の井本熊雄による業務日誌と照合し、金子論文は井本日誌による細菌作戦を公文書で裏付けるものだと述べました。発見された資料は元731部隊員の論文集。防疫研究報告に掲載された「PXノ効果略算法」には中国の6ヶ所で細菌戦を行った事実が記載されていました。

■韓国国会、「慰安婦」問題特別委員会設置へ

日本軍「慰安婦」問題の解決向けて取り組んでいる韓国の挺身隊問題対策協議会の尹美香(ユン・ミヒャン)常任代表は3月2日、日本の国会内で開かれた集会で、4月11日に行われる総選挙後の韓国国会で「慰安婦」問題に関する特別委員会が設置される見通しであることを明らかにしました。そして日本の国会に韓国国会に対応する正式の委員会を設置するよう要望しました。

■震災対策会議で議事録未作成発覚

公文書管理法が施行された2011年4月以降も政府の原子力災害対策本部など10組織で議事録が未作成であることが分かりました。公文書管理委員会が調査した結果、作成義務に対する認識不足であったことが判明しました。政府は出席者のメモなどで議事概要を復元するとしています。

Contents NO.148
恒久平和議連が再始動/戦時資料を国立公文書館に移管/日本軍の細菌戦/李明博大統領3・1節演説/被爆者証言集英語版を核保有国に贈呈 谷川透/「日帝期文化財被害資料」を翻訳/防研が「太平洋戦争史」刊行へ/4月に強制動員研究集会を開催/

第180通常国会             2012年1月24日
〜 今こそ、未来に向けて、歴史事実の調査を 〜

第180通常国会招集日、市民会議は歴史事実の調査が必要であることを全国会議員に訴えました。

【要請文】

国会議員のみなさまへ      2012年1月24日

未来に向けて、歴史事実の調査を
〜 恒久平和調査局の設置を要望します 〜

■残された戦後諸課題の解決が不可欠

本日召集された第180回国会(常会)は、野田佳彦総理が「日本再生元年」と位置づけ、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故による災害の復旧・復興と日本経済の再生に取り組む重要課題が山積する国会となります。内政だけでなく、国際的な金融不安やエネルギー問題、東アジア諸国の緊張緩和など太平洋地域の安定化に向けた取り組みも重要な課題です。
野田総理は昨年の12月、日韓、日中の首脳会談を行い、アジア太平洋地域の信頼関係を強化することに努力されて来られました。特に懸案であった朝鮮王朝記録の韓国側への引き渡しが行われたことは歓迎すべきことでした。
しかし、かつて日本が行ったアジア太平洋戦争による「負」の遺産は今日においても清算されていません。
日韓首脳会談で李明博大統領が旧日本軍の「慰安婦」問題に言及、野田総理に問題解決に向けて対処を求めたことは記憶に新しいことです。韓国政府は「慰安婦」問題と共に在韓被爆者問題、サハリン残留韓国人問題について日本政府に正式に協議を要請しています。朝鮮半島出身の徴用者遺骨返還、シベリア抑留者、BC級戦犯問題なども残された課題です。
中国は「慰安婦」問題の他に強制労働や日本軍の細菌戦被害、遺棄化学兵器被害を残された課題として受けとめています。今年は日中戦争勃発から75年、日中国交正常化40年の年であり、戦後処理問題にどのように応えるのか注目されます。
私たちは、「最善かつ最強の布陣」とする野田改造内閣がアジア諸国との友好関係を進めるために、過去の歴史を直視し、残された諸課題を積極的に調査することを期待します。野田内閣と国会が超党派で未来に向けて、歴史事実を調査する恒久平和調査局を設置し、「人類全体の未来に貢献」するよう期待するものです。

■国会図書館に「恒久平和調査局」の設置を

野田総理は民主党代表選挙の政見で「マニフェストを含め政権交代の原点に立ち戻る」とされ、アジアの諸国とは「アジアの心」をともにより深く共有する関係を構築することを約束されました。
私たちの市民団体は、公正中立な立場から歴史の事実を明らかにするため、国立国会図書館に恒久平和調査局を設置する法律案の成立を願って活動を続けてきました。
この「国会図書館法改正案」は、1998年に鯨岡兵輔、鳩山由紀夫、浜四津敏子、武村正義、土井たか子の各議員が呼びかけ人となって結成された超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」が発議した法律案です。その目的は、大戦の惨禍の実態を明らかにすることによってアジア諸国との信頼を図り、日本の国際社会における名誉ある地位を保持する、としています。
民主党の政策集で取り組むとされてきた同法律案は野田総理のいう「アジアの心」を共有するにふさわしい法律案です。私たちは野田内閣が与野党と力を合わせて「恒久平和調査局設置法案」の成立に向けてご努力されることを大いに期待しております。

■「東アジア共同体」構想の堅持を望む

今年2012年は日中戦争勃発から75年、日中国交正常化40年にあたります。野田内閣と国会が超党派で、先の大戦の惨禍の実態を公的に調査することを切に要望いたします。そして、アジア諸国にもたらした被害の全体像を国民が共有するため、政党を超えて国会議員の皆様の賛同と協力を求めて止みません。
私たちは日本の過去を克服し、アジア太平洋地域の安定化のため、「東アジア共同体」構想を堅持されることを望みます。そのための第一歩として真相究明法の早期成立を期待し、国会議員の皆さまの大切なお働きに心から感謝申し上げます。

市民会議ニュース 2012.6.30 NO.149
第180通常国会   恒久平和議連と東アジア共同体議連が共催

『東アジア共同体』を考える講演会を開催

〜 鳩山会長「現実的に協力関係は出来ている」 〜


恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟(略称:恒久平和議連)と東アジア共同体議員連盟は4月12日、寺島実郎・日本総合研究所理事長を招いて『東アジア共同体』構想を考える講演会を開催しました。主催者を代表して挨拶に立った鳩山由紀夫会長は「東アジア共同体を提唱してきたが、現実的に協力関係は出来つつある。後戻りは出来ない。」と述べ、自ら提唱した構想への自信を示しました。

■避けて通れない真相究明

鳩山会長は恒久平和議員連盟の意義について、「東アジア共同体構想を進めるに当たって、戦争の問題、とくに戦争被害の真相究明を忘れてはならない。議員連盟は国会図書館に恒久平和調査局を設けて歴史の真相究明を行うことを考えてきたが、まだ道半ば。未来志向でやっていくにも早く実現したい。」と意欲を示しました。寺島実郎氏は「英国がアメリカとヨーロッパの橋渡し役をしているように、日本もアメリカと東アジアをつなぐ役割がある。日本はそのような立ち位置にあることを忘れてはならない。」と講演し、「東アジア共同体」構想での日本のあり方を説き、百名を超える聴衆に感銘を与えました。

■韓国大法院が徴用者の個人請求権認める


韓国の大法院(日本の最高裁判所にあたる)は5月24日、戦時中に強制動員された徴用者の個人請求権を認める判断を示しました。この判決は強制徴用された被害者ら8人が三菱重工業と新日本製鉄を相手に起こした損害賠償訴訟の上告審判決で示したもので、審理を釜山高裁などに差し戻しました。判決の確定はまだですが、韓国で日本企業を相手取った賠償訴訟が増えることが考えられます。

■韓国は強制徴用被害者を支援する財団設立へ

韓国政府は国外だけでなく、国内で日本の植民地時代に強制動員された被害者を支援するため、政府と企業から出資した基金で財団を設立することにしています。鉄鋼最大手ポスコは100億ウォン(約6億7000万円)を拠出することを決めました。政府の強制動員支援委員会は、日本から借款を受けた韓国企業に拠出するよう呼び掛けています。

■公調委、茨城県神栖のヒ素被害で県に責任

国の公害等調整委員会は5月11日、茨城県神栖市の旧軍毒ガス由来の有機ヒ素による健康被害で、県の責任を認め、計2826万円の支払いを命じる裁定を出しました。責任があると認定された茨城県は6月6日、被害者に計6000万円を支払う和解案で住民側と合意しました。公調委は、原因が旧軍毒ガス由来の有機ヒ素であることを認めながら、国の責任は認定しませんでした。

Contents NO.149
恒久平和議連が『東アジア共同体』を考える講演会を開催/韓国大法院判決/「戦争と女性の人権博物館」紹介/札幌市議会意見書/戦時資料移管/俘虜銘々票引渡し/強制動員研究集会報告集/韓国強制徴用被害者支援財団/茨城・神栖のヒ素被害/

市民会議ニュース 2012.10.06 NO.150
第180回国会閉会

歴史事実を共有し、相互理解を

〜「河野談話」「村山談話」「菅談話」を基礎に対話へ 〜


第180回国会の最中、日本と韓国、中国の友好関係は「領土」問題を巡って亀裂が生じました。衆参両議院は8月、「竹島」問題で韓国の李明博大統領に抗議する決議を可決、韓国国会も9月、「慰安婦」問題と「独島」問題で日本を糾弾する決議を可決するなど双方が応酬することになりました。日中関係は国交正常化40年を迎えながら、「尖閣諸島」国有化問題で反日デモが加熱、40年式典延期という事態になりました。「領土」を巡る対立は双方にとって有益なことはなく、冷静に判断することが大切です。日本は過去の歴史を振り返り、「河野談話」や「村山談話」、そして「菅談話」を基礎に対話への道を進まなくてはなりません。

■歴史の真相究明は友好の前提になる

恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟は4月12日、歴史事実を各国間で共有するための真相究明法の実現に向けて、東アジア共同体構想を考える講演会を国会内で開催しました。韓国の強制動員被害調査支援委員会が6月に開催したワークショップでは、韓国の報告者から恒久平和議連の活動が紹介され、日本政府の供託金記録の提供や遺骨返還の取り組みなどが評価されています。ナショナリズムを煽ることは、これらの地道な歴史事実の真相究明活動の成果を無にすることになります。相手を非難するより対話で過去の克服に取り組むことが重要です。

■元BC級戦犯への給付金支給法案、臨時国会に持ち越し

「過去の克服」の一つに朝鮮半島や台湾出身の元BC級戦犯の人々に特別給付金を支給する法案があります。法案は残念ながら通常国会に提出されず、秋の臨時国会に持ち越しになりました。国会最終日の9月7日、当事者らが参加し、秋の臨時国会での法案の提出と成立を訴える集会が開かれました。BC級戦犯として有罪となった朝鮮半島・台湾出身者は321人。この人たちは国籍の違いから恩給の対象になっていません。法案は「人道的精神」から1人当たり300万円を支給する内容で超党派の国会議員が準備して成立を目指しています。

■韓国政府に強制動員被害調査の存続を要望

戦時中に日本が行った徴兵・徴用など強制動員の実態調査が韓国で進められていますが、まだ道半ばです。調査を行っている韓国政府の強制動員被害調査支援委員会は今年12月末が存続期限(1年延長可能)になっています。このため、日本の38市民団体は9月18日、韓国政府と韓国国会、主要政党に委員会の存続を求める要望書を提出しました。同委員会は2004年に発足し、7年間の活動を通じて被害者の被害認定や名誉回復に多くの成果を挙げてきました。しかしまだまだ調査することは多く、各方面から委員会を恒常的な組織とするよう要望されています。

■「河野談話見直し論」は被害女性への冒涜

「慰安婦」問題では、1993年の「河野談話」を見直す動きが顕著になってきました。「河野談話」は、当時の河野官房長官が「慰安婦」とされた女性への強制性を認めてお詫びした談話です。「慰安婦」問題の解決をめざす市民団体は9月18日、野田首相あてに「河野談話」を見直すのではなく、更なる真相究明と一刻も早く「慰安婦」問題を解決するよう求める要請書を提出しました。

Contents NO.150
歴史事実を共有し、相互理解を/韓国に強制動員被害調査の存続要望/強制動員被害真相究明の歴史的意義 韓相祷・建国大教授/「慰安婦の日」制定/現存する強制連行関与の日本企業/韓国国会が「慰安婦」問題で決議/政府に「河野談話」踏襲を要請

市民会議ニュース 2012.12.08 NO.151
第181回臨時国会 

東アジアに平和のメッセージを!

〜 衆参両院全議員に恒久平和調査局の設置を要望 〜

第181回臨時国会の冒頭、市民会議は衆参両院全議員に冷え切った日本と韓国及び日本と中国との関係改善を要望しました。特に2012年は日中国交回復40年にあたり、「戦争状態の終結と日中国交の正常化」をうたった日中共同声明の精神に立ち帰ることの重要性を訴えました。そして、歴史の事実を客観的に調査する恒久平和調査局を設置し、東アジアに日本から平和のメッセージを発信するよう要請しました。

■過去の歴史を直視し、残された諸課題を解決することが友好の基礎

日中共同声明には「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」という文言がありますが、40年経った今日でも、かつての戦争が侵略戦争であったか、自衛戦争であったかという議論がなされている現状があり、アジア太平洋戦争による「負」の遺産は今日においても清算されていません。私たちは、日本がアジア諸国に残した傷跡を客観的に調査することによって、過去の歴史を直視し、残された諸課題を解決することが友好の基礎になるだろうと考えております。野田内閣と国会が超党派で歴史事実を調査する恒久平和調査局を設置し、未来に向けて、東アジアに平和のメッセージを発信するよう期待するものです。

■元BC級戦犯への給付金支給法案、臨時国会に持ち越し

「過去の克服」の一つに朝鮮半島や台湾出身の元BC級戦犯の人々に特別給付金を支給する法案があります。法案は残念ながら通常国会に提出されず、秋の臨時国会に持ち越しになりました。国会最終日の9月7日、当事者らが参加し、秋の臨時国会での法案の提出と成立を訴える集会が開かれました。BC級戦犯として有罪となった朝鮮半島・台湾出身者は321人。この人たちは国籍の違いから恩給の対象になっていません。法案は「人道的精神」から1人当たり300万円を支給する内容で超党派の国会議員が準備して成立を目指しています。

■韓国政府に強制動員被害調査の存続を要望

戦時中に日本が行った徴兵・徴用など強制動員の実態調査が韓国で進められていますが、まだ道半ばです。調査を行っている韓国政府の強制動員被害調査支援委員会は今年12月末が存続期限(1年延長可能)になっています。このため、日本の38市民団体は9月18日、韓国政府と韓国国会、主要政党に委員会の存続を求める要望書を提出しました。同委員会は2004年に発足し、7年間の活動を通じて被害者の被害認定や名誉回復に多くの成果を挙げてきました。しかしまだまだ調査することは多く、各方面から委員会を恒常的な組織とするよう要望されています。

■「河野談話見直し論」は被害女性への冒涜

「慰安婦」問題では、1993年の「河野談話」を見直す動きが顕著になってきました。「河野談話」は、当時の河野官房長官が「慰安婦」とされた女性への強制性を認めてお詫びした談話です。「慰安婦」問題の解決をめざす市民団体は9月18日、野田首相あてに「河野談話」を見直すのではなく、更なる真相究明と一刻も早く「慰安婦」問題を解決するよう求める要請書を提出しました。

第181回臨時国会               2012年10月29日
〜 東アジアに平和のメッセージを! 〜

第181回臨時国会招集日、市民会議は歴史事実の公的調査が必要であることを全国会議員に訴えました。

【要請文】

国会議員のみなさまへ  2012年10月29日

東アジアに平和のメッセージを!

〜 恒久平和調査局の設置を要望します 〜

■公的調査によって歴史の事実を明らかに

「領土」問題や「慰安婦」問題などから、日本と韓国及び日本と中国との関係が冷え込み、今や由々しき事態になっております。私たちは第181回国会(臨時)の招集日にあたり、野田佳彦総理をはじめ、閣僚の皆様、衆参両院の全国会議員の皆様に関係の改善を図っていただきますよう切実に訴えさせていただきます。

野田総理は昨年、日韓、日中の首脳会談を行い、アジア太平洋地域の信頼関係を強化することに努力されて来られました。特に懸案であった朝鮮王朝記録の韓国側への引き渡しが行われたことは歓迎すべきことでした。そして、今年は日中国交回復40年にあたり、より一層の友好関係の発展が望まれていました。
にもかかわらず、日中関係は「領土」問題で対立が激化し、40周年の記念式典も行うことが出来なくなってしまいました。今こそ、「戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう。」と宣言した日中共同声明の精神に立ち帰ることが必要だろうと思います。

日中共同声明には「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」という文言がありますが、40年経った今日でも、かつての戦争が侵略戦争であったか、自衛戦争であったかという議論がなされている現状があり、アジア太平洋戦争による「負」の遺産は今日においても清算されていません。
私たちは、日本がアジア諸国に残した傷跡を客観的に調査することによって、過去の歴史を直視し、残された諸課題を解決することが友好の基礎になるだろうと考えております。野田内閣と国会が超党派で歴史事実を調査する恒久平和調査局を設置し、未来に向けて、東アジアに平和のメッセージを発信するよう期待するものです。

■国会図書館に「恒久平和調査局」の設置を

野田総理は民主党代表選挙の政見で「マニフェストを含め政権交代の原点に立ち戻る」とされ、アジアの諸国とは「アジアの心」をともにより深く共有する関係を構築することを約束されました。
私たちの市民団体は、公正中立な立場から歴史の事実を明らかにするため、国立国会図書館に恒久平和調査局を設置する法律案の成立を願って活動を続けてきました。

この「国会図書館法改正案」は、1998年に鯨岡兵輔、鳩山由紀夫、浜四津敏子、武村正義、土井たか子の各議員が呼びかけ人となって結成された超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」が発議した法律案です。その目的は、大戦の惨禍の実態を明らかにすることによってアジア諸国との信頼を図り、日本の国際社会における名誉ある地位を保持する、としています。
民主党の政策集で取り組むとされてきた同法律案は野田総理のいう「アジアの心」を共有するにふさわしい法律案です。私たちは野田内閣が与野党と力を合わせて「恒久平和調査局設置法案」の成立に向けてご努力されることを大いに期待しております。

■「東アジア共同体」構想の堅持を望む

超党派の恒久平和議員連盟は今年4月、東アジア共同体構想を考える講演会を開催し、歴史の真相究明の必要性を確認しました。6月には韓国で強制動員被害調査に関するワークショップが開催され、恒久平和議連の活動が評価されました。韓国で進む戦争被害の調査に議員連盟だけでなく、日本政府も協力しています。このような努力を無にしてはならないと考えます。

私たちは日本の過去を克服し、アジア太平洋地域の安定化のため、「東アジア共同体」構想を堅持されることを望みます。そして臨時国会において、日中共同声明の意義を国会の名の下に「声明」として公表されることを強く要望して止みません。