2013年 市民会議ニュース


市民会議ニュース 2013.3.10 NO.152
第46回衆議院議員総選挙  

新たな国会で戦争被害の公的調査を!

〜 改めて恒久平和調査局の設置を要望する 〜


野田佳彦総理は11月16日、衆議院を解散。第46回衆議院議員総選挙は12月4日公示、16日投開票で行われます。今回の衆院選は政権交代以後の民主党政権のありかたが問われる重要な選挙です。前回の総選挙で民主党と社民党は「国会図書館に恒久平和調査局を設置する国立国会図書館法の改正」を公約に掲げました。しかし残念ながら、公約は果たされていません。今日の東アジア情勢を考えると戦争被害の歴史事実を公的に調査する必要性はますます重要性を増していると考えます。私たちは総選挙後の新しい国会で、改めて恒久平和調査局の設置を要望します。

■東アジアに日本から平和のメッセージを

第181回臨時国会が召集された10月29日、市民会議は衆参両院全議員に冷え切った日本と韓国及び日本と中国との関係改善を要望しました。特に2012年は日中国交回復40年にあたり、「戦争状態の終結と日中国交の正常化」をうたった日中共同声明の精神に立ち帰ることの重要性を訴えました。そして、歴史の事実を客観的に調査する恒久平和調査局を設置し、東アジアに日本から平和のメッセージを発信するよう要請しました。

■衆院解散で鳩山由紀夫会長、石毛^子前幹事長が引退

衆議院の解散で恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟の鳩山由紀夫会長と石毛^子前幹事長が引退されることになりました。石毛^子さんは2004年、田中甲幹事長のあとを引き継ぎ、第2代幹事長として韓国政府の強制動員被害真相究明委員会と協力関係を推進してこられました。また民主党の戦後補償議連の事務局長として活動されていました。鳩山由紀夫さんは恒久平和議連創設時の呼びかけ人であり、政権交代後、総理として東アジア共同体構想の実現に向けて努力してこられました。鳩山さんは11月21日の引退表明で、改めて平和外交の重要性を指摘し、不戦と東アジア共同体の実現にこれからも努力したいと述べておられます。お二人のこれまでの働きに感謝すると共に新たな活動に期待します。

■国連人権理部会が日本に「慰安婦」問題で勧告

国連人権理事会の対日作業部会は11月2日、日本に「慰安婦」問題の解決を求めるなど、174項目を勧告する審査報告書を採択しました。報告書は日本政府に「被害者・被害各国と協議のうえ、解決に向けた措置を一刻も早くとるべきである」としています。日本政府は来年3月の人権理事会通常会期までに勧告内容について回答し、人権理事会が成果文書として採択することになっています。

■政府が閣議議事録作成を義務化へ

政府は10月24日、閣議などの議事録作成を法律で義務付け、原則として30年後に公開するために必要な法改正を行う準備に入りました。これまで閣議の議事録は自由な発言の妨げになるなどの意見があり、作成されていませんでしたが、東日本大震災に関連する重要会議の議事録が作成されていなかったことが判明、批判を受けたことから、議事録作成の在り方について検討していました。

第183通常国会               2013年1月28日
〜 全国会議員に歴史事実の公的調査を要望 〜

昨年末の衆議院議員選挙後、初の通常国会となる第183回国会の招集日、市民会議は歴史事実の公的調査が必要であることを全国会議員に訴えました。総選挙の結果、誕生した第2次安倍内閣は早々と1995年の村山談話を踏襲することを発表しましたが、河野談話の踏襲は明言せず、被害国のみならず、米国からも河野談話見直しに懸念が表明されています。村山談話についても安倍首相は、未来志向の「安部談話」の検討を表明し、有識者に検討を求めています。市民会議はこのような動きのなかで、戦争の歴史の事実を公的な機関が公正な立場から調査し、各国が調査事実を共有していくことが、日本とアジア諸国の友好につながることを国会議員に訴えました。

【要請文】

国会議員のみなさまへ   2013年1月28日

未来志向で歴史事実の公的調査を
〜調査を行う「恒久平和調査局」の設置を要望します〜

第183回通常国会の冒頭に当たり、日本とアジア諸国の平和と安定、友好を進めるために特段のご配慮を賜りますようお願い申し上げます。

日本とアジア諸国の友好を進めるために

■「村山談話」踏襲を歓迎、「河野談話」見直しに懸念

菅義偉官房長官は初閣議後の記者会見で、日本による過去の植民地支配と侵略を謝罪した1995年の村山富市首相談話について「これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ」と述べ、第二次安倍内閣として「村山談話」を踏襲する考えを示されました。ご存知のように「村山談話」は、日本の植民地支配と侵略について「痛切な反省の意を表し、心からのおわびの気持ちを表明する」との内容で、歴代内閣が踏襲しているものです。私たちは菅官房長官が「村山談話」を引き継ぐと表明されたことを歓迎するものです。
一方で安倍晋三総理は、「村山談話」を引き継ぐとしながらも、「私は21世紀にふさわしい未来志向の安倍内閣としての談話を発出したいと考えている。」と述べ、「村山談話」に代わる「安倍談話」の検討を表明されています。また安倍総理は、旧日本軍の「慰安婦」問題で出された河野洋平官房長官談話について、政府が発見した資料の中に強制連行を直接示すような記述は見当たらなかったとして、「河野談話」を見直す方針を示しておられます。この安倍総理の「河野談話」見直し発言は、被害国のみならず、米国などから警戒心を持って見られています。それは、下記の「調査局」設置の所以でもあります。

■国会図書館に「恒久平和調査局」の設置を

私たちは日本がアジア諸国に対して行った戦争の歴史の事実をより深く公的に調査し、調査で得た歴史の事実を各国と共有することが、アジア諸国の人々との友好親善を深めるための基礎になるだろうと確信しています。

昨年は日本と中国の国交正常化を実現した歴史的な日中共同声明から40周年を迎え、今年は「恒久的な平和友好関係を発展させる」ことを謳った日中平和友好条約の締結から35周年になります。2013年の今年こそ、安倍内閣と国会が超党派で歴史事実を調査する恒久平和調査局を国会図書館に設置し、未来に向けて、東アジアに平和のメッセージを発信するよう期待するものです。


●「恒久平和調査局」設置法案とは

恒久平和調査局を設置する「国会図書館法改正案」は、1998年に鯨岡兵輔、鳩山由紀夫、浜四津敏子、武村正義、土井たか子の各議員が呼びかけ人となって結成された超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」が発議した法律案です。その目的は、大戦の惨禍の実態を明らかにすることによってアジア諸国との信頼を図り、日本の国際社会における名誉ある地位を保持する、としています。法律案は1999年8月に衆議院に初提出。衆議院の解散で審議未了となり、3回にわたって再提出。この間、衆議院議院運営委員会の図書館運営小委員会において提案理由の説明と質疑が行われています。

市民会議ニュース 2013.6.28 NO.153
第183通常国会閉会    安倍首相自身の歴史観に起因

歴史認識で迷走する安倍内閣

〜 靖国参拝、「侵略」曖昧化、「慰安婦」強制否定 〜


通常国会の最中、麻生副総理を含む安倍内閣の閣僚4人が靖国神社に参拝。安倍首相は「植民地支配と侵略」も曖昧でどちらの側から見るかで違う、「侵略の定義」も定まっていないとして「村山談話」を事実上批判。自民党の高市政調会長は、安倍首相による新談話は「侵略」などの文言の変更を検討すべき、と注文をつけました。
「慰安婦」問題では「強制連行を裏付ける資料はなかった」との安倍首相の見解に日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が賛同、「慰安婦制度が必要なのは誰でもわかる」とより踏み込んだ発言を行いました。橋下氏は続いて、「慰安婦制度じゃなくても、風俗業は必要だと思う」と述べ、米軍司令官に「風俗業の活用」を提言したことを明らかにしました。この橋下氏の女性蔑視、人権無視の発言に市民団体は抗議、政府・与党も批判、国際社会から非難が殺到しました。
歴史認識で迷走する安倍内閣。これらは危惧されていた安倍首相自身の歴史観に起因する出来事です。政府は「河野談話」や「村山談話」で示された日本の「植民地支配と侵略」によって犠牲となった人々の人格と尊厳を回復するために真摯な対応をとるべきです。
通常国会は6月26日で閉会。いよいよ参議院選挙です。日韓、日中の歴史共同研究の成果を踏まえ、歴史の事実を公的に調査する必要性はますます重要になっています。私たちは東アジア諸国との対話と協調のために公的な調査機関として国会図書館に恒久平和調査局を設置するよう強く訴えます。

■米国が安倍首相の歴史観に危惧

閣僚が靖国神社に参拝した直後、安倍首相は韓国や中国の反発に対して、「どんな脅かしにも屈しない」と発言。アメリカの新聞各社はそろって「不必要な国粋主義」、「歴史を直視できない安倍総理大臣」と安倍首相批判の社説を掲載しました。東アジアの不安定さを危惧するアメリカ国務省は日本政府に対し、中国や韓国との関係改善を求めました。さらにシーファー前駐日米大使が「河野談話」を見直せば、「米国における日本の利益を大きく害する」と発言すると、菅官房長官は直ちに会見を開き、「河野談話」見直しを否定するという迷走ぶりでした。

■迷走の末、「河野談話」継承

安倍内閣の「慰安婦」問題を巡る迷走は5月24日、「河野談話」継承を辻元清美衆院議員への答弁書で閣議決定、取りあえず収まりました。このほか政府の「慰安婦」資料調査は「新しい資料が発見される可能性はある」ことから、現在も続けられていることが紙智子参院議員への答弁書で判明。オランダ人女性の強制連行を認めた軍法会議の記録を「河野談話」の時点で保管していたことを赤嶺政賢衆院議員への答弁書で公式に認めました。

■韓国強制動員調査委は継続、常設化も視野

日本で歴史見直し発言が続くなか、韓国政府は5月12日、6月末で活動期間が終了する予定の強制動員被害調査支援委員会を6カ月延長する方針を決めました。
委員会はこれまでに国外に強制動員された約10万件の被害調査を行いましたが、国内での動員被害補償まで手が回らないため、延長する間に委員会の常設化も視野に検討が進められる見通しです。委員会の延長や常設化については、日本の37市民団体も韓国政府に要望しています。

Contents NO.153
対話と協調の東アジアへ!/国連委が日本政府に勧告/毒ガス戦被害の村を訪問-谷川透/独政府のナチ被害者賠償/英・ケニア独立闘争弾圧和解/政府の「慰安婦」関係資料-小林久公/ハンセン病/アイヌ遺骨/強制動員研究集会報告集/今野東さん急逝

市民会議ニュース 2013.10.5 NO.154
第185回臨時国会に向けて    歴史事実の公的調査で

「未来への説明責任」を果たそう

〜 国会図書館に恒久平和調査局の設置を 〜


戦後68年を迎えた今年の夏、日本とドイツの首脳の行動は対照的でした。
安倍晋三首相の全国戦没者追悼式における式辞には、自身を含めて歴代の首相が口にしてきた「不戦の誓い」やアジア諸国の人々に対するお詫びの言葉はありませんでした。中国や韓国は安倍内閣の閣僚がその日に靖国神社に参拝したことを取り上げ、「日本の指導者は過去の歴史を直視し、反省することで、隣国の信頼を得るべきだ」と論評しました。
かたやドイツのメルケル首相はミュンヘン郊外にあるナチスのダッハウ強制収容所跡を訪問、「収容者の運命の記憶は、私の心を深い悲しみと恥ずかしさで満たす」と犠牲者を追悼しました。同じくドイツのガウク大統領は独首脳として戦後初めて、ナチス親衛隊が住民642人を虐殺したフランスのオラドゥール村を訪問、独仏の和解をアピールしました。
日独首脳の対応は国際社会に「過去を忘れようとする日本」と「過去を見つめ続けるドイツ」との印象を与えたに違いありません。

歴史認識で分裂する日本。未だに過去を克服できない日本。なぜそうなのか。それに応える論説を外務省「日本外交文書」編纂委員長の波多野澄雄さんが書いています。波多野さんは「村山談話は歴史認識の分裂を、政府部内でさえ克服できなかった。談話内容を支える歴史検証が不在だったからである。」(朝日新聞2013年8月14日付)というのです。
そのとおりではないでしょうか。

それではどのようにすべきなのでしょうか。波多野さんは安倍首相のいう新たな歴史談話に言及しつつ、「歴史の検証に耐え、国際的にも説得力ある内容とすること」、「失言」と「謝罪」の悪循環を断つため権威ある「歴史政策」の基盤と位置づけること、そして内外に対し、十分な説明責任を果たすため、歴史的検証が可能な知的基盤の整備することの三点を挙げています。

なかでも国立公文書館などが所蔵する歴史公文書をデジタル化し、いつでも、どこでも、誰でも自由に見ることができる「アジア歴史資料センター」を評価し、近代の戦争期と戦後処理の記録を広く公開し、近隣諸国と共有することを説いています。

私たち市民会議は戦争被害の事実を明らかにするため、国会議員の有志の皆さんと政府が保管している戦争中の資料を調査する恒久平和調査局の設置を念願してきました。
今からでも遅くはありません。

新しい国会は超党派で国立国会図書館に歴史事実を調査する恒久平和調査局を設置し、内閣や行政機関とともに歴史と誠実に向き合う姿勢をアジア諸国に明らかにしていくことが必要ではないでしょうか。

第185回臨時国会の課題として、独仏の和解を実現した独仏友好条約(エリゼ条約)締結50周年にならい、日本と韓国、日本と中国との友好促進のために歴史和解に向けて取り組もうではありませんか。

歴史事実の公的調査で「未来への説明責任」を果たすために国会は力を尽くしていく使命があると思います。

Contents NO.154
「未来への説明責任」を果たそう/波多野論説を読む 加藤健一/韓国高裁が徴用企業に賠償判決/「戦犯企業」299社を一挙掲載/731部隊が雲南省で細菌戦/「慰安婦」問題WEBサイト開設/オランダ政府がインドネシア独立戦争時の即決処刑を謝罪

市民会議ニュース 2013.12.8 NO.155
第185回臨時国会    「特定秘密保護法」優先国会

東アジア諸国との融和は望めず

〜 歴史資料公開の流れに逆行、後退の懸念 〜


二度目の安倍内閣発足から、もうすぐ一年を迎えます。菅義偉官房長官は内閣発足当初、日本の「植民地支配と侵略」をお詫びした「村山談話」を踏襲すると発表したものの、安倍晋三首相自身の「河野談話」見直しや「侵略の定義」発言、閣僚の靖国神社参拝で、安倍内閣の「歴史認識」は迷走を繰り広げました。米国の忠告もあり、安倍首相は歴史認識に関する発言を控えるようになりましたが、8月15日の全国戦没者追悼式の式辞では「不戦の誓い」やアジア諸国の人々に対するお詫びの言葉を述べませんでした。
その後、安倍首相は国連総会で「積極的平和主義」を掲げ、近隣諸国との融和のないまま、集団的自衛権の見直しや特定秘密保護法の制定に突き進んでいます。中国や韓国はこのような安倍内閣の動きに警戒感を強め、首脳会談も開けないまま越年しようとしています。
2013年はドイツとフランスの和解をもたらした独仏友好条約(エリゼ条約)締結50周年の年でした。ドイツのガウク大統領は、独首脳として戦後初めて、ナチス親衛隊が住民642人を虐殺したフランスのオラドゥール村を訪問、追悼演説を行いました。ドイツとフランスが永年の対立を克服したことと、日本と中国や韓国が和解できない現実は対照的です。
安倍内閣が「平和」を希求するならば、「過去の歴史を直視し、反省する」ことで近隣諸国との融和を優先するべきではないでしょうか。
2014年は日本が初めて台湾に海外出兵して140年になります。「台湾出兵」は日本の「植民地支配と侵略」と切り離せない事実です。安倍内閣は維新以降の歴史資料を速やかに公開し、歴史を検証する必要があるでしょう。東アジア諸国と歴史事実を共有してこそ歴史認識の基礎が築かれると考えます。しかし残念ながら、特定秘密保護法はこのような歴史資料公開の流れに逆行するものであり、情報公開の後退が懸念されます。
そのようなことの無いよう、国は率先して戦時中の歴史資料を公開し、戦争被害の事実を明らかにすべきなのです。日本が戦時中の資料を公開し、歴史と誠実に向き合う姿勢をアジア諸国に示すことがより一層求められています。
私たち市民会議は政府が保管している戦時中の資料を調査する恒久平和調査局の設置を求めています。国は歴史事実の公的調査に着手し、「未来への説明責任」を果たしていくことが必要です。

■韓国政府作成の日本統治下犠牲者名簿、60年ぶりに発見 

韓国国家記録院は11月19日、李承晩政権時代に作成した日本統治下で犠牲となった人々の名簿を公表しました。公表したのは3・1独立運動(1919年)と関東大震災(1923年)の際に殺害された韓国人犠牲者の名簿と日本統治時代の被徴用(徴兵)者名簿。3・1独立運動の犠牲者名簿(1冊)には630人、関東大震災の犠牲者名簿(1冊)には290人、日本統治時代の被徴用(徴兵)者名簿(65冊)には22万9781人の個人情報が記されています。 これらの名簿は1953年に韓国政府が全国的な調査を行い作成したもので、今年6月、東京の韓国大使館の新築・移転作業中に60年ぶりに発見されました。韓国政府は1965年の韓日請求権協定に基づき、戦時の徴用・徴兵に対する賠償が含まれた協力資金を日本側から受け取りましたが、3・1独立運動と関東大震災の犠牲者に対する賠償は協定に含まれていません。

Contents NO.155
「秘密保護法」は情報公開に逆行/日本統治下の犠牲者名簿発見/歴史的事実の共有を/「恒久平和調査局」法案/独大統領のフランス訪問/「河野談話」の基礎資料公開/北東アジアの和解―米国からの提案/挺身隊訴訟で賠償命令

衆参全国会議員に恒久平和調査局の設置を要請     2013年10月15日
〜 歴史的事実の共有こそ友好発展の道 〜

第185臨時国会が招集された10月15日、市民会議は衆参両院全国会議員に恒久平和調査局の設置を要請しました。しかし国会は、東アジア諸国との融和への動きとは反対に「特定秘密保護法」優先の審議に終始しました。この結果、歴史認識に関する課題は深まらず、日本と中国や韓国との首脳会談は実現しませんでした。それどころか歴史資料の情報公開も「特定秘密保護法」によって後退する懸念すら生まれています。来年は2014年。日本が1874年に初めて海外派兵した「台湾出兵」から140年にあたります。「台湾出兵」は日本の「植民地支配と侵略」と切っても切り離せない事実です。来年は改めて歴史に向き合うことが求められるでしょう。2015年の戦後70年までに、国が歴史事実の公的調査に着手することを求めていきたいと思います。

【要請文】

国会議員のみなさまへ      2013年10月15日

「未来への説明責任」を果たそう
〜 「恒久平和調査局」の設置で歴史事実の公的調査を〜


第185回臨時国会の冒頭に当たり、日本とアジア諸国の平和と安定、友好を進めるために特段のご配慮を賜りますようお願い申し上げます。

日本とアジア諸国の友好を進めるために

■アジア諸国との和解抜きの「積極的平和主義」に危惧

安倍晋三総理は今年の8月15日、全国戦没者追悼式の式辞で、自身を含めて歴代の総理が口にしてきた「不戦の誓い」やアジア諸国の人々に対するお詫びの言葉に触れませんでした。中国や韓国は安倍内閣の閣僚がその日に靖国神社に参拝したことを取り上げ、「日本の指導者は過去の歴史を直視し、反省することで、隣国の信頼を得るべきだ」と論評しました。

また安倍総理は9月26日、国連総会で、日本は新たに「積極的平和主義」の旗を掲げると演説しました。しかし、その「積極的平和主義」は近隣諸国に警戒感をもたれるものとなりました。それはこの間の歴史認識に対する安倍総理の発言によって近隣諸国の日本への信頼関係が損なわれていることの証明に他なりません。

安倍総理は、先の式辞で「歴史に対して謙虚に向き合い、学ぶべき教訓を深く胸に刻む」と述べました。そうであるならば、「村山談話」に沿って「植民地支配と侵略」に対する真摯なお詫びと対応が「積極的平和主義」の前提にあってしかるべきではないでしょうか。

新しい国会は歴史と誠実に向き合う姿勢をアジア諸国に明らかにしていくことが大切だと思います。第185回臨時国会の課題として、独仏の和解を実現した独仏友好条約(エリゼ条約)締結50周年にならい、日本と韓国、日本と中国との友好促進のために歴史和解に向けて取り組もうではありませんか。

■国会図書館に「恒久平和調査局」の設置を

私たちは日本がアジア諸国に対して行った戦争の歴史の事実をより深く公的に調査し、調査で得た歴史の事実を各国と共有することが、アジア諸国の人々との友好親善を深めるための基礎になるだろうと確信しています。
新しい国会が超党派で歴史事実を調査する恒久平和調査局を国会図書館に設置し、未来に向けて、東アジアに平和のメッセージを発信するよう期待するものです。