第207臨時国会で全国会議員に要請 2021年12月6日(2021.12.12更新)

国会図書館に戦争被害を調査する
恒久平和調査局の設置を求める

第49回衆議院議員総選挙後、最初の実質的な国会である第207臨時国会が召集された12月6日、市民会議は戦争被害を公的に調査する恒久平和調査局を国立国会図書館に設置するよう衆参両院の全国会議員に要望しました。
新しく選出された衆議院議員の皆さんにも理解してもらえるように市民会議の紹介と戦争被害調査の意義、そして政府ではなく、国会が戦争被害を調査する意味を解説した要請文を全国会議員に配布しました。
総選挙直後に開催された第206特別国会で岸田文雄氏が再度総理に指名され、第二次岸田内閣が発足しました。広島出身の岸田氏はかつて原爆ドームの世界文化遺産登録を推進したことがあり、「核兵器のない世界」をめざしていることから、日本がアジア諸国の人々に与えた被害にも積極的な取り組みをしていただきたいものです。
以下は国会議員の皆さんに配布した要請文です。


【要請文】

国会議員の皆さまへ                                                             2021年12月6日

国会図書館に戦争被害を調査する
恒久平和調査局の設置を要請します

                                                           戦争被害調査会法を実現する市民会議

第207回国会(臨時会)の召集日にあたり、国民の代表者である皆様に訴えます。
私たちは歴史の事実を明らかにするために、先の大戦における戦争被害を公的に調査する法律の制定をめざしている市民団体です。
すでに法律案は国立国会図書館に戦争被害を調査する恒久平和調査局を設置する「国立国会図書館法改正案」(裏面参照)として超党派の国会議員によって発議されています。
皆様におかれては、国立国会図書館の使命を再認識され、国立国会図書館に恒久平和調査局を設置し、戦争被害を公的に調査していただくことを切に要望いたします。

■なぜ政府でなく国会なのか

日本政府はこれまで日本の「植民地支配と侵略」によってアジア諸国の人々に与えた戦争被害について体系的に調査したことはありません。このことが現代の近隣外交に影を落としているといって過言ではありません。
岸田文雄総理はかつて原爆ドームの世界文化遺産登録を推進されたことがあります。岸田氏は「だれが加害者であるとか、だれが被害者であるとかいうことではなくして、二十世紀に人類が犯した愚行に対する悔悟の象徴として、そして人類にとっては忘れてはならない負の遺産として、世界遺産に登録すべき」(第129回国会衆議院文教委員会1994年6月3日)と述べられています。岸田氏は原爆被害を「人類が犯した愚行」として積極的に主張し行動されましたが、日本の加害に消極的なのはどうしてでしょうか。
私たちは先の戦争が政府の行為によって引き起こされたことを想起し、国権の最高機関である立法機関の国会が戦争被害を公的に調査するのにふさわしいと考えています。

■国会図書館は「世界平和」が「使命」

国会には国立国会図書館が置かれています。その国立国会図書館法は法律前文に「憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される」と明記しています。国会図書館の使命は世界平和に寄与することなのです。その意味で戦争被害を公的に調査する機関として一番ふさわしいのではないでしょうか。
皆様におかれましては、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(日本国憲法の前文)ためにも、戦後80年を迎える2025年までの5年間に戦争被害調査に取り組まれることを期待するものです。

 第204通常国会で全国会議員に要請  2021年1月18日(2021.1.31更新)

国会に戦争被害の公的調査を求める

第204通常国会が召集された1月18日、市民会議は衆参両院の全国会議員に戦争被害を公的に調査する恒久平和調査局の設置を要望しました。
市民会議はこれまで日本がアジア諸国に与えた戦争被害を政府ではなく国会が公的に調査することを求めてきました。
今年はいわゆる「満洲事変」から90年を迎えることから、2021年から戦後80年を迎える2025年までの5年間に体系的に戦争被害調査を行なうよう改めて求めました。以下は国会議員の皆さんに配布した要請文です。


【要請文】
                                                                2021年1月18日
国会議員の皆さまへ                           

私たちは戦争被害の公的調査を
国会が率先して行なうことを要望します。

                    戦争被害調査会法を実現する市民会議

本年は関東軍が中国の柳条湖で「満鉄」を爆破し、中国侵略を本格化してから90年を迎えます。歴代の内閣は日本の「植民地支配と侵略」について「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ち」を表明してきました。しかし日本の「植民地支配と侵略」によってアジア諸国の人々に与えた戦争被害について体系的に調査したことはありませんでした。
私たちは「満洲」事変から90年の2021年から戦後80年を迎える2025年までの5年間に戦争被害の公的な調査を国会が率先して行なうことを要請するものです。

■なぜ政府でなく国会なのか

大島理森衆議院議長は今年の「年頭の辞」で「昨今、ややもすればポピュリズム的・独裁的な政治の方が、迅速な意思決定ができるといった意見も見受けられるところです。しかし、リーダーシップに安易に依拠するのでなく、徹底した議論によってこそ、自由で多様なアイデアが表出され、長期的には様々な課題の解決につながっていくものであると確信します」と述べ、「国会こそが、民主政治実現の場である」と力強く語りました。
日本国憲法の前文は「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」としています。
私たちはかつての戦争が政府の行為によって引き起こされたことを想起し、国権の最高機関である立法機関の国会が戦争被害を公的に調査するのにふさわしい機関であると考えるものです。

■国会図書館に「恒久平和調査局」を

また国会には国立国会図書館が置かれています。その国立国会図書館法は前文に「憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される」としているからです。
私たちは国立国会図書館に戦争被害を公的に調査する恒久平和調査局を設置して体系的に戦争被害を調査することが望ましいと考えています。
国会議員の皆様におかれては、国立国会図書館の使命を再認識され、国立国会図書館に恒久平和調査局を設置し、戦争被害を公的に調査していただくことを切に要望いたします。