市民会議とは? |
すでに日本では戦争が終わってから生まれた世代が多数派です。しかし、あの忌まわしい記憶を忘れることができず未だに苦しんでいるアジアの人たちが大勢いるのです。
「従軍慰安婦」、化学兵器・細菌兵器の犠牲者。強制連行・労働。捕虜虐待、旧植民地出身の元軍人・軍属。軍票問題…。被害者は日本政府の公式謝罪と個人補償を求めて、訴えています。
一方、日本国内では、「従軍慰安婦強制の事実はない」「南京大虐殺はでっち上げ」など、過去の歴史事実に対して、様々な論争が至るところで起こっており、世論が分かれています。こうした日本国内の状況は、国際的にも日本に対する不信感を募らせています。
これは、政府が保有するアジア・太平洋戦争に関する資料を公開しておらず、きちんと調査を行っていないためです。
21世紀はもうすぐ。このままでいいのでしょうか?
アジア諸国との真の共生のため、そして次代を担う子どもたちのため、私たち「戦争被害調査会法を実現する市民会議」は、アジア・太平洋戦争中に日本が与えた被害の実態について、きちんと国が調査する機関を法律で設置することを求めます。
そのため、国会議員や各地域のグループと協力しながら、歴史の事実を求める声をより一層広げていきます。
市民会議はこんなことを進めています。
1.国会議員へのはたらきかけ
国会では98年9月「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す国会議員連盟」が発足し、法案の検討を進めています。市民会議は議員連盟と協力して、戦争被害調査会の設置を求める100万人請願署名運動や、国会内での集会などを通じて、法案成立のための働きかけを行います。
2.調査会法案の検討・提言づくり
誰が、何を、どう調べるのか。調査会法案の中身について、市民会議はシンポジウムや学習会、討論会などを開催して、調査会法案の具体的な内容について検討し、研究者や法律家の知恵も借りながら、国会議員への提言づくりを進めます。
3.各自治体議会へのはたらきかけ
私たちの足元から、歴史の事実を求める取り組みを進めます。そのため全国各地のグループと共同で、「歴史の事実を明らかに!全国キャンペーン」を実施し、各都道府県市区町村議会で、「戦争被害調査会の設置を求める意見書」の採択を目指します。
4.調査を求める世論喚起
一番大切なのは、歴史の事実を知りたいという一人一人の声です。「市民会議通信」の発行やインターネットを使った情報提供、若い世代向けのイベントや海外のグループとの連絡などを通じて、戦争被害調査会の設置を求める世論を広げます。
戦争被害調査会法を実現する市民会議のプロフィール
戦争被害調査会法を実現する市民会議は1997年11月、「従軍慰安婦」、強制連行、旧軍人軍属、人骨問題など戦後補償裁判の支援や、教科書問題に取り組んできた個人により発足しました。
発足当初から
@戦争被害調査会法制定を求める100万人署名運動
A地方議会における「戦争被害調査会設置を求める意見書」採択を進める運動
B超党派の国会議員による国会議員懇談会設置に向けた取り組み
C「戦争被害調査会法」案の検討と提案
を四つの課題に掲げて、運動を進めてきました。
運営委員会の下に事務局があり、また国会担当チーム、法案検討チーム、全国連絡担当チーム、広報の各セクションを設け、それぞれのプロジェクトを進めています。また北海道、東北、北陸、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄の各ブロックにそれぞれキーステーションがあります。
現在会員数は約500名。財政は会費やカンパなどでまかなっています。
代表はルポライターの西野瑠美子と、キリスト者の西川重則の両氏。
市民会議発足集会での声明 (1997年11月29日)
〜 公的調査によって歴史の事実を明らかに! 〜
市民会議は「慰安婦」問題解決に向けたいわゆる「女性のためのアジア平和国民基金」(略称:アジア女性基金)の失敗が現実となり、参議院議員26名からなる「戦時性的強制被害者問題調査会設置法案」の提出と廃案の過程から生まれました。戦後補償の立法解決を図るためには戦争被害の歴史の事実を明らかにすること、それも公的な機関が行い、国民的な共通の理解を進めることが不可欠と考えたからです。1994年の「戦後50年問題調査会設置法案」、95年の村山談話と「アジア女性基金」の発足、『償い金』の受取り拒否、96年の「慰安婦」問題調査会法案、97年の「恒久平和調査会設置法案」を経て、戦争被害の真相究明の必要性を理解した市民は11月29日に西野瑠美子、西川重則の両氏を共同代表として「戦争被害調査会法を実現する市民会議」を発足させたのです。その後、99年の「恒久平和調査局」設置法案(国立国会図書館法の改正案)に結びついたのです。今日、日本軍「慰安婦」問題は日韓両政府による元「慰安婦」被害者「不在」の合意によって再び混迷をもたらしています。このときこそ、戦争被害の真相究明という原点に立ち返る必要があると考えます。
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■公的調査によって歴史の事実を明らかに!
戦後50有余年が経過し、日本国内では戦争を知らない世代が多数を占めるようになりましたが、日本がアジア諸国に残した多くの傷跡は未だ癒されることなく、「従軍慰安婦」、化学兵器・細菌兵器の使用、強制連行労働をはじめ、捕虜虐待虐殺、旧植民地出身者軍人軍属の処遇、旧植民地出身BC級戦犯の処遇、軍票等、多くの人々を苦しみ続けています。被害者は日本政府からの公式謝罪と個人補償を求めて訴えています。
一方、日本国内では、「慰安婦強制の事実はない」「三光作戦は中国人の言葉」など、過去の歴史事実に対する様々な論争が地方議会をはじめ、至るところで起こっており、世論は二分されています。こうした日本国内の状況は、国際的にも、日本に対する不信感を強める原因となっています。
私たちは、こうした問題を解決し、過去の歴史についての認識をアジア諸国の人々と共有していくためには、日本による植民地支配とアジア太平洋戦争において日本が与えた被害の実態について調査し、その調査結果を公表し、後世に伝えていくことが必要であると考えます。
このような調査は、民間では従来から行われてきましたが、政府機関が保有する資料を十分に調査することができず、また、その研究成果は必ずしも日本人全体のものとなっていません。そのため、日本国内では、加害事実があったか否かについての認識すら、バラバラであるのが実情です。
私たちはこのような状況を打開するために、公的な調査会を設置することを提案します。
私たちが構想する公的調査会とは、
@ 国家の予算と機関を遣って調査を行ない、
A アジア諸国及び関係各国の政府機関等の協力をも得つつ被害実態を調査し、
B 日本の政府機関が保有している関係資料を提出させて被害と加害の全体像を調査し、
C その調査結果を国の公的なものとし、国民の共有物とすること、
を目的とするものです。
これを実現するためには、地方議会や国会議員に積極的に働きかけ、超党派国会議員の賛成を得て、「戦争被害調査会法」を議員立法で成立させることが必要であると考えます。(法律案の正式名称、個々の条文については今後、運動を進めていく中で更に議論し、専門家の知識も借りながら詰めていきたいと考えています。)
私たちは、上の目的を達成するために、「戦争被害調査会法を実現する市民会議」を設立しました。ぜひ、この趣旨をご理解いただき、私たちの運動にご参加ください。一緒に力を合わせて、戦争被害調査会法を実現しましょう!
1997年11月29日(発足)
戦争被害調査会法を実現する市民会議
共同代表 西野瑠美子・西川重則