◆韓国国会に2001年10月12日に提出されていた先の大戦下における日本による強制動員などの真相調査を求める法案が2004年2月13日、可決成立しました。◆法案の名称は「日帝強制占領下強制動員被害真相究明に関する特別法案」◆提出者は、ハンナラ党の金元雄議員ら与野党の国会議員69人◆金元雄議員は記者会見で、強制動員による被害者は、軍人・軍属で36万人余、徴用が751万人余に達することを挙げ、韓日両国が協力して人権回復のために真相究明に取り組むよう訴えました◆以下に法案の日本語訳を掲載します。 < 修正可決された特別法(概要)と修正点、修正後の特別法(福留訳)、発議された原案 > |
日帝強制占領下強制動員被害真相究明等に関する特別法(概要) 韓国国会可決年月日:2004.2.13 国立国会図書館 調査及び立法考査局 海外立法情報調査課(翻訳2月18日) |
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第1条(目的) この法律は、日帝強制占領下における強制動員被害の真相を究明し、歴史の真実を明らかにすることを目的とする。 第2条(定義) 第1項 「日帝強制占領下強制動員被害」とは、満州事変から太平洋戦争に至る時期に、日帝により強制動員され、軍人、軍属、労務者、軍慰安婦等の生活を強要された者が被った、生命、身体、財産等の被害をいう。 第2項 「犠牲者」とは、日帝強制占領下強制動員による死亡者、行方不明者、又は後遺症が残っている者であって、第3条第2項第4号の規定によって日帝強制占領下強制動員被害の犠牲者であると決定された者をいう。 第3条(日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会) 第1項 日帝強制占領下強制動員の被害の真相を究明し、この法律に基づく犠牲者及び遺族の審査又は決定等に関する事項を、審議し、又は議決するために、国務総理の所属の下に日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会(以下、「委員会」という)を設ける。 第2項 委員会は次の各号の事項を審査し、又は議決する。 第1号 日帝強制占領下強制動員被害の真相調査に関する事項 第2号 日帝強制占領下強制動員被害と関連する国内外の資料収集及び分析並びに真相調査報告書の作成に関する事項 第3号 遺体の発掘、及び収集に関する事項 第4号 犠牲者及び遺族の審査又は決定に関する事項 第5号 資料館、慰霊空間造成に関する事項 第4条(委員会の構成) 第1項 委員会は、委員長1名を含む9名以内の委員で構成する。 第2項 委員は、日帝強制占領下強制動員被害に関して専門的知識を有し、業務を公正に、かつ、独立した立場で遂行できると認定された者、又は関係する公務員の中から、大統領が任命する。 第3項 委員の任期は2年間とし、1回に限り任期を延長することができる。 第5条 (委員の職務上の独立及び身分保証) 第1項 委員は、外部のいかなる指示又は干渉を受けることなく、独立してその職務を遂行する。 第6条 (委員の欠格事由) 第7条(議決定足数) この法律に特別な規定がない限り、在籍委員の過半数の賛成で議決する。 第8条(事務局の設置) 第9条 (職員の身分保証) 第10条(委員会の運営等) 第11条 (日帝強制占領下強制動員被害真相究明実務委員会) 第1項 委員会の議決事項を実行し、又は委員会から委任を受けた事項を処理するため、特別市市長、広域市市長、又は道知事の下に、日帝強制占領下強制動員被害真相究明実務委員会を設けるものとする。 第2項 実務委員会は、次の各号の事項を処理する。 第1号 委員会から委任を受けた日帝強制占領下強制動員被害に関する事項 第2号 犠牲者及び遺族の被害の届け出の受理に関する事項 第3号 被害の届け出についての調査に関する事項 第4号 その他委員会から委任を受けた事項 第12条 (真相調査の申請及び被害の届け出) 第1項 犠牲者、犠牲者と親族関係にある者、又は日帝強制占領下強制動員被害について特別な事実を知る者は、委員会に対して真相の調査を申請し、又は被害の届け出を行うことができる。 第2項 委員会は、第1項の規定に従い、真相調査の申請の為の機関を定め、届け出先を明示し、それを公示しなければならない。この場合、外国に滞在し、又は居住する者のために、在外公館にも届け出先を設ける。 第13条 (申請の却下) 第1項 委員会は真相調査の申請が、次の各号の1に該当する場合には、その申請を調査せず、却下することができる。 第1号 申請が委員会の調査対象に属さない場合 第2号 申請の内容がそれ自体明らかな虚偽であり、又は理由がないと認められる場合 第3号 委員会が却下した申請と同一の事実に関して、再び申請した場合。ただし、申請者が以前提出しなかった重大な弁明資料を備えている場合には、そのような取り扱いは行わない。 第14条 (真相調査の開始) 第1項 委員会は、真相調査の申請が、第13条第1項が定める却下事由に該当しないときは、調査開始決定を遅延なく行い、その内容について必要な調査をしなければならない。 第2項 委員会は、日帝強制占領下強制動員被害が発生したと認めるに十分かつ相当な根拠があり、真相調査が必要であると判断した場合には、職権により必要な調査を行うことができる。 第15条 (真相調査の方法) 第1項 委員会は、調査を実行するにあたり、次の各号の措置をとることができる。 第1号 犠牲者、その家族又はその他の関係者に対する陳述書の提出要求 第2号 犠牲者、その家族又はその他の関係者に対する出席要求又は陳述聴取 第3号 犠牲者、その家族、その他の関係者、関係機関、関係施設又は団体などに対する、関係資料又は物の提出要求 第4号 日帝強制占領下強制動員被害が発生した場所などに対する実地調査 第5号 鑑定人の指定又は鑑定依頼 第16条 (調査の期間) 第1項 委員会は、最初の真相調査開始決定日以後2年以内に、日帝強制占領下強制動員被害に対する調査を完了しなければならない。 第17条 (決定等) 第1項 委員会は、当該被害に対する調査が完了した場合には、次の各号の内容を決定しなければならない。 第1号 日帝強制占領下強制動員の被害であるかどうかの是非 第2号 当該被害の原因及び背景 第3号 犠牲者及び遺族 第18条 (委員等の保護等) 第19条(真相調査報告書の作成) 第1項 委員会は、第16条の規定に従い、調査機関が終了した日から6ケ月以内に日帝強制占領下強制動員被害真相調査報告書を作成し、大統領及び国会に報告し、これを公表しなければならない。 第20条 (委員会等の免責) 第21条 (慰霊事業の支援) 政府は、日帝強制占領下強制動員被害によって死亡した者を慰霊し、歴史的意味を絶えず省み、平和と人権のための教育の場として活用するために、次の各号の事業施行に必要な費用を予算の範囲内で支援することができる。 第1号 慰霊空間(慰霊墓域、慰霊塔、慰霊公園)の造成 第2号 日帝強制占領下強制動員被害資料館及び博物館の建設 第3号 その他の関連事業 第22条 (戸籍登記) 第23条 (守秘義務) 第24条 (不利益の禁止) 第25条 (委員会と各関係機関との協力) 第26条 (公務員等の派遣等) 第27条 (類似名称の使用禁止) 第28条 (罰則) 第29条(罰則) 第30条 (過料) 付則
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修正点
特別法は真相究明特別委員会と法制司法委員会の審査を経る過程で、韓国の外交通商部、法司委専門委員の検討報告によって、原案が修正されました。 主な修正点は 強制動員被害を調査する「日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会」を大統領の所管から行政府主導の国務総理所管に移したことです。(原案第3条) 以下、. 修正案の要旨 A. 修正理由 日帝強占下強制動員被害真相究明委員会の円滑な業務調整等のために、委員会の所属を大統領所属から国務総理所属に転換し、これに伴う関連規定を調整 し、その他に不合理な内容及び体系・字句を修正しようとするものである。 B. 修正主要骨子 (1) 日帝強占下強制動員被害真相究明委員会の所属を大統領所属から国務総理所属に変更する(案 第3条第1項)。 (2) 委員会の審議・議決事項中、日帝強占下強制の被害に対する国家の立場表明等をするよう建議する事項を削除する(案 第3条第2項)。 (3) 外国の公共機関が保管している資料に関連しては、委員会は関係機関を通して、該当国家の政府に対し、その公開を要請することができるようにする (案 第16条13項)。 (4) 委員会の調査範囲と関連する条項を削除する(案 第17条)。 (5) 委員会の業務の内一部を民間団体に委託し、遂行することができるようにしたことを削除する(案 第28条2項)。 (6) 同行命令を拒否した者等に対しては、1,000万ウォン以下の過料に処するようにする(案 第32条)。 |
修正後の特別法(福留訳)
法律 第 号 日帝強占下強制動員被害真相糾明等に関する特別法案
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第1条(目的) この法は日帝強占下強制動員被害の真相を糾明して、 歴史の真実を明らかにすることを目的とする。 第2条(定義) この法で使用する用語の定義は、次の通りである. @ 「日帝強占下強制動員被害」とは、満州事変から太平洋戦争に至る時期に日帝に因って強制動員された軍人・軍属・労務者・軍慰安婦等の生活を強要された 者が被った生命・人体・財産等の被害を言う。 A 「犠牲者」とは、日帝強占下強制労働に因って死亡したり行方不明になった者あるいは後遺障害が残っている者で、第3条2項第4号の規定に依り、日帝強 占下強制動員被害犠牲者と決定された者を言う。 B 「遺族」とは、犠牲者の配偶者(事実上の配偶者を含む)及び直系の尊卑属をいう。但し、配偶者及び直系の尊卑属がいない場合には兄弟姉妹をいう。 第3条(日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会) @ 日帝強占下強制動員被害の真相を糾明し、この法に依る犠牲者及び遺族の審査・決定等に関する事項を審議・議決するために、国務総理所属下に日帝強占 下強制動員被害真相糾明委員会(以下、「委員会」とする)を置く。 A 委員会は、次の各号の事項を審議・議決する。 1. 日帝強占下強制動員被害真相調査に関する事項 2. 日帝強占下強制動員被害と関連する国内外の資料の収集と分析及び真相調査報告書作成に関する事項 3. 遺骨発掘及び収集に関する事項 4. 犠牲者及び遺族の審査・決定に関する事項 5. 史料館、慰霊空間造成に関する事項 6. この法で定めている戸籍登載に関する事項 7. その他真相糾明のために大統領令が定める事項 第4条(委員会の構成) @ 委員会は、委員長1人を含む9人以内の委員で構成する。 A 委員は、日帝強占下強制動員被害に関して専門的知識があり、業務を公正かつ独立的に遂行できると認められた者と関係公務員の中から大統領が任命あ るいは委嘱する。 B 委員長は、委員の中から大統領が任命する。 C 委員の任期は2年とするが、一回に限り延任できる。 D 委員が事故で職務を遂行できなかったり欠員になった時には、遅滞なく新らしい委員を任命しなければならない。この場合補任された委員の任期は前任委員 の残余任期とする。 第5条(委員の職務上の独立と身分保証) @ 委員は外部のいかなる指示や干渉も受けず、独立してその職務を遂行する。 A 委員は身体上あるいは精神上の障害で業務遂行が顕著に困難になったり不可能になった場合及び刑の宣告に依る場合を除き、その意思に反し免職されな い。 B 第2項中、委員が身体上あるいは精神上の障害で業務遂行が顕著に困難になったり不可能になった場合に該当するか否かは、在籍委員の3分の2以上の議 決で定める。 第6条 (委員の欠格事由) @ 次の各号の一つに該当するものは委員になることができない。 1. 大韓民国の国民でない者 2. 国家公務員法第33条の各号の一つに該当する者 3. 政党の党員 4. 公職選挙及び選挙不正防止法に依り実施する選挙に候補として登録した者 A 委員が第1項の各号の一つに該当することになった時には、当然退職する。 第7条(議決定足数) この法に特別な規定がない限り、在籍委員の過半数の賛成で議決する。 第8条(事務局の設置) @ 委員会の事務を処理するために委員会に事務局を置く。 A 事務局に事務局長1名とその他必要な職員を置く。 B 事務局長は委員会の議決を経て、委員長の提請で大統領が任命する。 C 所属職員中5級以上の公務員は委員長の提請で大統領が任命し、6級以下の公務員は委員長が任命する。 D 事務局長は委員長の指揮を受け、事務局の事務を管掌し、所属職員を指揮・監督する。 第9条 (職員の身分保障) 委員会の職員は刑の宣告・懲戒処分あるいは委員会の規定が定める事由に依らなければ、その意思に反し退職・休職・降任あるいは免職されない。 第10条 (委員会の運営等) この法に規定された以外の委員会の組織及び運営に関して必要な事項は大統領令で定める。 第11条 (日帝強占下強制動員被害真相糾明実務委員会) @ 委員会の議決事項を実現し、委員会から委任された事項を処理するために、当該特別市長・広域市長及び都知事(以下「市・都知事」とする)所属下に日帝強 占下強制動員被害真相糾明実務委員会(以下、「実務委員会」とする)を置く。 A 実務委員会は、次の各号の事項を処理する。 1. 委員会から委任を受けた日帝強占下強制動員被害に関する事項 2. 犠牲者と遺族の被害申告の収集に関する事項 3. 被害申告に対する調査に関する事項 4. その他委員会から委任された事項 B 実務委員会は、委員長1名を含む15名以内の委員で構成され、委員長は当該市・道知事がなり、委員は関係公務員と犠牲者及び遺族代表を含み、学識と経 験の豊かな者の中から委員長が任命あるいは委嘱する。 C 実務委員会の組織及び運営に関して必要な事項は条例で定める。 第12条 (真相調査の申請及び被害申告) @ 犠牲者あるいは犠牲者と親族関係にある者や日帝強占下強制動員被害に関して特別な事実を知っている者は、委員会に真相調査を申請したり被害申告を することができる。 A 委員会は第1項の規定に依る真相調査申請のための期間を定め、申告所を明記し公告しなければならない。この場合外国に滞在したり居住している者のため に在外公館にも申告所を置く。 B 第1項の規定に依る申請は次の各号の事項を記載した文書でしなければならない。但し、文書に依ることができない特別の事情がある場合には口述でするこ とができる。 1. 申請人の姓名と住所 2. 申請の趣旨と申請の原因となった事実 C 委員会が真相調査開始の決定をした日帝強占下強制動員被害に関しては、第2項の規定に関わらず、委員会が定めるところにしたがって追加で被害申告を 受けることができる。 D 第1項の親族関係と特別な事実の範囲は大統領令で定める。 第13条 (申請の却下) @ 委員会は真相調査の申請が次の各号の一つに該当する場合には、その申請を調査せず却下することができる。 1. 申請が委員会の調査対象に属さない場合 2. 申請の内容がそれ自体明白な虚偽であったり理由がないと認められる場合 3.委員会が却下した申請と同一の事実に関して再び申請した場合。但し、従前の申請で提出しなかった重大な疎明資料を備えた場合には、これにあらず。 A 委員会は調査を開始した後にも、その申請が第1項各号の一つに該当することになる場合には、その申請を却下することができる。 第14条 (真相調査の開始) @ 委員会は真相調査の申請が、第14条第1項で定めた却下事由に該当しない場合には、調査開始決定をし遅滞なくその内容に関する必要な調査をしなければ ならない。 A 委員会は日帝強占下強制動員被害が発生したと認めうるに足る相当の根拠があり、真相調査が必要だと判断される時には、職権で必要な調査をすることが できる。 第15条 (真相調査の方法) @ 委員会は調査の遂行において、次の各号の措置をとることができる。 1. 犠牲者及びその親族その他の関係人に対する陳述書の提出要求 2. 犠牲者及びその親族その他の関係人に対する出席要求及び陳述聴取 3. 犠牲者及びその親族その他の関係人、関係機関、関係施設、団体等に対する関係資料あるいは物件の提出要求 4. 日帝強占下強制動員被害が発生した場所等に関する実地調査 5. 鑑定人の指定及び鑑定依頼 A 委員会は必要であると認められる時には、委員あるいは所属職員をして第1項各号の措置をさせることができる。 B 第1項第3号の規定に依って関連資料あるいは物件の提出を要求された関係機関等は、大統領令が定める特別な事由がない限り、これに応じなければなら ない。 C 関係機関あるいは団体は日帝強占下強制動員被害関連資料の発掘及び閲覧のために必要な便宜を提供しなければならない。 D 第2項の規定に依る調査をする場合、当該委員あるいは所属職員はその権限を表示する証票を所持し、これを関係人等に提示しなければならない。 E 第1項第3号の規定に拠り出席要求を受けた関係機関等の長は、その資料が外国に保管されている場合には、該当国家の政府と誠実に交渉しなければなら ず、その処理結果を委員会に通報しなければならない。 F 委員会は関係機関を通して、外国の公共機関が保管している資料に関し、該当国家の政府に対しその公開を要請することができる。 第16条 (調査の期間) @ 委員会は最初の真相調査開始決定日以後、2年以内に日帝強制動員被害についての調査を完了しなければならない。 A 委員会は第1項で定めた期間内に調査を完了することが難しい場合には、期間満了3カ月前に国務総理にその事由を報告して、6カ月の範囲内でその期間を 延長することができる。 但し、上の期間延長は2回を超えることはできない。 第17条 (決定等) @ 委員会は当該被害についての調査を完了した時には、次の各号の内容を決定しなければならない。 1. 日帝強制動員被害であるかの当否 2. 当該被害の原因・背景 3. 犠牲者及び遺族 A 委員会は第1項の決定をする場合、遅滞なく申請人に結果を通知しなければならない。 B 委員会は第1項の決定をした後、必要な場合被害の真相等について公表したり大統領と国会に報告することができる。 第18条 (委員の保護等) @ 何人も職務を行う委員・職員あるいは鑑定人に対して、暴行あるいは脅迫したり、あるいは職員に対し業務上の行為を強要あるいは阻止したり、その職を辞退 させる目的で暴行あるいは脅迫をしてはならない。 A 何人も日帝強占下強制動員被害の調査と関連して、情報を提供したり提供しようとする理由で解雇、停職、減俸、転補等のいかなる不利益も受けない。 B 委員会は日帝強占下強制動員被害の真相調査と関連した証拠・資料等の確保あるいは隠滅の防止に必要な対策を講究しなければならない。 C 委員会は日帝強占下強制動員被害の真相を明らかにしたり証拠・資料等を発見あるいは提出した者に必要な報償あるいは支援をすることができる。 その支 援あるいは報償の内容と手続きその他必要な事項は大統領令で定める。 第19条 (真相調査報告書作成) @ 委員会は第18条の期間が終了した日から6カ月以内に日帝強占下強制動員被害真相調査報告書を作成し大統領と国会に報告し、これを公表しなければなら ない。 A 第1項の規定に依る報告書に含まれる内容は大統領令で定める。 第20条 (委員会等の責任免除) 委員会、委員、職員および委員会の委嘱あるいは委任を受けて業務を遂行した専門家、鑑定人あるいは民間団体とその関係者は、委員会の議決に依って作 成・公開された報告書あるいは公表内容に関して故意あるいは重要な過失がない限り、民事あるいは刑事上の責任を負わない。 第21条 (慰霊事業の支援) 政府は、日帝強占下強制動員によって死亡した者を慰霊し、歴史的意味を顧み、平和と人権のための教育の場で活用するための次の各号の事業施行に必要 な費用を予算の範囲内で支援することができる。 1. 慰霊空間(慰霊墓域、慰霊塔、慰霊公園)造成 2. 日帝強占下強制動員被害資料館及び博物館建立 3. その他の関連事業 第22条 (戸籍登載) 日帝強占下強制動員被害に因って、戸籍登載が漏れ落ちていたり、戸籍に記載された内容が事実と異なっている場合、他の法令の規定に関わらず、委員会 の決定に従い大法院規則が定める手続きに依って、戸籍に登載するか戸籍の記載を訂正することができる。 第23条 (秘密遵守の義務) 委員あるいは委員であった人、委員会職員や職員であった人、鑑定人あるいは鑑定人であった人、委員会の委嘱に依って調査に参与したり委員会の業務を遂 行した専門家あるいは民間団体とその関係者は、その職務遂行過程で知った情報、文書、資料あるいは物件を他の人に提供あるいは漏洩したり、その他に委員 会の業務遂行以外の目的のために利用してはならない。 第24条 (不利益の禁止) 何人もこの法に依って委員会にした申請、申告、陳述、資料提供等の理由で不利益を受けてはならない。 第25条 (委員会と他の機関の協力) @ 委員会はその業務遂行の内容と手続き及び結果に関して、民間団体の諮問及び意見を求めることができる。 A 委員会は必要だと認められる時には、その業務の内の一部を特定して、地方自治団体等の関係機関及び専門家に委任あるいは委託して遂行させたり共同 で遂行することができる。 B 第2項の規定に依り委員会から委任あるいは委託された業務を遂行したり委員会との共同で遂行する関係機関(の関係者/訳者)及び専門家は、その業務の 範囲内で委員会所属の職員と見なす。 C 第1項及び第2項の規定に関し必要な事項は、委員会の規定で定める。 第26条 (公務員の派遣等) @ 委員会はその業務遂行のために必要だと認められる場合、関係機関の長にその所属公務員あるいは職員の派遣を要請できる。 A 第1項の規定により公務員等の派遣を要請された関係機関の長は、委員会と協議し所属公務員あるいは職員を委員会に派遣することができる。 B 第2項の規定に依って委員会に派遣された公務員あるいは職員は、その所属機関から独立して委員会の業務を遂行する。 C 第2項の規定に依って委員会に公務員あるいは職員を派遣した関係機関の長は、委員会に派遣した公務員あるいは職員に対して人事及び処遇で不利な措 置をとってはならない。 第27条 (類似名称使用の禁止) 委員会でない者は、日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会あるいはこれと同一視されうる名称を使用できない。 第28条 (罰則) 次の各項の一つに該当する者は、5年以下の懲役あるいは2,000万ウォン以下の罰金に処する。 1. 第18条第1項の規定に違反して委員会の委員・職員あるいは鑑定人を暴行あるいは脅迫した者 2. 第18条第1項の規定に違反して委員会の委員・職員あるいは鑑定人に対して、その業務上の行為を強要あるいは阻止したりその職を辞退させる目的で暴行 あるいは脅迫した者 第29条 (罰則) 第23条の規定に違反し、秘密遵守義務を守らなかった者は、2年以下の懲役あるいは1,000万ウォン以下の罰金に処する。 第30条 (過料) @ 次の各号の一つに該当するものは、1,000万ウォン以下の過料に処する。 1. 正当な理由なく第15条第1項第4号の規定に依る実地調査を拒否・忌避した者 2. 第27条の規定に違反し類似名称を使用した者 A 第1項の規定に依る過料は、大統領令が定めるところに従い委員長が賦課する。 B 第2項の規定に依る過料処分に不服があるものは、その処分の告知を受けた日から14日以内に賦課権者に意義を提起できる。 C 第2項の規定に依る過料処分を受けた者が、第3項の規定に依り異議を提起した時は、賦課権者は遅滞なく管轄法院にその事実を通報しなければならず、そ の通報を受けた管轄法院は非訟事件節次(手続き)法に依る過料の裁判をする。 D 第3項の規定に依る期間内に意義を提起せず、過料を納付しなかった時は、国税滞納処分の例に依りこれを徴収する。 付 則 @ (施行日) この法は交付後6カ月が経過した日から施行する。 但し、委員及び所属職員の任命、この法の施行に関する委員会規則の制定・公布・委員会の設立準備は施行 日以前になすことができる。 A (委員の任期開始に関する適用例) この法により任命された委員の任期は、この法の施行日から始まると見なす。 B (大統領令の制定) 委員長はこの法が公布された後、施行日前であっても、国務総理にこの法の施行に関する大統領令案の提出を建議することができる。 [翻訳] 福留 範昭 ( 2004年 3月 8日 ) |
原案
日帝強制占領下強制動員被害真相究明等に関する特別法案 (金元雄議員代表発議) 発議年月日:2001.10.12 |
発議者 金元雄 金洪信 安泳根 呉世勲 鄭寅鳳 金希宣 張永達 李昌馥 金榮春 李富榮 朴在旭 張誠a 徐相燮 安商守 金槿泰 沈撥 金龍学 李美卿 元喜龍 沈載権 ゙正茂 宋永吉 李在禎 金泰弘 金敬天 ゙雄奎 鄭範九 鄭柄国 厳虎声 金成鎬 金聖順 朱鎭ウ 金栄煥 郭治栄 尹景G 尹斗煥 李根鎮 李柱栄 李仁基 金民錫 金泳鎮 鄭長善 宋勲錫 金忠兆 朴明煥 尹汝雋 金花中 鄭大哲 朴洋洙 宋錫賛 南景弼 李鍾杰 金浩一 李浩雄 任鍾ル 「基善 薛 勲 李方鎬 金富謙 河舜鳳 張誠源 金玉斗 柳在乾 鄭亨根 金徳龍 秋美愛 朴柱宣 李康来 兪成根 議員(以上69人)
提案理由 中日戦争と太平洋戦争を前後にして日帝によって強制動員され、日帝の軍人、軍属、労務者、軍隊慰安婦などの生活を強要されて、苦痛にあった人々がたくさんいるが、いままで政府次元での正確な被害調査や真相究明のための対策が充分でなかったので、真相究明のための特別法を作成して発議し、日帝強制占領下強制動員に対する真相を究明し、被害者の人権回復と歴史の事実を明らかにし、平和の増進に役立てようとするものである。 主要骨子 1."日帝強制占領下強制動員被害"とは中日戦争と太平洋戦争を前後して日帝によって軍人、軍属、労務者、軍隊慰安婦、その他の大統領令によって定める者として、強制動員によって蒙った被害を指す。(案第2条第1号) 2.日帝強制占領下強制動員被害の真相を究明し、この法による犠牲者及び遺族の審査、決定等に関する事項を審議・議決するために、大統領所属の下に日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会(以下"委員会"と称する)をおき、委員会の議決事項を実行し、委員会から委任を受けた事項を処理するために当該市・道知事所属の下に日帝強制占領下強制動員被害真相究明実務委員会(以下"実務委員会"という)をおく。(案第3条)。 3.委員会は、委員長1人と常任委員3人を含む9人以内で構成され、委員長は政務職に補し、常任委員は1級相当特別職公務員に補する(案第4条)。 4. 委員会はこの法の施行の日から30日以内に大韓民国在外公館に、犠牲者とその遺族の 日帝強制占領下強制動員被害に関連する被害申告を受付けるための申告処を設置してこれを公告しなければならない(案第13条)。 5. 委員会はその構成を終えた日から2年以内に真相調査を完了しなければならず、6ヶ月の範囲内でその期間を2回に限り延長することができる。委員会は真相調査期間が終了する日から6ヵ月以内に日帝強制占領下強制動員被害真相調査報告書を作成しなければならない(案第18条及び第21条)。 6. 政府は日帝強制占領下強制動員被害の犠牲者の霊を慰め、歴史的意味を顧み、平和と人権のため教育の場での活用するだけでなく、慰霊祭等の便宜を図るために慰霊墓域造成、慰霊塔建設、史料館建設など事業施行に必要な費用を予算の範囲内で支援できるようにする(案第23条)。 7. 日帝強制占領下強制動員被害によって戸籍登載が欠落したり、戸籍に記載された内容が事実と異なる場合は、他の法律の規定にかかわらず委員会の決定により大法院規則が定める手続きによって戸籍に登載したり戸籍の記載を訂正できるようにする(案第25条)。 8.正当な理由なしに委員会または実務委員会の資料や証拠などの提出要求に応じなかったり、虚偽の資料や物を提出したり実地調査を拒否・妨害・忌避した者に対しは1千万ウォン以下の過怠金に処する(案第33条)。
法律 第 号 日帝強制占領下強制動員被害真相究明に関する特別法案 第1条(目的) この法は日帝強制占領下強制動員被害の真相を究明して、歴史の真実を明らかにし、平和増進に役立てることを目的とする。 第2条(定義) この法で使用する用語の定義は,次の通りである. 1.「日帝強制占領下強制動員被害」とは、満州事変から太平洋戦争に至る時期に日帝によって強制動員され軍人・軍属・労務者・軍慰安婦等の生活を強要された者が被った生命・身体・財産等の被害をいう。 2.「犠牲者」とは、日帝強制占領下強制労働に因って死亡したり行方不明になった者または後遺障害が残っている者で、第3条2項第4号の規定に依り、日帝強制占領下強制動員被害犠牲者と決定された者をいう。 3.「遺族」とは、犠牲者の配偶者(事実上の配偶者を含む)及び直系の尊・卑属を言う。ただし、配偶者及び尊・卑属がいない場合には兄弟姉妹をいう。 第3条(日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会) @日帝強制占領下強制動員被害の真相を究明し、この法による犠牲者及び遺族の審査・決定等に関する事項を審議・議決するために、大統領所属下に日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会(以下、「委員会」とする)を置く。 A委員会は、次の各号の事項を審議・議決する。 1.日帝強制占領下強制動員被害真相調査に関する事項 2.日帝強制占領下強制動員被害と関連する国内外の資料の収集と分析及び真相調査報告書作成に関する事項 3.遺骨発掘及び収集に関する事項 4.犠牲者及び遺族の審査・決定に関する事項 5.史料館、慰霊空間造成に関する事項 6.日帝強制占領下強制動員被害に対する国家の立場の表明、政策樹立等に関する件の事項 7.この法の定める戸籍登載に関する事項 8.その他真相究明のため大統領令が定める事項 第4条(委員会の構成) @委員会は、委員長1名と常任委員3名を含む9名以内の委員で構成する。 A委員は日帝強制占領下強制動員被害に関して、専門的知識を有し、業務を公正かつ独立的 に遂行できると認められた人の中から大統領が任命する。 B委員長は委員の中から大統領が任命する。 C委員長は政務職に補し、常任委員は1級相当の特別職公務員に補す。 D委員の任期は4年とする。 E委員が事故により職務を遂行できなかったり、欠員になった時には、遅滞なく新しい委員を任 命しなければならない。後任に任命された委員の任期は前任委員の残余任期とする。 第5条(委員長の職務) @委員長は委員会を代表し、その職務を遂行する。 A委員長がやむを得ない理由で職務を遂行できない時は、委員長があらかじめ指名した常任委員がその職務を代行する。 B委員長は国会に出席し、委員会の所管事務に関して意見を陳述することができ、国会の要求があるときには、出席して報告や答弁をしなければならない。 C委員長は国務会議に出席し、発言することができ、その所管事務に関して国務総理 に議案(この法の施行に関する大統領令案を含む)の提出を建議することができる。 D委員長は委員会の予算関連業務の遂行にあたって、予算会計法第14条の規定による中央官署の長と見なす。 第6条 (委員の職務上の独立と身分保障) @委員は外部のいかなる指示や干渉も受けることなく、独立してその職務を遂行する。 A委員は身体上あるいは精神上の障害で、業務遂行が著しく困難になったり、不可能になった 場合及び刑の宣告に依る場合を除き、その意思に反して免職されない。 B第2項中、委員が身体上あるいは精神上の障害で業務遂行が著しく困難になったり不可能になった場合に該当するか否かは、在籍委員の三分の二以上の議決で定める。 第7条 (委員の欠格事由) 次の各号の一つに該当するものは委員になることができない。 1.大韓民国の国民でない者 2.国家公務員法第33条の各号の一つに該当する者 3.政党の党員 4.公職選挙及び選挙不正防止法に依って実施する選挙に候補として登録した者 第8条(議決定足数) この法に特別な規定がない限り、在籍委員の過半数の賛成で議決する。 第9条(事務局の設置) @委員会の事務を処理するために委員会に事務局を置く。 A事務局に事務局長1名とその他必要な職員を置く。 B事務局長は委員会の議決を経て、委員長の提請で大統領が任命する。 C所属職員中5級以上の公務員は委員長の提請で大統領が任命し、6級以下の公務員は 委員長が任命する。 D事務局長は委員長の指揮を受け、事務局の事務を管掌し、所属職員を指揮・監督する。 第10条 (職員の身分保障) 委員会の職員は刑の宣告・懲戒処分あるいは委員会の規則に定める事由によらなければ、その意思に反して退職・休職・降任あるいは免職されない。 第11条 (委員会の運営等) この法に規定された以外の委員会の組織及び運営に関して必要な事項は大統領令で定める。 第12条 (日帝強制占領下強制動員被害真相究明実務委員会) @委員会の議決事項を実行し、委員会から委任された事項を処理するために、当該市・道知事所属下に日帝強制占領下強制動員被害真相究明実務委員会(以下、「実務委員会」とする)を置く。 A実務委員会は、次の各号の事項を処理する。 1.委員会から委任を受けた日帝強制占領下強制動員被害に関する事項 2.犠牲者と遺族の被害申告の受付けに関する事項 3.被害申告に対する調査に関する事項 4.その他委員会から委任された事項 B実務委員会は、委員長1名を含む15名以内の委員で構成され、委員長は当該市・道知事がなり、委員は関係公務員と犠牲者及び遺族代表を含み、学識と経験の豊かな者の中から委員長が任命あるいは委嘱する。 C実務委員会の組織及び運営に関して必要な事項は条例で定める。 第13条 (真相調査の申請及び被害申告) @犠牲者あるいは犠牲者と親族関係にある者や日帝強制占領下強制動員被害に関して特別な事実を知っている者は、委員会に真相調査を申請したり被害申告をすることができる。 A委員会は第1項の規定による真相調査申請のための期間を定め、申告所を明記し公告しなければならない。この場合外国に滞在したり居住している者のために在外公館にも申告所を置く。 B第1項の規定による申請は次の各号の事項を記載した文書でしなければならない。ただし、文書に依ることができない特別な事情がある場合には口述ですることができる。 1.申請人の姓名と住所 2.申請の趣旨と申請の原因となった事実 C委員会が真相調査開始の決定をした日帝強制占領下強制動員被害に関しては、第2項の規定に関らず、委員会が定めるところにしたがって追加で被害申告を受けることができる。 D第1項の親族関係と特別な事実の範囲は大統領令で定める。 第14条 (申請の却下) @委員会は真相調査の申請が次の各号の一つに該当する場合には、その申請を調査せず、却下することができる。 1.申請が委員会の調査対象に属さない場合 2.申請の内容が、それ自体明らかに虚偽であったり、理由がないと認められる場合 3.委員会が却下した申請と同一の事実に関して再び申請した場合。ただし、従前の申請で提出しなかった重大な疎明資料を備えた場合には、これにあたらない。 A委員会は調査を開始した後にも、その申請が第1項各号の一つに該当することになる場合には、その申請を却下することができる。 第15条 (真相調査の開始) @委員会は真相調査の申請が、第14条第1項で定めた却下事由に該当しない場合には、調査開始決定をし、遅滞なくその内容に関する必要な調査をしなければならない。 A委員会は日帝強制占領下強制動員被害が発生したと認めるに足る相当の根拠があり、真相調査が必要だと判断される時には、職権で必要な調査をすることができる。 第16条 (真相調査の方法) @委員会は調査の遂行において、次の各号の措置をとることができる。 1.犠牲者及びその親族その他の関係者に対する陳述書の提出要求 2.犠牲者及びその親族その他の関係者に対する出席要求及び陳述聴取 3.犠牲者及びその親族その他の関係者、関係機関、関係施設、団体等に対する関係資料あるいは物件の提出要求 4.日帝強制占領下強制動員被害が発生した場所等に関する実地調査 5.鑑定人の指定及び鑑定依頼 A委員会は必要であると認める時には、委員あるいは所属職員をして第1項各号の措置をとらせることができる。 B第1項第3号の規定によって関連資料あるいは物件の提出を要求された関係機関等は、大統領令が定める特別な事由がない限り、これに応じなければならない。 C関係機関あるいは団体は日帝強制占領下強制動員被害関連資料の発掘及び閲覧のために必要な便宜を提供しなければならない。 D第2項の規定による措置をとる場合、当該委員あるいは所属職員はその権限を表示する証票を所持し、これを関係者等に提示しなければならない。 E委員長は第1項第2号の規定による出席要求を受けた者が、正当な理由なく出席要求に応じない時には、出席要求に応じない者に対して、指定した場所まで同行することを命ずる同行命令状を発行できる。 F第6項の規定による同行命令状には対象者の姓名、住居、同行命令をする理由、同行する 場所、発行年月日、その有効期間と、その期間を経過したときは執行できず、同行命令状を返還しなければならないという趣旨と、同行命令を受けて拒否したときは処罰されるという趣旨を記載し、委員長が署名・捺印しなければならない。対象者の姓名が明らかでない時は、人相、体格その他対象者を特定しうる事項を表示することができ、住居が明らかでない時は、住居記載を省略することができる。 G同行命令状の執行は同行命令状を対象者に提示することをもってする。 H同行命令状は委員会の職員をしてこれを執行するようにする。 I矯導所または拘置所(軍矯導所あるいは軍拘置所を含む)に収監中の対象者に対する同行命令状の執行は委員会の職員の委任によって矯導官吏が行う。 J現役軍人である対象者が営内にいる時には、所属部隊長は委員会の職員の同行命令状執行に協力する義務がある。 K第1項第3号の規定によって提出要求を受けた関係機関等の長は、その資料が外国で保管されて いるものである場合には、該当国家の政府と誠実に交渉しなければならず、その処理結果を委員会に通報しなければならない。 L委員会は直接あるいは関係機関を通して、外国の公共機関が保管している資料に関して該当国家の政府に対し、その公開を要請することができ、該当国家の駐在公館はこれに必要な措置をとらなければならない。 第17条 (調査の範囲) @委員会は必要な場合、日帝強制動員被害に関する調査のみでなく、関係機関が日帝強制占領下強制動員被害の問題をいかに処理したかに関しても調査することができる。 A委員会は日帝強制占領下強制動員被害の真相を究明するために、当時の社会的・歴史的状況に関する研究をすることができる。 第18条 (調査の期間) @委員会は最初の真相調査開始決定日以後、2年以内に日帝強制占領下強制動員被害についての調査を完了しなければならない。 A委員会は第1項で定めた期間内に調査を完了することが難しい場合には、期間満了3カ月前に大統領にその事由を報告し、6カ月の範囲内でその期間を延長することができる。ただし、上の期間延長は2回を超えることはできない。 第19条 (決定) @委員会は当該被害についての調査を完了した時には、次の各号の内容を決定しなければならない。 1.日帝強制占領下強制動員被害であるかどうかの当否 2.当該被害の原因、背景 3.犠牲者及び遺族 A委員会は前項の決定をなす場合、遅滞なく申請人に結果を通知しなければならない B委員会は第1項の決定をした後、必要な場合、被害の真相等について公表したり、大統領と国会に報告することができる。 第20条 (委員等の保護) @何人も委員・職員または鑑定人に対して、暴行あるいは脅迫したり、委員または職員に対し、業務上の行為を強要あるいは阻止したり、その職を辞退させる目的で暴行あるいは脅迫をしてはならず、委員あるいは職員の業務を妨害してはならない。 A何人も日帝強制占領下強制動員被害の調査と関連して、情報を提供したり提供しようとしたという理由で解雇、停職、減俸、転補等のいかなる不利益も受けない。 B委員会は、日帝強制占領下強制動員被害に関連した証拠・資料等の確保あるいは隠滅の防止に必要な対策を強く求めなければならない。 C委員会は、日帝強制占領下強制動員被害の真相を明らかにしたり、証拠・資料等を発見あるいは提出した者に必要な補償あるいは支援をすることができる。その支援あるいは補償の内容と手続き等に関して必要な事項は大統領令で定める。 第21条(真相調査報告書作成) @委員会は第18条の期間が終了した日から6カ月以内に日帝強制占領下強制動員被害真相調査報告書を作成し大統領と国会に報告し、これを公表しなければならない。 A第1項の報告書は次の内容を含まなければならない。 1.日帝強制占領下強制動員被害の真相と被害者の被害状況 2.日帝強制占領下強制動員被害の発生原因 3.日帝強制占領下強制動員被害の真相を明らかにできなかった原因 4.日帝強制占領下強制動員被害の犠牲者・遺族その他関係者及び国家の責任 5.日帝強制占領下強制動員被害の真相を明らかにするための犠牲者とその遺族、関連民間団体の努力の内容と、それによる成果及び被害 6.真相調査結果と、真相が明らかにされていない日帝強制占領下強制動員被害の内容、真相が明らかにされなかった原因 7.その他必要だと認められる事項 B第1項の報告書には次の各号の事項についての勧告を含まなければならない。 1.日帝強制占領下強制動員被害の犠牲者とその遺族の被害を回復するために国家がとらなければらない措置 2.調査の結果、真相が明らかにならなかった日帝強制占領下強制動員被害とその被害者に対して国家が行うべき措置 3.委員会の調査内容、調査結果と、得た資料等の処理および保存に関する事項 第22条 (委員会の責任免除) 委員会、委員、職員および委員会の委嘱または委任を受けて業務を遂行した専門家、鑑定人あるいは民間団体とその関係者は、委員会の議決に依って作成・公開された報告書あるいは公表内容に関して故意あるいは重要な過失がない限り、民事あるいは刑事上の責任を負わない。 第23条 (慰霊事業) 政府は日帝強制占領下強制動員被害の犠牲者を慰霊し、歴史的意味を顧み、平和と人権のための教育の場として活用するために、次の各号の事業施行に必要な費用を予算の範囲内で支援することができる。 1.慰霊空間(慰霊墓域、慰霊塔、慰霊公園)造成 2.日帝強制占領下強制動員被害史料館及び博物館建立 3.その他の慰霊関連事業 第24条 (歴史記憶財団設立) @政府は慰霊空間、日帝強制占領下強制動員被害史料館及び博物館の運営・管理等のため独立の機構として財団法である歴史記憶財団を設立するための充分な基金を出捐する。 A第1項は別の形態の基金出捐を妨害しない。 B歴史記憶財団は次の各号の事業を担当する。 1.慰霊空間の運営・管理 2.日帝強制占領下強制動員被害史料館及び博物館の運営・管理 3.追加真相調査事業の支援 4.日帝強制占領下強制動員被害関連の文化・学術活動への支援 5.その他の必要な事業 C歴史記憶財団の独立性は保障され、政府は財団出捐時出捐する以外に、歴史記憶財団に対する監督権だけを持つ。 第25条 (戸籍登載) 日帝強制占領下強制動員被害によって、戸籍登載が漏れ落ちていたり、戸籍に記載された内容が事実と異なっている場合、他の法令の規定に関わらず、委員会の決定に従い大法院規則が定める手続きに依って、戸籍に登載したり、戸籍の記載を訂正することができる。 第26条 (秘密遵守の義務) 委員あるいは委員であった者、委員会職員や職員であった者、鑑定人あるいは鑑定人であった者、委員会の委嘱によって調査に参与したり委員会の業務を遂行した専門家あるいは民間団体とその関係者は、その職務遂行過程で知った情報、文書、資料あるいは物件を他の人に提供あるいは漏洩したり、その外、 委員会の業務遂行以外の目的のために利用してはならない。 第27条 (不利益の禁止) 何人もこの法によって委員会に行なった申請、申告、陳述、資料提出等の理由で不利益を受けてはならない。 第28条 (委員会と他の機関の協力) @委員会はその業務遂行の内容と手続き及び結果に関して、民間団体の諮問及び意見を求めることができる。 A委員会は必要だと認められる時には、その業務中の一部を特定して、地方自治団体等関係機関及び民間団体や専門家に委任して遂行させたり共同で遂行することができる。 B第1項及び第2項の規定に関して必要な事項は委員会規則で定める。 C第2項の規定により委員会から委任された業務を遂行したり委員会との共同で遂行する関係機関及び民間団体の関係者や専門家は、その業務の範囲内で委員会所属の職員と見なす。 第29条 (公務員等の派遣) @委員会はその業務遂行のために必要だと認める場合、関係機関の長にその所属公務員あるいは職員の派遣を要請できる。 A第1項の規定により公務員等の派遣を要請された関係機関の長は、委員会と協議して所属公務員あるいは職員を委員会に派遣することができる。 B第2項の規定により委員会に派遣された公務員あるいは職員は、その所属機関から独立して委員会の業務を遂行する。 C第2項の規定により委員会に公務員あるいは職員を派遣した関係機関の長は、委員会に派遣された公務員あるいは職員に対して、人事及び処遇で不利な措置をとってはならない。 第30条 (類似名称使用の禁止) 委員会でない者は、日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会、あるいはこれと同一視され得る名称を使用できない。 第31条 (罰則) 次の各号の一つに該当する者は5年以下の懲役あるいは5,000万ウォン以下の罰金に処する。 1.第20条第1項の規定に違反して、委員会の委員・職員あるいは鑑定人に対して暴行あるいは脅迫を行なった者 2.第20条第1項の規定に違反して、委員会の委員・職員あるいは鑑定人に対して、その業務上の行為を強要あるいは阻止したり、その職を辞退させる目的で暴行あるいは脅迫を行なった者 3.第20条第1項の規定に違反して、詭計をもって、委員会の委員・職員あるいは鑑定人の業務の遂行を妨害した者 第32条 (罰則) 次の各号の一つに該当する者は3年以下の懲役あるいは3,000万ウォン以下の罰金に処する。 1.正当な理由なく第16条第6項の規定に依る同行命令を拒否したり第3者をして同行命令の執行を妨害しようとした者 2.委員会の調査対象になった日帝強制占領下強制動員被害に関する証拠を隠滅、隠匿、変造、虚偽の証拠を提出したり、偽造あるいは変造した証拠を使用した者 3.第26条の規定に違反して、秘密遵守義務を守らなかった者 第33条 (過怠料) @次の各号の一つに該当するものは、1,000万ウォン以下の過怠料に処する。 1.正当な理由なく第16条第1、2項の規定による陳述書提出要求、出席要求に2回以上応じなかった者 2.正当な理由なく第16条第1項第3号の規定による資料や物件の提出要求に2回以上応じなかった者 3.正当な理由なく第16条第1項第4号の規定に依る実地調査を拒否・忌避した者 4.第30条に違反し、類似名称を使用した者 A第1項の規定による過怠料は大統領令が定めるところに従い委員長が賦課する。 B第2項の規定による過怠料処分に不服があるものは、その処分の告知を受けた日から14日以内に賦課権者に異議を提起できる。 C第2項の規定による過怠料処分を受けた者が、第3項の規定により異議を提起した時は、賦課権者は、遅滞なく管轄法院にその事実を通報しなければならず、その通報を受けた管轄法院は、非訟事件手続法による過怠料の裁判を行なう。 D第3項の規定に依る期間内に異議を提起せず、過怠料を納付しなかった時は、国税滞納処分の例によりこれを徴収する。 付 則 @.(施行日) この法は公布後6カ月が経過した日から施行する。ただし、委員及び所属職員の任命、この法の施行に関する委員会規則の制定・公布・委員会の設立準備は施行日以前になすことができる。 A(委員の任期開始に関する適用例) この法により任命された委員の任期は、この法の施行日から始まると見なす。 B(大統領令の制定) 委員長はこの法の施行日前であっても、国務総理にこの法の施行に関する大統領令案の提出を建議することができる。 |